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641 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/13(金) 14 54 44 ID ??? アムロ「んー…………」 ロラン「アムロ兄さん、どうしたんです?」 アムロ「ん?ああ……明日の予定を立ててるんだ。みんなを満足させる綿密なプランを考えるのは大変だよ」 ロラン「はは、お疲れさまです」 アムロ「ありがとう、ロラン。だけど彼女逹のためだからね、結構楽しいよ」 642 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/13(金) 15 30 58 ID ??? 朝 アリョーナとデート 昼 ベルトーチカとデート 夕 カニーンとデート 夜 チェーンとデート 夜中 ララァと幽体離脱デート アムロ「大体こんな感じか…後は煮詰めていくか」 ロラン「セイラさんは良いんですか?」 アムロ「夜勤らしい。負担をかけちゃまずいと思ってね」 ロラン「それぞれ、プレゼントはどうするんです?」 アムロ「あぁ。それならきちんと用意してある」 ロラン「良かった。一人も悲しませないようにして下さいね」 アムロ「言われるまでもないさ」 663 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/13(金) 22 07 52 ID ??? 642 ユウリ「こちらレッドスネーク、聞こえますかグレイウルフ?明日はアムロさんを追跡して2人きりになるチャンスが来るまでスタンバってます」 マツナガ「何だと、バイトを休む気か貴様ぁぁ」
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アムロ・レイ 登場作品 機動戦士ガンダム(1st) 機動戦士Ζガンダム(Ζ) 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(CCA) 年齢:15~16(1st)、23~24(Ζ)、29(CCA) 兄弟スレでの扱い 大家族であるガンダム家の長男で、ブライトたちと設立したラー・カイラム社の幹部。機動戦士ならぬ企業戦士。原作の機械いじり好きを反映し、ラー・カイラム社の主力商品のペットロボット『ハロ』や、モビルシチズン『キャプテンガンダム』の開発者である。 兄弟スレでの人格は「長男」とされているようにCCA時代の常識と社交性と正義感を備えた真っ当な大人が基本だが、小説版やスパロボ、ORIGINやガンダムさんなどのコミック、SDガンダムなどのスピンオフでの設定もいっしょくたになって、かなり複雑な性格でもある。 責任感が強く、両親が居ない(兄弟スレでは主人公の原作の家族関係は原則採用されない)この家の大黒柱として、父親代わりになって弟たちを育ててきた。家事経験は豊富で優秀(現在はロランの方が上だろうが)。 普段は一家の家長として奔放な家族を抑える側だが、家族を始め自分の大事なものに向けられる悪意に対してはかえって自分が暴走して白い悪魔と化すことも少なくない。 弟の刹那曰く真のガンダム。ただ真のガンダムの意味は言っている刹那本人しか理解できない。 シャアとは、ビジネス上のライバルではあるが、立場を越えた親友でもある。一緒に仲良く飲み歩きもすれば子供レベルのくだらない喧嘩を飽きずに繰り返したりの、奇妙な腐れ縁コンビ。 女性関係は豊富で、エロ大名と言われることがある。 原作での扱い 一年戦争(機動戦士ガンダム) 地球連邦軍の技術大尉テム・レイの一人息子として新造コロニー「サイド7」で暮らしていたが、UC0079年の地球連邦とジオン公国の戦争のさなか、父が関わるV作戦の偵察に来たジオン軍のシャア・アズナブルの配下のザク小隊がサイド7を襲撃したのがきっかけで、地球連邦軍の最新のモビルスーツ「ガンダム」に民間人ながらも乗り、一年戦争と言われたこの宇宙世紀史上最大の宇宙戦争に巻き込まれていく。 この戦争の中で、シャアやランバ・ラルといった強敵との激闘を通して戦士として成長するともに、ホワイトベースの戦友たちや様々な大人たち、そしてララァ・スンとの出会いや別れを通して、人類の新たな可能性「ニュータイプ」へ覚醒していくことになる。 この戦争での圧倒的な戦績から、地球連邦からは英雄として称えられ、ジオン軍からは「連邦の白いヤツ」「白い悪魔」と恐れられたが、弱冠16歳の少年にとって背負うに重過ぎるその名声は、彼のその後の人生を縛り続けていく。 グリプス戦役(機動戦士Ζガンダム) 一年戦争後、地球連邦政府はアムロを英雄として称えたものの、大きくなり過ぎた名声や彼が語る「ニュータイプ」の概念を危険視し、北アメリカのシャイアン基地に閑職を与えて実質上の軟禁状態に置いた。 また彼自身も一年戦争でニュータイプとして共感を得たララァ・スンを死なせた悔恨などで精神を摩耗しており、この軟禁状態を甘んじて受け入れていた。 しかし一年戦争から7年後のUC0087年に発生した戦争「グリプス戦役」で、反ティターンズ活動に参加するホワイトベースの戦友たちとの再会や、クワトロ・バジーナを名乗って再び姿を現したかつての宿敵シャア、そして新世代のニュータイプ『カミーユ・ビダン』との出会いをきっかけに奮起し、地上の反ティターンズ武装組織「カラバ」のエースとして戦線に復帰する。 第二次ネオ・ジオン抗争(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア) UC0088年のグリプス戦役後姿をくらましたクワトロ・バジーナは、5年後のUC0093年、反地球連邦組織「ネオ・ジオン」総帥として再びシャア・アズナブルの名で歴史の表舞台に姿を現した。地球に核の冬を起こすため小惑星アクシズを地球へ落下させる彼の目論見を阻止するため、アムロはかつての戦友ブライト・ノア率いる地球連邦軍の独立部隊「ロンド・ベル」のMS隊長として、チェーン・アギらの協力で新たに開発したνガンダムを駆り、宿敵シャアとの決戦に挑む。 νガンダムに搭載された武装を使い切るほどの激闘の末アムロはシャアの駆るサザビーを撃破したが、既に落下を始めたアクシズは止めがたい状況だった。無謀と知りつつも大気圏突入の摩擦熱で焼かれながらνガンダムの推進力でアクシズを押して落下軌道を変えようとした彼の意思は、νガンダムやチェーンの遺したサイコフレームを通して地球を守ろうという人の意思を集めて力に変える奇跡を起こし、「たかが石ころ一つ、ガンダムで押し出してやる!」と宣言した通りアクシズの軌道を変えて落下阻止を成し遂げた。 この戦いでアムロはνガンダムとともに姿を消した。捜索も実ることなく、死亡認定されている。 シャアとの関係 アムロとシャアは一年戦争での数回の戦いを経て強いライバル意識を育てていたが、ニュータイプの少女ララァ・スンを通した出会いは二人に単なる敵味方と異なる奇妙な連帯感を養わせることにもなった。 グリプス紛争時代の再会時は共に地球連邦の改革を目指す同志として認め、互いに新時代の旗手になりえる存在として期待を抱いたが、ニュータイプを理解せず愚かな戦争を繰り返す人類に希望を失ったシャアとそれでも人類に希望を託し続けたアムロは結局訣別する。 主な乗機 機動戦士ガンダム RX-78-2 ガンダム 全ての伝説の始まり。 本来はガンキャノン、ガンタンクの近接防衛を担う白兵戦用として設計されたが、同時期に完成したビームライフルが極めて優秀、かつコアブロックシステムにより前述の二機種と同等の射撃管制能力を持っていた事から、遠近に隙の無い優れた機体として一年戦争後期に絶大な戦果を残した。 機動戦士Ζガンダム RMS-099 リック・ディアス エゥーゴに参加したジオニック系列の技術者が開発した機体。 ガンダリウム合金を使用しており、エゥーゴ上層部では「γガンダム」と命名しようとしていた逸話がある。 小説版ではクワトロがバーソロミュー・ディアスにあやかり、またリック・ドムに似た機体構成から当機の命名を行った。 初期の機体は黒をベースにしたカラーリングだったが、作中後半以降は一般機もクワトロ機専用だった赤いカラーリングへ変更されている。 MSK-008 ディジェ(TV版のみ) ジャブロー降下作戦で地上に降りたリック・ディアスを、エゥーゴの地上支援組織「カラバ」が譲り受けてアムロ・レイ専用に改修した機体。 こちらもジオン系の技術者が参加しており、全体的にゲルググのイメージが強いフォルムをしている。 またカラーリングもグリーン系で、当該項目人物の乗機の中では異彩を放っている。 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア RGZ-91 リ・ガズィ 命名は「リファイン・ガンダム・ゼータ」の略称。 Zガンダムのコスト高の最大原因であった変形機構を大幅に簡略化し、ウェーブ・ライダー形態は機体前半部を「バック・ウェポン・システム(B.W.S.)」で覆う事で完成する。 このシステムは「Z」系列のメガランチャー系兵器と同等の火力を発揮するが前線での再装着は考慮されておらず、WR形態からMS形態への変形は不可逆になっている。 傑作機Zガンダムの直系ながら機体性能は「それなり」でしかなかったらしく、NTギュネイ・ガスの駆るヤクト・ドーガに終始圧倒されていた。 RX-93 νガンダム 純粋にアムロ・レイ専用機として開発された最初で最後のMS。 機体性能そのものは当時の主力量産機ジェガンより多少マシ、と言うレベルだったが欠点も無く、あらゆる状況に真の意味でオールマイティに対応できる良好さであったとされる。 一方でその制御には「サイコフレーム」が組み込まれており、NT「アムロ・レイ」の飛びぬけた反射速度に過不足なく追従し、また攻防両面に渡って絶大な威力を発揮する主兵装「フィン・ファンネル」により、総合戦力では当時の地球圏における最強、あるいはその一角を担うに足るMSと言える。 主に登場したネタ 第一次町内大戦争 気の合いすぎる二人の大喧嘩 大喧嘩の代償 入院シリーズ シャアとアムロ入院中 若手だけで飲み会を もしマイがアムロ達と同じ病院に入院したら 病院での一日 二度目の入院 悪霊の住む病室 祝?退院 ぼくらには帰る家がない ガンダムクエストシリーズ ガンダムクエスト サイドA~アムロ、もっと寝ていたいの巻~ ガンダムクエスト サイドB~真っ暗森で危機一髪~ ガンダムクエスト サイドC~地味な洞窟にて~ ガンダムクエスト サイドD~巻きでいこう!の巻~ ガンダムクエスト サイドE&F ガンダムクエスト 終章 アムロ兄さんの相談室シリーズ アムロ兄さんの相談室 アムロ兄さんの相談室(2) アムロ兄さんの相談室(3) アムロ兄さんの相談室(4) アムロ兄さんの相談室(番外編) アムロ兄さんの相談室(5) アムロ兄さんの相談室(6) アムロ兄さんの相談室(7) アムロ兄さんの相談室(8) アムロ兄さんの相談室(9) アムロ兄さんの相談室(10)スペシャル 久方ぶりのアムロ兄さんの相談室・逆襲のカツ(嘘) 主な関係者 シャア・アズナブル(腐れ縁のライバル兼友人) ブライト・ノア(職場の上司で友人) 関連項目 ハロ キャプテンガンダム 偽アムロ軍団 link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ アムロ・レイ ガンダム兄弟
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804 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/12/02(火) 00 43 46 ID ??? アムロ 「くっ。この桃色的で台風的な気配、俺には耐えられないっ」 シャア 「フッ。貴様には行くべき所がたくさんあるではないか。 そこで桃色的で台風的なものを、貴様も解き放てばよかろう」 アムロ 「だがロランから家を追い出された身で、そんな勝手は──」 ツンツン アムロ 「なんだ?」 アスラン「あの。もしよろしければ、ウチに来ませんか?」 アムロ 「キミのウチに? だが、いいのかい?」 アスラン「白の宮殿での一件には、俺にも責任がありますし……」 アムロ 「ああ、あのへんから、凄い方向へ突っ走り始めてる気はするな……」 アスラン「すみません……」 アムロ 「いや、ロランの月光蝶は俺にも責任があるさ」 アスラン「とにかくお困りでしょうし、是非ウチへおいでください」 アムロ 「ふむ。ならば、ほとぼりが冷めるまで、厄介にならせてもらうよ」 ザラ宅庭園内 アムロ 「大豪邸じゃないかっ!」 ガトー 「ううむ。もう少し力強くガッツポーズを決めたほうが見栄えがよくならぬか?」 ルース 「そうか? フォルドにゃ負けねえっ、ヒタイブルー!(もっと力強く拳を突き上げる)」 アムロ 「他人の庭で我が物顔のように振舞っているが、いいのかい?」 アスラン「すみません、アレは見なかったことにしてください……(なんでいるんだよ)」 セレーネ「アスラン君、お帰り」 アムロ 「セレーネ、おまえまでアスラン君の家にいるのかっ」 セレーネ「あら兄さん。何しに来たの?」 アムロ 「それはこっちの台詞だ!」 アスラン「あはは……。はぁ」 邸内 パトリック・ザラ「レえええぇぇノアあああぁぁ(*´∀`*)」 レノア 「アあああぁぁナタあああああ(*´∀`*)」 アムロ 「アスラン君も、苦労してるんだな……」 アスラン(泣きたい……) キュウウウウウウゥゥッ!! アムロ 「ん? キミの頭に乗ってきた小動物は、なんだ?」 アスラン「ああ、こいつですか? なんかよく分からないんですけど、いつの間にかウチに住み着いてたんですよ」 キュウウ? アムロ 「見たことのない動物だな。襲ってきたりはしないのかい?」 アスラン「はい。とても大人しいから、その心配はないです。まあ、そのうち出て行くんじゃないですかね。 あ、ではこの部屋を使ってください」 アムロ 「すまないね。なるべく早く帰宅が許されるよう、努力するよ」 アスラン「じゃあ、俺はハロを作る作業に入りますから、何かあったら呼んでください」 アムロ 「ハロを?」 アスラン「セレーネさんに脅さ……頼まれてるんです。 ハロが完成したらセレーネさんがAIを組み込んで、遊ぶんだそうです」 アムロ 「今のは聞かなかったことにするべきなんだろうな……」 843 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/12/02(火) 20 28 08 ID ??? ザラ宅 アムロ 「そうそう。で、その回路には、こっちのパーツを使うほうが効率がいい」 アスラン「あ、なるほど。さすがアムロさんですね。よし完成した」 セレーネ「じゃあ、AIを組み込むわね~」 ガシッ セレーネ「ちょっとアスラン君、なんで邪魔するのよ」 アスラン「いや、それはAIパーツじゃなくて、緑色の小動物ですから」 小動物 「キュウゥー><」 セレーネ「あら? なんで間違えちゃったのかしら。では気を取り直してっと。よしできたわ」 キラハロ「キラキラ。ヤメテヨネ、ヤメテヨネ」 小動物 「キュ?」 アムロ 「キラの性格をAIに組み込んだのか」 セレーネ「そそ。さ、アスラン君。ハロをラクスさんに持っていってあげなさい」 アスラン「え?」 セレーネ「ウチのキラがいなくて、ずっと寂しがってたでしょ、彼女」 アムロ 「それでか。優しいところがあるじゃないか」 クライン邸 ラクス 「皆様、どうもありがとうございます。大切にいたしますわ」 アムロ 「すまないね。もうすぐキラも帰ってくるから」 ラクス 「はい。わたくしはキラを信じております。 ところでアスラン、その可愛らしい動物は……」 アスラン「ああ、それがよく分からないんだ。ずっと頭の上に乗ってるばかりで……」 ランカ(マクロスFから友情出演) 「あ、いたっ。アイくううううん!!」 アイくん「キュウウ~♪(ランカの頭に飛び移った)」 ガロード「やーっと見つけた」 ジュドー「アムロ兄にセレーネ姉ちゃんもいるな」 ロラン 「アムロ兄さんにセレーネ姉さん。何をやってたんですかっ」 アムロ 「何をって……。アスラン君の家に厄介になって、ハロ作りを手伝っていたんだが」 アスラン「あの動物って、アイくんって言うのか。それでセレーネさんは……」 セレーネ「何よその目は。私は全部知っててボケただけなんだからっ」 アスラン「間違えたって言ってたじゃないですか……」 ロラン 「すみません。ウチの兄と姉がご迷惑をおかけしていたみたいで」 アスラン「え? いや、むしろ助かってましたから」 アムロ 「キミは、この小さな動物の飼い主さんかい?」 ランカ 「はい。皆さんには本当にお世話になりました。 あ、こらっ。アイくん、どこに行くのっ!」 アイくん「キュウウウウ~(姿を掻き消した)」 ジュドー「うおっ。これはスレ越えの類じゃねえか!」 ランカ 「すみません。私、すぐに追いかけなくっちゃ。 どうもお世話様でした。それではっ(姿を掻き消した)」 ガロード「慌ただしいなあ」 ジュドー「ああやって、いろんなスレを飛び越えてるんかねえ……」 ロラン 「と・に・か・く! アムロ兄さん、ブライトさんを呼んでありますから、家に帰ってもらいますよ」 セレーネ「ブライトさんのお説教じゃあ、さすがの兄さんも、シュンとするでしょうね~」 ロラン 「姉さんもです!」 ラクス 「……行ってしまわれましたわね」 アスラン「……」 キラハロ「ラ・ク・ス~♪ キラッ☆」 844 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/12/02(火) 21 04 25 ID ??? アルのアムロ兄ちゃん修正日記 ブライトさんの4時間に渡る説教+修正往復ビンタ カミーユ兄ちゃんの修正パンチ ウォンおじさんの修正アタック スレッガーおじちゃんの修正ビンタ セイラお姉ちゃんの修正ビンタ 心なしか、アムロ兄ちゃんは嬉しそうでしたマル 852 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/12/02(火) 22 36 14 ID ??? キエル 「あら、アムロさんご帰宅ですか(ウズウズ)」 アムロ 「この圧倒的なプレッシャーは、なんだっ!?」 ブライト「罰を与えるにはちょうどいいか。ではキエルさん、私が許可します」 キエル 「ありがとうございます。これでやっと、生徒が確保できました」 女装戦士アムロ 第一話。 アムロお茶の間に立つ! ガロード「ギャッハハハハハハ。アフロにキャミソールって!」 ジュドー「絶対領域も完備とは。さすがキエルさん、笑いのツボを心得てるっ」 セレーネ「ちゃんと、おっぱいも作ってるのね~。あはは」 シン 「ヘソ出しルックとかありえないだろ。ぎゃはははは」 ロラン 「ププププッ」 アムロ 「くっ、こいつら……。覚えてろよ」 キエル 「う~ん。やっぱりヘンよね」
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742 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/08(水) 19 41 59 ID tthbYtkM0 護衛機が随伴しない単独の輸送機飛行ルートは、基本的に戦闘地域を大きく迂回する事が大前提である。 今回アムロの操縦するファット・アンクル型輸送機も連邦軍と直接対峙する最前線キエフを飛び立った後一旦クルスク方面に進路をとった後大きく折り返し、旧ベラルーシ領との国境にあたるゴメリを目指す、という極めて安全性を重視したものに設定されていた。 直線距離ならものの数十分で到達できる距離が、この場合は二時間ほどの飛行を余儀なくされてしまうが何より乗員と物資の安全には代えられないと言う訳である。 しかし飛行開始から20分程は順調だった天候がにわかに怪しくなり始めた頃から、アムロは自分の周囲に絡み付いて来る不穏な空気を感じ取っていた。 ファット・アンクル型輸送機自体の操縦感覚は極めて良好であるにもかかわらず、胸の奥に次第に湧き上がって来る何とも言えない軽い頭痛混じりの不快感。 隣の副操縦士席に座るセイラも先程から無言を貫いているのも、自分と同様に何か感じるところがあるからなのだろうかと勘繰りそうになったアムロは、両耳に装着している大きめのインカム付きレシーバーを揺らして小さく首を振った。 機長たる自分が、戦闘地域に向かう訳でもない輸送機の操縦ごときで根拠のない弱気は禁物であろう。 『おい、揺らすんじゃねえこのヘタクソが!』 だが、アムロが自分に気合を入れ直そうとしたまさにその時、レシーバーにドスの効いた怒声が響き渡った。 声の主はカーゴルームのモビルタンクに籠って整備を続けているデメジエール・ソンネン少佐である。 「も、申し訳ありませんソンネン少佐!」 『ったく・・・こんぐらいの風に無様に煽られやがって。 タダでさえお前らガキ共のせいでこの機内は小便臭えってのによう』 反射的に謝罪してしまったアムロは、ぶつぶつと悪態をつき続けるソンネンの言葉を黙って聞いていたセイラの瞳がその一瞬、冷たい光を放ったのを見て背筋を凍らせた。 「・・・この程度の揺れで作業できなくなるなんて、少佐も大したことはありませんのね」 『な、何だと手前ェ!?』 思わぬところからの反撃に意表を突かれたソンネンは、不覚にも息を呑まされた。 普段は味方を鼓舞する凛としたセイラの声は、意図的に研ぎ澄まされると肺腑を抉られるがごときの威力を発揮する。 「セ、セイラさん何を言い出すんです!?」 レシーバーのスイッチをオフにしたアムロが慌ててセイラを窘めたが、彼女は瞳の色を柔らかいものにすると涼しい顔でにっこりと笑った。 「あら、私達に対して失礼すぎる物言いでしょう?」 クスクスと悪戯っぽく笑うセイラは小悪魔的な魅力にあふれ、アムロは突発的に吹き付けてきた横殴りの風にまたもや操縦桿を取られそうになってしまった。 「テメエ、そこを動くなよ!?今からそっちへ行くからな!」 「ここへ来られたら操縦の邪魔です。私がそちらへ行きますわ」 言うなり、セイラは自分の耳に掛けていたレシーバーを外すと、髪を掻き上げて座席から立ち上がった。 「えええ!?セセセセイラさん待って!!危ないですよ!行っちゃダメだ!!」 「大丈夫だから心配しないで。それより操縦、しっかりお願いね」 「・・・!」 確かに強風が吹き荒れている今は自動操縦装置に切り替える事は出来ない。 操縦席を離れられない以上、不本意ながらここはセイラに任せるしかないのである。 自分の役割は、この悪天候をできるだけ速やかに突破し、乗員と物資の安全を確保する事しかありえない。 アムロは奥歯を噛み締めると今一度操縦桿を握り直し、前方に湧き上がる黒雲を睨み付けた。 743 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/08(水) 19 43 33 ID tthbYtkM0 巨大輸送機ファット・アンクルの内部は大まかに言えばコックピット、機関部、カーゴスペースの3ブロックに分かれている。 コックピットブロックは巨大なカーゴスペースの真上に位置している関係上、これらの行き来には内壁に沿って取り付けられたタラップを利用する他はない。 セイラは機内に続くコックピット後部ハッチを出ると姿勢を思い切りかがめた状態で鉄骨むき出しの機内スペースをくぐり抜け、鉄梯子と呼ぶべき高さ20メートル近くもある簡素な舷梯を慎重に降りてゆく。 もちろん命綱など無い為に危険は極まりない。飛行中は尚更に、である。 この通路の利用し難さを鑑みるに、この機の設計者は内部の兵員の行き来を想定していなかったのかしらとセイラはちらりと訝しむ。 しかし、必要最小限のシンプルな構造を追及して開発されたファット・アンクル型輸送機は生産性とコストに優れ、ジオン地球侵攻軍に多大な貢献をして来たのもまた事実であった。 閑話休題。 それにしても途中何度か小さな揺れはあったものの、先程までの様な危なっかしさは感じなくなっている。 外の天候は悪化している筈なのに操縦の安定感が増している処を見ると、どうやらアムロがヘリコプターの操縦においてある種のコツを掴んだに違いなかった。 危なげなく船底に降り立ったセイラが固定されたコンテナの間をすり抜けヒルドルブに近づくと、まるでそれを待ち構えていたかの様なタイミングでヒルドルブの車体下部からハンマーを手にしたソンネンが這い出して来た。 「よお姉ちゃん、本当にやって来るたあ、いい度胸してるじゃねえか」 まさかハンマーでいきなり殴りつけて来ることはなかろうと思いながらも警戒を緩めずにいたセイラの予想に反して、ソンネンの顔は意外なほど不機嫌なものではなかった。 「当然でしょう、私は約束は守ります」 「ヘッ、気の強え姉ちゃんだ」 きつい眼差しを向けて来るセイラに、ソンネンは短く刈り込んだ髪を撫で上げ苦笑いで答える。 バタバタと機体に雨粒が当たる音がエンジン音に混じって聞こえる事で、ファット・アンクルが遂に嵐雲に突入したのだと判る。 ふとセイラは肌寒さを頬に感じた。気圧の変化に伴ってカーゴスペース内の温度が下がり始めたのであろう。 「さて、折角だから姉ちゃんにもヒルドルブの調整を手伝ってもらうとするか。 その小奇麗な顔がちっとばかし油まみれになる事は覚悟してもらうぜ」 ニヤニヤと笑いながらソンネンはヒルドルブの前に屈み込み、キャタピラ回りのコネクターをハンマーで叩きはじめた。 恐らくこれは音の響きによって異常を感知する技法なのだろう。 「判りました。まずは何を?」 「そうだな、ラックへ行って91番のミッションオイルを持って来い、それと」 『くしょん』 「?」 微かに聞こえたくしゃみに似た異音。 しかも何だか聞き覚えがある声。セイラはヒルドルブの脇に固定されている補給物資のコンテナに急いで目を奔らせた。まさか。 「おい、聞いてんのか」 「は、はい」 いらいらと振り返ったソンネンは、狼狽えた顔でしきりとあたりを見回しているセイラを見て吐き捨てる様な舌打ちをすると、再びヒルドルブのパーツにハンマーを当てた。 「ったく、女って奴あイザとなると使い物にならねえんだからよ・・・いいか、一度しか言わねえぞ、持って来るのはミッションオイル91番、それと」 『くしょんくしょんっ・・・!』 今回の異音はソンネンにもはっきり聞こえ、彼はやれやれと口に出しながら立ち上がった。 「おい何だ姉ちゃん、カゼでもヒキやがったのか?意外とか弱いじゃねえか」 「い、今のは私ではありません」 「何言ってる、ここには俺とお前の2人しか」 『くしゅっ』 「!」「!」 744 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/08(水) 19 44 16 ID tthbYtkM0 瞬間、呆けているソンネンを残し、セイラは一つの小型コンテナの前に素早く移動するや怖い顔でぴたりと耳を付けた。 衣料用コンテナである。正面にハッチが付いている為、積み重ねて固定する事ができ、このまま据え置きで使用できる構造になっている。 そのハッチの締りが、良く見ると、甘い。 「返事をなさい」 『・・・』 セイラの声は低いが、頭を鉄製のコンテナに付けているので骨伝導で中には明瞭に聞こえている筈である。 しかしコンテナの中から応答はない。 「声で判ったわ。あなたなのでしょうハマーン」 『・・・』 やはり返事はない。 「あくまでもシラを切るつもりならいいわ」 『・・・』 内部で彼女が身を竦める気配と息遣いがはっきりと感じ取れるが、逆に息を殺して返事をしない作戦に出たのだと判るとセイラはコンテナから身を離した。 コンテナの中で一瞬安堵した人影だったが、続くセイラの言葉に我が耳を疑った。 「この正体不明なコンテナは投棄します。覚悟は良くって?」 『!?』 がたたっとコンテナが震えた。内部の人間の動揺が見て取れて、こう言っては何だが非常に判りやすい。 「補給物におかしな物は混ぜられないもの。悪く思わないでね」 『・・・!・・・?』 小刻みに鉄製のコンテナが震え出した気がするが、流石にこれは気のせいだろう。 数秒の沈黙の後。 「さよならハマーン」 『待って!!待ってぇ!!』 本当にコンテナの前を去りかけていたセイラは、コンテナの隙間から響く切羽詰まった懇願の声に、やけにゆっくり振り返った。 「ハマーンですって!?ど、どういう事ですか!?」 ようやく雨雲を突破し、操縦席のシートで深く一息ついたアムロは、カーゴルームから届いた予想外の報告に飛び上った。 745 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/08(水) 19 44 54 ID tthbYtkM0 『どうもこうも無いわアムロ。これは完全に密航よ』 「み、密っ航っっ!?」 『ちょっと待って。本人に替わるから』 「えっえっ?」 『・・・うっ・・・ひぐっ・・・・・・アムロぉ・・・・・・』 レシーバーの中から聞こえてきた声は確かにハマーンである。ぐしゅぐしゅに泣いている。 「ハマーンなのか!?君は何だってこんな事を!!どうしてこんな!!」 『・・・うぅ・・・きもちわるぃ・・・・・』 「え、何?具合が悪いのかい?」 先程までの怒りはどこへやら、アムロの顔が青ざめる。 『・・・』 「ハマーン!セ、セイラさん!一体どうなってるんです!?」 『どうやらお芝居ではなくて本当に調子が悪そうなの』 かつてWBに乗るまでは医者の卵として医療に従事していた彼女の眼をごまかす事は出来ない。 カーゴルームの片隅に操縦席との通信用に設えられたコンソール。そこから武骨に突き出したマイクに、セイラは更に口を寄せた。 「おかしな体勢のままずっと揺られていたみたいだから・・・それとも、さっきさかんにクシャミをしていたから風邪をひいたのかも知れないわ。 どっちにしろ、彼女を叱るのは後回しね」 言いながらセイラは彼らに背を向け憮然とした表情でがりがりと頭をかいているソンネンを横目で見た。 いかなソンネンでも病気の子供には勝てない様だ。そもそも扱い方が判らないのだろう。 実はセイラ自身も先程からずっと軽い頭痛をおぼえていたのだが、ぐったりしたハマーンを支えているこの状況でそれを言う訳にはいかない。 「帰ったらミハルやハモンにうんと叱ってもらいましょう」 『そ、それじゃあ急いで【青い木馬】に引き返します!』 「馬鹿野郎何言ってやがる!」 ここでソンネンがセイラの後ろからマイクに近づき会話に割り込んだ。 「時間がねえんだ!このまま目的地まで飛べ!!」 『で、でも!』 「でもじゃねえ!お前達小便臭えガキ共の処へ更に小便臭いガキが一匹増えただけだ!どうって事ァねえだろう!」 『ハマーンは病気なんですよ!?』 「自業自得だろうが!輸送機たあ言え戦場に向かう機に自分で乗り込んだんだ、例えどうなろうが文句はあるめえ!!」 『そんな!』 「大丈夫だアムロ!」 『! ハマーン!?』 セイラに抱きかかえられていたハマーンが堪らず大声を出したのである。 「・・・私は大丈夫だ、め、迷惑をかけて・・・ぐすっ・・・ごめん・・・・・・」 両掌でごしごしとこすった為に彼女の眼は真っ赤になったが、涙を拭い取ったハマーンの瞳には少しだけ普段の強気な輝きが戻った。 幸いにも熱は無さそうだしこれなら、と、セイラは小さく頷いてマイクに向かった。 「・・・聞こえたアムロ?私も今から引き返すのは良くないと思うの」 『・・・・・・判りました、ではハマーンをここへ連れて来て下さい』 「そうね、せめてちゃんとしたシートで休ませましょう」 カーゴスペースはうすら寒く、待機兵士用の折り畳み式簡易シートしかない。 体調の悪い者をここに長時間置いておく事は望ましくないだろう。ましてやハマーンは12歳の少女である。 「ったく、そのガキの面倒は姉ちゃん、お前が見ろよ!コッチに手間掛けさせんじゃねえぞ」 「判りました、この娘は私が責任を持ってフォローします。ハマーン行きましょう、歩けるわね?」 「うん・・・」 セイラの手から離れてハマーンは床に立った。 思った程のふらつきはない、すぐに手を差し出せる体勢でいたセイラはほっと溜息をついた。 少なくとも彼女にはこれからあの操縦席までの長いタラップを自力で登って貰わねばならないのだ。 「頑張りなさいハマーン、子供扱いされるのは嫌なのでしょう?」 「むっ!」 セイラの言葉に奮起したハマーンは目の前の壁に高く長くそびえ立つタラップに取り付いた。 そのまま足を掛けるとぐいと身体を引き上げ、するすると鉄梯子を登りはじめる。 下からその様子を伺っていたセイラもやがてタラップに慎重に足を掛け、静かにハマーンの後を追って登り出し、登るペースを少し上げてハマーンの真下にポジションを取った。 759 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/18(土) 12 44 04 ID jkrMv0nM0 「具合はどうだい、ハマーン」 「・・・」 操縦席のアムロは後部座席に目をやったが、座席を少しだけ後ろに倒し 武骨な軍用ブランケットに包まって目を閉じているハマーンからの返事はない。 「眠ったみたいね」 言いながらセイラはハマーンの額に掌を当てた。 幸いにも熱はない。 熱はないが、眼の下まで引き上げられたブランケットから覗く、固く閉じられた両の瞼にかかる形の良い眉はきつく寄り、ハマーンが喫している不快感を如実に物語っている。 セイラはふと、ハマーンの瞑った瞼の端に小さな涙の粒が膨れ上がっているのに気が付いた。 (・・・ごめんアムロ、こんなはずじゃなかったんだ・・・) それはハマーン・カーンの偽らざる心の声であっただろう。 零れ落ちた涙がブランケットに小さな染みを拵えたのを見たセイラは何も言わず、ハマーンの額に掛かる前髪を優しく整えた。 「なるべく急ぐから、もう少しだけ我慢しててくれよ」 アムロはそう口にすると、キャノピー越しに星空を睨み付けた。 雨雲を追い抜いた為に視界は極めて良好である。 「どうだ?」 「ソンネン少佐」 いつの間に現れたのか、ソンネンがアムロの横の副操縦席に滑り込んだ。 「すみません、すぐに作業に戻ります」 「あーもういい。ヒルドルブの整備は完璧に終わらせたからな、この役立たずが」 慌てて後ろからセイラが掛けた言葉を、ソンネンは相も変らぬ調子で邪険に払い除けた。 セイラは唇を噛んで俯く。 ハマーンの介抱をしている間は何も文句を言ってこなかった彼に少しだけ感謝していたのだが、やはりそんなに甘い相手ではなかった様だ。 「予定通りいけば、あと少しで・・・うん?」 「どうした」 ミノフスキー粒子のせいで不鮮明なレーダーを凝視したアムロに、ソンネンはレシーバーを装着しながら首をかしげた。 760 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/18(土) 12 45 06 ID jkrMv0nM0 「友軍反応です。おかしいですね、こんな処で」 「確かにな」 ジオンの支配地域とはいえ、敵軍にほど近いこんな場所に単独で展開している部隊の報告は受けていない。 「貸せ、コード1309876A2987応答せよ」 ソンネンは、この地域で使われているジオン軍専用オープン回線の一つを開いた。 ミノフスキー粒子によるノイズが酷いが、それでも確かに聞こえている筈の通信に対して相手からの返答はない。 「見えました、ザクです」 「随分やられていやがるみたいだな」 高度を落とし、各種センサーを振り向けたファット・アンクルの電子眼は、月明かりにくっきりと浮かび上がるMS-06F【ザク】の姿を鮮明に捉えていた。 デジタル補正が掛かったその映像からは、スパイクアーマーの破損や塗装の剥げ具合までがはっきりと確認できる。 と、ようやくこちらに気付いたのか、地上を歩いていた件のザクが大事そうに抱え持っていたバズーカをこちらに向けて振って見せた。 「!!」 瞬間、アムロの体が電流を打たれたかの如く硬直した。 セイラが眉を顰め、まどろみの中にいたハマーンが跳ね起きたのも、まさにその時であった。 「うおッ!?」 咄嗟に急上昇を掛けたファット・アンクルの中で4人の乗務員達は強烈なGに晒され、ソンネンは声を絞り出した。 「チッ・・・」 ザクのコックピットに座る眼帯を掛けた男は、無警戒に近づいて来た獲物が突然方向を転換した事に小さく舌打ちした。 「(気付かれたか?・・・いや、そうではないか)」 頭上を飛ぶジオンの大型輸送機は、方向転換の後も高度が安定せず、何だかふらふらと頼りの無い飛行軌道を描き続けている。 どう見ても、ベテラン兵の操縦ではない。 『ば、馬鹿野郎ォ!なんて操縦をしやがる!!』 『す、すみません!風に煽られました!!』 『ヘタクソが!だからお前は小便臭えってんだよ!!』 オープン回線に入れっぱなしの通信で、輸送機内部の事情が筒抜けである。 叱られている兵士の声が妙に若い。 しかし眼帯の男は一方的に罵声を浴びせている兵士に向けて、くくくと薄く笑った。 判っちゃいない。未熟なパイロットのお蔭で命拾いをした事に、お前は感謝をするべきだ。 あのままの軌道とスピードでのたのたとこちら目掛けて降下して来ていたら、バズーカの砲口は間違いなく――― ―――間違いなく輸送機のド真ん中をぶち抜いていただろう――― 眼帯の男は薄笑いを張りつかせたまま妙に度胸の据わった仕草で回線を開いた。 761 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/02/18(土) 12 46 01 ID jkrMv0nM0 「助かったぜ!HLVが流されて敵陣のど真ん中に降りちまった。敵ん中命からがら逃げて来たんだ!」 『災難だったな、お前の他に生存者はいないのか』 「俺以外はみんなやられちまったよ、クソッタレが!!」 心配そうに聞いて来た相手に返答しながらも、眼帯の男は抜け目なく輸送機撃墜のチャンスを窺う。 不意打ちならばこそ、失敗は許されない。狙うならば貨物室よりもエンジンだ。 しかし輸送機は風に押され、ザクを中心にして右へ右へと、まるで少しづつ死角へと回り込む様な軌道を描きながら滞空している為、掲げ持っているバズーカの砲口をそちらに向け照準を瞬時に合わせる事は困難であった。 これがもしベテランパイロットの操縦であったならば、この程度の風などびくともせずに安定したホバリングを見せていただろう。 もちろんその場合は、すかさずバズーカの餌食にできた筈である。 偶然とはいえ何が幸いするか判らねえなと眼帯の男は苦笑した。 『乗せてやりたいのはヤマヤマだがな、この輸送機に隙間はねえし俺達も急いでる。 いいか、ここから30キロほど東南東へ行った所に大規模な物資集積所がある。そこまで自力でたどり着いてくれ』 「ほう、大規模な集積所、ねえ・・・」 意外な情報に眼帯の男は隻眼を光らせ、目の前の獲物に向けたトリガースイッチから指を離した。 海老で鯛を釣る、ではないが、より大きな戦果を得る為に―――ここは大人しくしておくのが賢明そうだと思い直したのである。 『行けそうか』 「何とかやってみる。気にせず行ってくれ」 『悪く思うなよ』 そう言い残すと輸送機は東南東に向けて飛び去った。恐らく大規模集積基地とやらに向かうのだろう。 輸送機が完全に見えなくなったのを確認すると、眼帯の男はコンソールに備え付けられたジオン純正品ではない通信機のスイッチを入れた。 「フェデリコ・ツァリアーノだ、聞こえるか」 『感度良好』 レーザー通信は指向性が高く、敵陣においても傍受される恐れが殆ど無い。 フェデリコはここに辿り着くまでの道のりで要所要所にレーザー通信用の中継アンテナを設置して来ていた。 「どうやらビンゴを引いた。場所はここから東南東30キロの地点だ」 『やるじゃないか、伊達に片目じゃないって訳だ』 「抜かせ」 隻眼のパイロットは珍しく、相当の腕が無ければ強制的にMSから降ろされる。 それはジオンも連邦も変わらない。 相手はある意味褒めたのであるが、ツァリアーノは鼻を鳴らしてぶっきらぼうに通信を切った。 821 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 18 37 ID Il41vxck0 漆黒の闇の中、月明かりを背にした鉄の巨人は小高い丘の陰から身を乗り出すと、爛々と光るその単眼を音もなく左右に奔らせる。 フェデリコ・ツァリアーノ中佐は眼前のモニターに映し出された映像に口元をゆがめた。 荒涼とした礫砂漠の只中、広範囲に渡ってうず高く積み上げられたコンテナや林立する車両用幕屋の一群、そして中央にひときわ大きくそびえ立つHLV。 サーマルセンサーに映像を切り替えると、その周囲だけにはポツポツと明かりが灯り、熱源が集中している様子がはっきり判る。 間違いない。 「情報通りに大規模集積所発見と・・・」 本来は廃棄解体される筈のHLVも、降下した場所によっては物資搬出後もそのまま残され、このように駐屯地を繋ぐ野戦補給基地の簡易宿泊所として活用される場合がある。 大気圏を突破する性能を備えているHLVは頑丈で断熱処理が完璧に施されており、そこいらの仮設テントより余程居住性が高かった為である。 物資の乏しいジオン軍が廃物利用、いや、廃棄物の有効活用をしていると言えば多少の聞こえは良くなるだろうか。 「ふん、驚いたな、あの輸送機もいやがるぜ」 モノアイのズームを上げると、大きな天幕の脇に、先程何の疑いもなくご丁寧にこの場所を教えてくれた輸送機が、馬鹿正直に駐機しているのが見えた。 あの無防備ぶりからすると、こちらの素性を微塵も疑ってはいないのだろう。 「お目出度えなあおい。ジオンはバカの集まりか?」 言いながらフェデリコはザクバズーカを構えている。 元は連邦軍の戦車乗りだった彼だが、ザクを操る一連の動作は、今やジオンの熟練パイロットにもひけを取らない。 「まあお互いにこれが仕事だ、恨むなよ」 躊躇無く吐き出された砲弾は一直線に、まずは無防備なファット・アンクル型輸送機を木っ端微塵に吹き飛ばした。 紅蓮の照り返しがフェデリコのザクを赤く染め上げる。 ジオンのザクがジオンの陣地を襲撃するという、傍から見れば異常な光景。 開戦当初から、MS開発に出遅れた連邦軍が窮余の策として採っていたのがこの 『鹵獲したMSを使い、ジオン兵に偽装して敵陣深く潜入し破壊活動を遂行する』という戦法であった。 ちなみにこの作戦を行う部隊は、他のそれと比べ損耗率が極めて高い。 にもかかわらず、卑劣な作戦内容から仲間内の評価は決して良いものではないという、まさに貧乏籤の役割である。 しかし片目を負傷しこの部隊に配属されてからというもの、ある種の人間的な感情をそぎ落としながら生き抜いて来ざるを得なかったフェデリコは、すでにこの任務に何の葛藤も抱かぬメンタリティを構築していたのである。 だから連邦軍のMS開発が軌道に乗った今、上層部から厄介者扱いをされ始めているという現状も、彼にとって最早どうでも良い事でしかなかった。 恐らくオデッサのどさくさに紛れて連邦軍の汚点たる自分達を首尾良く使い潰してしまいたい、というのが奴らの本音だろう。そう考えれば、総攻撃直前のこの段階で単独でジオンに送り込まれる合点がゆく。 だからどうした、と彼は更にバズーカの引き金を引き絞る。 この砲弾に込められた狂気の炎こそが、今の自分には何よりも相応しい送り火なのだ。 822 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 19 43 ID Il41vxck0 「うっ!?」 射線をズラしHLVに狙いを定めたその時、ちらりとモニターの端で何かが動いたのを、フェデリコは見逃さなかった。 反射的に彼は自らのザクのバーニアを焚き、急角度のサイドステップを掛ける。 「おをぉッッ!!」 間一髪、空気の壁を切り裂いてザクの横、今の今までザクが存在していた空間を巨大なAPFDS (装弾筒型翼安定徹甲弾)が唸りを上げて通過していったのである。 その弾速は優にマッハを超える為、強烈な衝撃波がザクの機体を打ちのめし、コックピットのフェデリコを激しく痺れさせた。 しかし彼は瞬きもせずに暗視モニターを凝視し続け、一瞬だけ見えたマズルフラッシュからすぐに砲弾の主の位置を割り出す事に成功していたのである。 「チッ!外れやがったか!」 デメジエール・ソンネン少佐は小さく舌打ちすると、集積所のやや左前側方に設えられた掩体から顔を出しているヒルドルブの30サンチ砲から装填済みのAPFDSを轟音と共に再度発射した。 が、あくまでもこれは当たれば儲けもの的な威嚇射撃に過ぎない。 「まあいい、砲身が温まってからが本番だぜ!」 そうせせら笑いを浮かべながらギアをマックスに入れ、ヒルドルブを一気に掩体の陰から飛び出させる。 キャタピラを轟かせ、急加速で角度のキツイ盛り土スロープを駆け上ったヒルドルブは、カタパルトから撃ち出されたかの如く10メートル程もジャンプする事となった。 文字通り宙に飛び出したのである。 「馬鹿め!自ら姿を現すとはな!!」 フェデリコは冷静に、突如姿を現した巨大な戦闘車両の予想落下地点めがけてザクバズーカを発射した。 距離は約700メートル、巨大な戦車はゆっくりとした放物線を描きながら地表に自由落下している。 重力の底たるこの地上ではどんな機体であれ必ず、着地の衝撃で一瞬動きが鈍る。このタイミングならば、当たる。 そう確信した瞬間、巨大戦闘車両は着地する筈だった地面の中にすっぽりと消え、今度はその上をフェデリコの放った砲弾が空しく通り過ぎて行ったのだった。 「糞ッ!塹壕か!?」 フェデリコの体からどっと冷たい汗が噴き出した。 あらかじめ、こちらの正体を見破り襲撃を予想し、手ぐすねを引いて待ち構えていたとしか思えない用意周到さである。 敵は完全に、迎撃準備を整えていたのだ。 『逃がさねえぞこのペテン野郎』 「!」 フェデリコのレシーバーにオール回線コード1309876A2987で飛び込んで来たのは、確かにあの輸送機から聞こえた声である。 ザクは体勢をできるだけ低く構えると移動を開始した。 奇襲が失敗し、こちらの姿が露呈してしまった以上、同じ場所に留まる事は死を意味する。 「いつ、俺の正体に気付いた?」 周囲に何か適当な遮蔽物は無いかと探しながら、何気にフェデリコは敵に呼びかけた。 これは狡猾な心理的駆け引きであると同時に、純粋な疑問でもある。 『へへへ・・・貴様のジオン訛りは、取って付けたみてえにアクセントがわざとらし過ぎらあ、それにな』 連続して3発の発射音をザクの外部スピーカーが拾った、と、ほぼ同時にフェデリコの真上から降りそそぐ様に落下してきた砲弾がザクの頭上で炸裂し、膨大な炎にザクを巻き込んだのである!! 曲射焼夷榴弾!! 主砲を上に向けて放つ榴弾砲である。これならば敵の位置さえ判れば敵前に身を晒す事無く物陰から攻撃できる。 MS相手では必殺の効果は望め無いが、牽制や足止めとしてならば十分であろう。 『一次、二次降下時ならいざ知らず、今は、このオデッサに宇宙から送り込まれて来るザクの全部がJ型になってんだ!』 出番の無いままに格納庫の隅に追いやられていたソンネンは、HLVによって次々と搬入されて来るザクの全てがJ型である事を目の当たりにしていたのである。 『まず貴様の乗ってるザクがF型ってえのが腑に落ちなかったのよ!』 言いながらソンネンは塹壕からヒルドルブの上半身を覗かせ300ミリの主砲を水平に構えた。 炎に視界を遮られてパニックになったザクが動きを止めたなら、その瞬間に今度は狙いすました徹甲弾が奴を射抜く。 こちらの勝ちだ。 「舐めるな!こんなこけ脅しに乗るかよ!!」 しかしザクは上半身を火に巻かれたまま屈み込むと、右足に装着されたフットポッドのミサイルを発射したのである。 目論見が外れた事を悟ったソンネンは急いでヒルドルブの上半身を塹壕に引っ込め、あらかじめヒルドルブに装備された大型ショベルアームで掘り進めておいたピット(窪地)を通って次の射点へ高速移動を開始した。 初速の遅いミサイルは、先程までヒルドルブのいたあたりに次々と着弾したが、もちろんヒルドルブには何の被害もない。 823 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 20 42 ID Il41vxck0 『集積所はカラッポよ!へへへ、残念だったな!!』 「畜生が!」 ソンネンの言葉にフェデリコは歯噛みした。確かにこのザクは開戦初期、ニューヤークにて鹵獲されたものだったのである。 今までは上手くいっていた手が、今回に限って完全に見破られてしまった。 かと言って今更逃げ場はない。 ザクの撤退は不可能だった。見るからに長射程な敵から離れれば離れるほど状況は不利になるからである。 何としてもここは眼前の敵を倒し、退路を切り開くしかない。 時間を掛ければジリ貧となる事を悟ったフェデリコはバーニアを吹かし、前方への大ジャンプを試みた。 敵車両の機動力はあの巨体にもかかわらず異常に高い事が先の戦闘で判明したのである。 どう張り巡らされているか判らない塹壕の中を縦横無尽に駆け回り、好きな位置からこちらを攻撃できるあの高速戦車と互角以上に戦うには、上空から奴の居場所を突き止め、イチかバチかの接近戦闘を仕掛けるしかない。 車両と違い姿勢制御バーニアを装備するMSは、自由落下の後着地点を大幅にズラす事ができる。狙い撃ちにもある程度対処できるだろうとの読みもある。 敵影を確認できるかこの一瞬が勝負だ。 「・・・見つけたぜ!」 ザクのジャンプで可能な最高到達点の直前、フェデリコは深いピットの中を移動する戦闘車両を発見した。 ナイトビジョンの画像で鮮明では無い物の、あの巨体は見間違うべくもない。 砲口もこちらへは向いていないのが確認できる。 やったぜ、勝負はここからだ。 満面の笑みを浮かべたフェデリコが舌なめずりをした瞬間。 彼のザクは空中で胴体を打ち抜かれ、真っ二つに千切れ飛ぶと地面に落下する事無くそのまま爆発四散した。 「おおおっ!?」 素っ頓狂な声を上げたのはソンネンであった。 「お前か!クソガキ!?」 信じられないという面持ちでソンネンはヒルドルブを止め、通信モニターを見つめた。 そこにはあどけない表情をした少年兵が、深く息をつきながらシートに背を預ける姿が映し出されていたのである。 「はい、ソンネン少佐」 そう答えるとアムロは手元のレバーを操作し、彼の操るMSに生えた巨大な砲身を折り畳ませた。 そのままホバーを吹かし、ソンネン達が戦っていた集積所の遥か10キロ後方に設営された塹壕のスロープから巨大なMSの威容を明らかにさせる。 全高27メートルを誇るYMS-16M【ザメル】。ラルの言っていたMSとはこれの事だったのだ。 長距離支援用に特化して開発された超重MSである。 ちなみにこれに搭乗する筈だったパイロットはまだこの地に到着していなかった。 敵と直接交戦していない集積所には他に訓練を受けたMSパイロットはおらず、急遽アムロが乗り込む事になったのである。 「嘘だろおい・・・初めて乗ったMS、しかも暖気も終えてねえ680ミリカノンをあの距離から当てた・・・だと・・・!?」 まず大前提として、680ミリなどという大口径のカノン砲は、動き回る小さな敵を狙撃するタイプの武器では断じて無いのだ。 そして、気温や湿度、気圧や風等の気象条件で刻々とコンディションが移り変わるこの地上では、どんな砲兵でも初弾の命中など、幸運以外ではまず有り得ない事を知っている。 如何な名手といえど、当日の着弾の状態を見ながら少しづつ修正を重ね射撃精度を上げてゆくものなのだ。それは腕利きのベテラン戦車兵であるソンネンも変わりはしない。 無意識にソンネンはレシーバーと共に軍帽を脱ぐと、短髪に刈り込んだ頭をざらりと撫でた。 「確かに『絶対に塹壕から出ずに、チャンスがあった時だけ援護しろ』と言っておいたがな・・・・・」 全てを言われた通りにやってのけたアムロに、ソンネンは文句の一つも付け様がない。 それどころか事前にソンネンは、「もし俺がやられても敵と一戦交えようなどとは考えず、速やかにここから離脱しろ」とまで言い含めていたのである。 いくらランバ・ラル肝いりの少年兵だろうとこの局面でアテにできる訳がなく、ド素人を実戦に出す訳にはいかない。 あれだけ距離を離しておけば援護などやれる筈もないし、そうこうしている間にいずれかの形でこちらの決着は着くだろう。 万が一、自分がやられた後に例え敵に見つかったとしても・・・一目散に逃げ出せばザクの足では追い付けまい。 マニュアルにざっと目を通し、ザメルというMSのスペックを把握したソンネンは、そう考えていた。 始めから彼は、迫り来る敵を一人で迎え撃つ腹だったのである。 そんなソンネンの不器用な配慮はしかし、意外な形で裏切られた。 824 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 21 33 ID Il41vxck0 しかも相手は空中にいた―――― 先程の状況を正確に思い返す都度、ソンネンは眩暈を禁じ得ない。 あの場面を自分に置き換えたらどうすると彼は頭を巡らせた。 もしジャンプした敵を空中で狙い撃つとするならば――― 例えばクレー射撃の要領で、対象物が放物線を描いている頂点、つまり敵が自由落下を始める直前に動きが止まる一瞬を狙うしかないだろう。 しかし、手持ちのライフル銃ならいざ知らず、長距離砲撃において複雑な手順と操作を要求される680ミリカノン砲である。 果たして、突発的にどこへ動くかわからない敵MSを・・・ 10キロ以上も離れた位置から狙い・・・ ジャンプした一瞬を逃さず・・・ 素早く680ミリカノン砲の照準を合わせ・・・ 確実に砲弾をぶち込む事など・・・可能なのであろうか。 一筋の汗がソンネンの頬をつたう。 いつの間にか喉がからからに乾いていた。 偶然など、有り得ない。「敵の行動を先読み」でもしていなければ、そんなのは到底無理な芸当だ。 ソンネンは、薄気味悪そうに通信モニターを覗き込んだ。 「・・・クソガキお前、いったい何物だ」 「え、な、何の事ですか?」 モニター越しの眼光に射竦められて戸惑う少年に、ソンネンは溜息をついて何でもねえと呟いた。 ――――そう言えばあの直後 通信機をオフにしたアムロは真っ青な顔でいきなり、あのF型ザクは怪しい、迎撃準備を整えておくべきだと言い出した。 たまたまソンネン自身もそのつもりだった為に大きな混乱もなく事は運んだが、あれは―――― ソンネンは頭をばりばりと掻き毟った。 彼とてニュータイプという言葉は聞いた事があったが、それをこの頼りなげな少年兵と結び付ける気にはとてもならなかったのである。 「アムロ!無事か?」 「!」 突如スピーカーから飛び込んで来た元気な声が場の重い空気を吹き飛ばし、ザメルを集積所へ向けていたアムロの顔を上げさせた。 「ハマーン・・・」 メインモニターには月明かりの下、アムロの搭乗しているザメルと同型のMSが、ホバー走行でこちらに向けて走り来る姿が映し出されている。 アムロがやや走行スピードを緩めると、見る間にもう一機のザメルはアムロ機に追い付き、強大な超重MSが2機、横並びとなった。 激しい砂煙を巻き上げて荒野を疾走する両者のザメルは、アムロの乗機がカーキ、もう一機がモスグリーンと、ボディカラーを異にしている。 「お疲れ様アムロ。物資と人員の退避は無事に完了したわ」 「セイラさん。そちらこそお疲れ様でした」 ハマーン・カーンとセイラ・マス。通信モニターに映し出された2人の顔を見てアムロは笑顔になった。 ザメルは操縦士と射撃手がそれぞれを担当する複座仕様のMSであり、モスグリーンのザメルは現在セイラが操縦しているのである。 やろうと思えばアムロが今やっている様に操縦系を切り替え、1人で全てを操作する事も出来るが、この特殊なMSにおいて操縦と砲撃を1人で行う事はパイロットの負担を著しく増大させる為、公式には推奨されていない。 戦闘はソンネンとアムロに任せ、重要な物資と駐留する人員をザメルを使って速やかに遠方へ避難させる。 それが今回彼女達に割り当てられた役目だった。 「大急ぎだったから、見て?物資がここにもあるの。だから狭くって!もう!」 ハマーンはぷうと頬をふくらませて不満顔だ。 作業員の誰かが、どうせ戦闘に参加しないからという理由で、ハマーンの座る射撃手用のコックピットスペースに小荷物を幾つか放り込んだのだろう。 モニターの中で荷物に押され口を尖らせている小柄な少女を見てアムロは噴き出した。 過積載気味に物資を満載し、嵐の中で無理をさせた為かエンジンに不調をきたし、やむなく置き去りにせざるを得なかったファット・アンクルこそ破壊されてしまったが、その他の被害が皆無であったのは、間違いなく彼女達の頑張りによるものだったろう。 825 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 22 14 ID Il41vxck0 「その様子だと、すっかり調子は戻ったみたいだね、ハマーン」 「うん、もう大丈夫だ。ごめん・・・」 しゅんと項垂れたハマーンにアムロは苦笑した。 今思えばあのF型ザクと会敵(!)するまでがハマーンの具合の悪さのピークだった。 後から聞いた話では実はセイラもその頃軽い頭痛を覚えていたと言うし、何を隠そうファット・アンクルを操縦していたアムロ自身もそうだった。 もしかしたら、あの味方に偽装したザクが放射していた悪意の様なものを・・・自分達は感じ取っていたのではないか。 アムロにはそんな風に思えてならない。 特にクレタ島のニュータイプ研究所で被験者だったハマーンは、よりそういったものに対して敏感に反応するのかも知れないと。 やがて、塹壕からゆっくりと這い出して来たヒルドルブに2機のザメルは合流した。 「・・・ま、良くやったよクソガキ。 ゲリラ屋・・・いや、ランバ・ラルの眼もまあ、確かだったって事にしといてやらあ」 これじゃ本職の戦車兵が形無しだぜと小声で呟きながら帽子をかぶり直したソンネンは、諦めに似た表情を浮かべた。 結果オーライと言われようが、戦場において何より大事なのはその結果なのである。 「それから、そっちの小便臭え2人もご苦労だった。お前らのお蔭で首尾良くいったぜ」 「有難うございます」 「小便臭いって言われたんだぞ!?礼なんて・・・!!」 ソンネンの下品な物言いに澄まし顔で答えたセイラに噛みつこうとしたハマーンは、何故か突然言葉を切って黙り込んでしまった。 「どうしたのハマーン?」 「・・・イヤな感じがする・・・なんか、まだ・・・・・・」 ハマーンの様子に首をかしげたセイラの手元で突然、コンソールのアラートがけたたましく鳴り響いた。 「定点センサーに反応!11時の方向より地上を何かがこちらへ向かってくる模様です!!」 「友軍反応出てねえ!敵襲だ!!散開しろ!!」 ソンネンの一喝で色違いのザメルは散り散りに分散した。 どうやら敵はたった1機でこの地を踏んだ訳では無かった様だ。考えてみれば、至極当然の部隊構成である。 「敵は3機!・・・しかし何だこのスピードは!?」 速度が異常だ。 このスピードは、恐らく本気を出したヒルドルブにも匹敵するだろう。 「来る!逃げて下さいセイラさん!なるべく遠くに!」 「で、でも相手は3機なのでしょう!?」 「アムロ!私だって戦える!!」 「ハマーンは黙れ!これはシミュレーションじゃないんだぞ!!」 「・・・!」 今までに見た事もないアムロの剣幕に、モスグリーンのザメルに搭乗している2人は息を呑んだ。 「・・・お願いしますセイラさん。ここは僕らに任せて早く!」 「判ったわ。頑張ってね、アムロ」 「アムロぉ・・・」 悲しそうなハマーンの声には敢えて反応せず、アムロは通信を切った。 意を決して踵を返したモスグリーンのザメルはホバーを全開にすると、そのまま駆け去った。 826 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 23 21 ID Il41vxck0 「へへへ、なかなか言うじゃねえか、いい判断だったぜクソガキ」 「ソンネン少佐、済みません、勝手に・・・」 「聞こえなかったか?俺はいい判断だと言ったんだ」 ソンネンは薄く笑いながらタブレットを噛み砕いた。しかし気分は何故か、悪くない。 「敵は恐らくMSだ。俺のヒルドルブはそうでもないが、そっちゃあお世辞にも白兵戦が得意とは言えねえだろう。 いいか乱戦に持ち込まれんじゃねえぞ。後ろへ下がってなるべく俺の援護に徹しろ、判ったな」 「了解です」 ヒルドルブは再び塹壕の中に潜り込み、アムロはザメルを集積所の中まで後退させるとHLVを回り込んで足を止め、敵の方角に向けて680ミリカノン砲を展開した。 巨大で頑丈なHLVならば、ザメルの遮蔽物に丁度いい。 センサーが2度目の警報を鳴らす。相対距離は10キロを切った。しかし敵の姿はまだ見えずターゲットのスピードは揺るがない。 言い知れぬプレッシャーに耐えながら固唾を飲んで敵を待ったアムロはやがて、小高い丘の稜線を蹴散らし姿を現した、まるで弾丸の様に地面を疾走する3機の戦闘車両を見て驚きの声を上げた。 「あれは・・・ガンタンクなのか・・・?」 そのシルエットは、砲身を一門に減らしたガンタンクそのものであった。 しかし、スピードが段違いである。何より、彼の知るガンタンクはこんな風に敵陣に突っ込ませるタイプのMSでは無かった。 「!」 突然、先頭を走るガンタンクの上半身がガシャリと前方に倒れ走行速度を更に上げた。 続く2機も次々に変形するや先頭機の後を追う。どうやらこのMSは突撃走行時に変形を行うらしい。 空気抵抗を減らし、車高を低くする事で被弾率をも減らす狙いもあるのだろうとアムロは読んだ。 『やれやれ、間に合わなかったか。どうやら本当に片目のオッサンはやられちまったらしいね。 クズワヨ!カルッピ!残骸の写真、ちゃんと撮っておきなよ!!』 『もう撮り終えてますぜ技術中尉殿!!』 『敵は2体です!!一匹は塹壕の中!もう一匹はでけえ建物の後ろだ!』 部下の報告にアリーヌ・ネイズン技術中尉は目を細めた。 彼女の開発したRTX-440【陸戦強襲型ガンタンク】に搭載された最新式の索敵装置は、瞬時に敵MSの居場所を炙り出す。 かつて部隊を同じくしたマット・ヒーリィが見込んだ通り、この3機のMSはまるで有機生命体の如く、阿吽の呼吸で敵陣に切り込んで行った。 827 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/05/03(木) 17 23 44 ID Il41vxck0 『隊長が死んじまっちゃセモベンテ隊生活も終わりだな、配置換えになった途端にこれか・・・』 『上は相当及び腰になってるみたいだし、いったい次は何処へやられんでしょうね、俺ら』 『知るか!それより折角だ、オッサンの弔い合戦と行こうじゃないか! あたしらには目的があるんだ!こんな所でしくじるんじゃないよ!!』 『了解!MLRS(多連装ロケットシステム)発射!』 まるで示し合わせた様に3機のガンタンクは履帯側面に装着されていた56連装のロケット弾を一斉に射出した。 命中率は高くないが、弾数でカバーする武器である。対MS戦では思いの外有効な攻撃となる。 「上空より高熱原体複数飛来!緊急退避して下さい!!」 「チッ!」 先手を取られたヒルドルブは塹壕外に通じるスロープを掛け上がり、間一髪ロケット弾幕の直撃を回避した。 しかしそれは、敵の前に己の体をさらけ出す事に他ならなかった。 『いたな!回り込めクズワヨ!カルッピはもう1機を仕留めろ!!』 『了解!』『了解!』 敵MSの連携力を見て、アムロの背にぞくりと怖気が奔った。 恐怖ではなく生理的な嫌悪、である。 この3機、恐らく単独で戦えば自分やソンネンの敵ではないだろう。しかしこのチームワークは何だ。 いや、チームワークなどというものよりもっと深くて昏い何か、敢えて言うなら淫らな業・・・ まだまだ人生の青二才であるアムロにとって、一種おぞましい類の何か、で、彼等は繋がっている気がしたのである。 「くっ・・・!」 アムロは軽く首を振って己を奮い立たせると、こちらに向かって来る1機のガンタンクに向け、8連多弾倉ミサイルランチャーを撒き散らした。 ザメルに白兵戦用の武器はない。できるだけ敵を懐に入れぬ戦い方をせねばならない。 YMT-05【ヒルドルブ】&YMS-16M【ザメル】 対 3機のRTX-440【陸戦強襲型ガンタンク】 ジオンと連邦、両陣営が様々な思惑の中で作り上げた地上機動兵器が数奇な運命に導かれて一堂に会した。 そして、今まさに激烈な戦いに身を投じようとしている彼等と時を同じくして、遂にオデッサの戦局も大きく動き出そうとしていた。 夜は未だ明けない―――― しかし地平線の彼方にたなびいていた不気味な黒雲は、いよいよ風雲急を告げようとしていたのである。 912 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/08/01(水) 19 01 31 ID 25u12kew0 「ハマーン、アムロの言った事、理解できて?」 「・・・・・・」 戦場に背を向けてザメルを疾走させながらセイラは背後上方、射撃手用のコックピットに座るハマーンに声を掛けた。 しかし、いくら待っても意気消沈した少女からの返事はない。 「アムロは私達を危険な目に合わせたくないの。 特にあなたを、人と人との殺し合いに巻き込みたくないって」 「・・・・・・」 深く項垂れたハマーンの顔には両脇からツインテールが掛かり、その表情は窺い知る事ができない。 だが、その両目はしっかりと見開いている。そんな気配だ。 ちらりと背後を眼をやってそれを確認すると、小さく深呼吸をしたセイラは視線を前方に戻してから口を開いた。 「でもね」 突如雰囲気を変えたセイラの口調に、俯くハマーンの肩がぴくりと反応する。 「ここは戦場で、今私達は戦争をしているの」 言いながらセイラは高速走行中のザメルにスリックカートよろしく強烈なドリフト制動を掛けた。 突発的に捲き起こった強い横Gに、俯いていたハマーンの顔は跳ね上がり彼女を抑え込んでいた荷物はまとめてシート後方のスペースに転がり飛んだ。 「ごめんなさい、あなたには先に謝っておくわね。 でも、やっぱり私はアムロ達を見捨てて逃げる事なんてできない。あなた、シミュレーター経験はあるのでしょう?」 「え・・・」 スピンターンで180度機体の向きを変えた為、ズームが効いた正面モニターには戦場の様子が映し出されている。 はっと、ハマーンは眉をひそめた。カーキ色をしたザメルの動きが、明らかに鈍い。 MSを駆るアムロの動きを知るハマーンが目を疑うほど、その動きはぎこちないものであった。 「ここに座って判ったのだけれど・・・このMS、一人で全部戦闘機動をやろうとすると、すごく操縦がし辛いの」 「そんな・・・!」 「武器用のコンソールパネルが変な位置に取り付けてあるのよ。 あくまでもこのMSは二人乗りが前提なのね。これじゃいくらアムロでも・・・」 「・・・・・・」 「本当は、あなたをここに降ろして私一人で戦場に戻るべきなのかもしれないけれど・・・」 アムロが持て余すMSを自分一人でどうする事もできはしないだろう。 それどころか味方の足を引っ張りかねないお荷物と化す公算が大である。それが判るセイラだけに苦渋の選択を採らざるを得ない。 913 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/08/01(水) 19 01 58 ID 25u12kew0 しかしハマーンはセイラの偽りの無い葛藤と苦悩を感じ取ると、むしろ嬉しそうな顔でシートベルトのロックをものともせずに身を乗り出した。 「早く戻ろう!」 「!」 肩越しに振り向いたセイラとハマーンの視線が中空で交錯した。だがそこに以前の火花は発生しない。 「アムロを助けに行こう!ついでに、うーんと、仕方ないから、あの嫌なオヤジも助けてやろう!」 「ありがとうハマーン・・・!」 ハマーンを説得するつもりだったセイラは、じんと胸が熱くなるのを堪える事ができなかった。 実戦の怖さを知らぬいたいけな12歳の少女を戦場に駆り出す罪咎は、全てこの身に受けると心に決めている。 「行きましょう。仲間を助けに」 ヘルメット装着を指示されたハマーンは、シートの横にぶら下がっていたそれを急いで引き寄せた。 大人用なので多少ぶかぶかしたが、どうやら新品らしく嫌な汗の匂い等は皆無だったので安心してフードを閉める事が出来た。 セイラも、脇からヘルメットを取り出し被るとフードを閉める。 素早く各部をチェックしコントロールモードを『戦闘』に切り替えると、ザメルの機体がガクンと一段沈み込んだ。 戦闘準備が完了したのである。 「いいわね?戦闘中は私の指示に従う事。武器管制は完全に任せて宜しい?」 「・・・マニュアルは読んだ。できると思う」 正直なハマーンにセイラは好感を持った。ただこういう場合は意気を上げる為に多少のハッタリが欲しい所だ。 「わ、私は新型MSのテストパイロットをやっていた!少なくともバーチャルデータ上では敵なしだった!」 セイラの心の声が通じたのかどうか、直後のハマーンの言葉にセイラは戦闘前だというのにクスリと微笑んだ。 940 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/09/27(木) 19 08 36 ID NVmpDrD.0 「くっ・・・!ダメだっ・・・・・・!」 一瞬早く左側方に回り込まれ照準から外れてしまった敵に舌打ちすると、アムロはザメルの機体を真横に滑らせた。 サイドモニターで撃ち出したミサイル全てが外れたのを横目で確認しながら左手を伸ばし、コンソールに備え付けられているスイッチの一つを捻る。 瞬間、ガンガンガンガンと機体に連続的な衝撃が疾った。 「当てられたっ!?バルカン砲か!」 同じホバー機動とはいえ、以前に乗った飛行試作型グフとは随分と違う操縦感覚である。 流石に図体の大きなこの機体では回避スピードにも自ずと限界があるようだ。 急いでモニターに目を奔らせ各部のダメージチェックを行うが、幸いにも特に目立ったアラートは示されていない。 全高27M全備重量121.5tという巨大なザメルはその分装甲も厚い。この距離、そしてこの程度の威力の実体弾ならば致命傷にならないのかも知れなかった。 だが限度はある。このまま迂闊に接近を許し、至近距離からの攻撃を受け続けるような事になれば、この超重MSといえど持ちこたえる事はできないだろう。 アムロは横Gに歯を食いしばりながらフットペダルを踏み込み、ザメルを振り回してもう一度敵を照準モニターの中央に捉えようと試みた。 足を止める訳にはいかない。アムロの直感は正しい。 しかし目前に迫る凶悪なガンタンクはアムロの知るそれよりも遥かに速く、そして想像以上に無謀だった。 「何!?」 姿勢を低く変形させ、真正面から全力で突っ込んで来る敵車両を映し出すモニターの映像に、アムロの背筋は凍りついた。 いつの間にか相対距離は400Mを切っている。 常識的に考えてこの角度からの正面突撃など通常では有り得ない。敵が正面に向けて武器を放てば蜂の巣となれる事請け合いだからである。 敵の突撃には迷いがない。だとすれば行動の意図が読めない。命が惜しくはないのか!? まさか敵はずぶの素人なのだろうか、それとも何か別の思惑があるとでも言うのだろうか。 あるいは罠か?こちらの攻撃を誘っているのか。 意表を突いた敵の挙動が逡巡を呼び、逡巡がゼロコンマ数秒の遅れを呼ぶ。 アムロの指が20mmバルカン砲のトリガーに掛かる、が――― 「あっ・・・!」 次の瞬間、指はレバーを掴み損ねた。 もともと一般兵用を前提に調整されたザメルの操縦士用コックピットに急遽備え付けられた武器管制コンソールは 小柄なアムロの体躯では腕をいっぱいに伸ばしてようやく届く位置にバルカン砲のトリガー付きレバーが設えられていた。 敵の無謀な突撃に焦ったアムロが勢い良く体を乗り出した瞬間シートベルトにロックが掛かり、はずみでレバーから一瞬指が外れてしまったのである。 普段では考えられないミスに愕然とするアムロはレバーを握り直すがその時既に、ガンタンクはザメルの懐に入り込む事に成功していた。 941 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/09/27(木) 19 09 16 ID NVmpDrD.0 「ヘッヘ・・・テメエもいただくぜデカブツ!!」 カルッピは舌なめずりをすると何やら動きの鈍い巨大MSの眼前で220ミリ低反動キャノン砲を発射した。 彼の行動理念はとにかく敵に肉薄して撃つ、それだけなのだ。 戦術と言えるシロモノでは到底なくある意味、カミカゼ・スタイルに極めて近い自分の命というものを全くもって顧みない迫撃。 それが彼等ガンタンク小隊が敵味方から命知らずと目される所以なのである。 彼等の特殊な境遇によって形成されたメンタル、そしてRTX-440陸戦強襲型ガンタンクの機動力と性能が可能にした戦法とはいえ尋常ではない。 どう考えても正気の沙汰ではない。 しかしこの捨て身の攻撃方法が敵に与える恐怖は予想以上であり、誰もが刹那の生にしがみ付こうとする戦場では極めて効果的に作用したのである。 それは彼等が激戦の中、ここまで生き延びて来たという紛れもない事実が物語っている。 すなわちそれは、ジオン歴戦のMS乗り達が、地上戦において技量でははるかに劣る筈の彼等の前に無残に散って行った事に他ならない。 狙いは敵のどてっ腹。 一切の小細工は無し、外し様の無い必中の距離である。 「―――!?」 カルッピは目を剥いた 目前の巨大MSが急激に角度を変え、90度横を向いたのだ。 必殺の砲弾は命中したものの、敵MSの左手部分を破壊するに留まったのである。 「ヤロォッッ!!」 当てが外れたカルッピは、ガンタンクを通常形態に変形させながら突撃を継続させた。 敵はあの巨体だ。加えてどう見ても長距離攻撃に特化したMS、密着すればこちらは更に有利になる筈だ。 自身は気付いていないが、少なくとも今までの敵ならば間違いなく仕留められていたという違和感が彼の心を逸らせていた。 「む?新手かよ!?」 突如鳴り響いた手元のアラートにカルッピは顔を顰めた。 ミノフスキー粒子に荒れたモニターには眼前のデカブツと同型だが色違いのMSが、砂煙を上げてこちらに向かって来るのが映っている。 しかしお仲間のMSにピッタリ張り付いているこのガンタンクには迂闊に手出しできまい。目論見通り、こちらはまず目の前のコイツを仕留めるのみだ。 ニヤリと笑ったカルッピだったが、片側のサイドモニターに迫り来る黒影に表情を引き攣らせた。 瞬間、超硬スチール合金製の極太の鉄棒が、重低音の唸りを上げて強襲型ガンタンクを横殴りに叩きのめし、吹き飛ばしたのである。 「ぐぅわああああぁああああぁあぁ・・・・・・!!」 もんどりうって地面を転がったガンタンクの中で、カルッピは訳の分からぬまま意識を失った。 942 :1 ◆FjeYwjbNh6:2012/09/27(木) 19 09 53 ID NVmpDrD.0 「はあ・・・はあ・・・はあ・・・・・・!」 アムロは荒く息を吐きながらヘルメットを脱ぐと額の汗を何度も手の甲で拭った。 まさに間一髪の勝負だった。 咄嗟の機転でザメルの機体を真横に回転させ砲弾による致命傷を何とか免れたアムロは、敵の意識がこちらから一瞬離れた事を感じ取り すかさずザメル背部に折り畳まれた68センチカノン砲を展開しながら更なる勢いをつけて機体をスピンさせたのである。 ザメルの誇る68センチカノン砲の砲身は、展開させればその長さは実に30Mを超える。 アムロはザメルの姿勢を前傾させる事で砲身を限界まで下に向け、ホバー駆動ならではの回転でたっぷりと重量を乗せたそれを 密着して来たガンタンクに叩き付け、薙ぎ払ったのだった。 しかも砲身が敵に激突する瞬間、アムロはホバーを切っていた。 安定性が高いガンタンクが上半身をひしゃげさせながら派手に横転したところを見ると、どれほどインパクト時の衝撃があったのかは想像に難くないだろう。 「アムローッ!!」 「無事なの、アムロ!?」 くの字に曲がった砲身の先が地面に突き刺さって埋まり、集積所の瓦礫に半ば突っ込んだ形で動きを止めたザメルを見て、もう一機のザメルのパイロット達は恐怖の声を上げた。 ホバーを切った事で激突時の衝撃が増し、相応のダメージがザメル側にもあったのである。 「セイラさん、ハマーン、どうして戻って・・・いや・・・」 アムロは唇を噛んだ。彼女達が敵の気を一瞬でも逸らせてくれたからこそ、何とか勝ちを拾えたのだと気付いたのである。 「・・・助かりました、本当に・・・」 敵の意識がこちらに向いたままだったならば、主砲及びミサイルランチャーの弾薬庫があるザメルの背部を一瞬でも敵ガンタンクに向ける事はできなかっただろう。 「大丈夫なのねアムロ、良かった」 セイラは安堵の声を漏らす。 『すごかったぞ!あんな風に戦うなんて!さすがアムロだ!』 「そんなんじゃないよハマーン、咄嗟にやったあれは人マネに過ぎない。 それにこっちもダメージがかなり大きいし・・・とても褒められたもんじゃないさ」 ハマーンのはしゃいだ声を、アムロは自嘲気味に遮った。 脳裏にはかつて黒い三連星と共に戦った『ガンダムもどき』との対決が鮮明に思い出されている。 あの日やられた事を、今日は違う相手にやり返しただけなのだ。何ともほろ苦い模倣であった。 アムロはあの時、対峙した敵によって戦いのセオリーと固定観念をぶち壊された。 なりふり構わず生き抜けという強烈なメッセージを、敵から文字通り叩き込まれたのである。 とまれ結果的に見れば、互いのあずかり知らぬ処ではあったが 自らの命を顧みない者とあくまでも生き抜こうとする者の対決は後者に軍配が上がった形で決着を見た。 「このMSはもう動けません、脱出します」 アムロはヘルメットを被り直すと、斜めに傾いだコックピットの中でシートベルトを外した。 しかしコックピットハッチが稼働せず、手動でも完全に押し開く事ができない。 「駄目だ、歪んでる」 ここから抜け出せないのであれば、セイラ達とMSの操縦を交代する事は不可能だ。 時間を掛ければ脱出できそうだが、今は何よりその時間が惜しいのである。 アムロは、腹を括るしかない事を悟った。 『アムロ、出られないの?』 「ええ、でも一人で脱出できます、それよりも」 『判ったわアムロ、私達はソンネン少佐の援護に向かいます』 地面に接地していたモスグリーンのザメルが砂塵を巻き上げふわりと浮き上がる。 察しの良いセイラはすぐにアムロの意図を読み取った。 アムロにとっては辛いであろう言葉を最後まで言わせなかったのはもちろん、彼女の心遣いによるものだ。 「くれぐれも慎重にお願いします、絶対に敵を近寄らせてはダメです、危ないと思ったら迷わず引いて下さい!」 『了解』 「ハマーン、君ならできる。セイラさんと心を合わせるんだ」 『任せておけアムロ!』 明滅を繰り返し始めたモニターには踵を返すモスグリーンのザメルが辛うじて映し出されているが カメラの角度が変えられない為、その姿はすぐにフレームアウトするだろう。 こうなれば、各人のやれる事を最大限にやるしか道はない。 アムロは座席の下から脱出用の工具箱を引っ張り出し、中からバール付きのスチールカッターを手に取った。 「頼むぞ・・・!」 光の漏れるハッチの隙間に工具の先端をこじ入れると、アムロは誰に言うともない言葉を噛み締めながら呟いた。
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【SS】もしアムロがジオンに亡命してたら part6 8 名前:通常の名無しの数倍[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 16 52 26 ID dmqt2Kqk0 [2/6] 「全員、手はきれいに洗って来たね?それじゃあ晩ご飯にしよう!」 清潔な白いケットをエプロン代わりに腰に巻き、タオルをふんわり頭に被り後ろで縛った「姉さんかぶり」の出で立ちのミハルは、両手を腰に胸を張り、テーブルに着席した一同に笑顔でそう宣言した。 ミハルの横で彼女と同じスタイルをして立つハマーンも、何やら緊張した顔で頷いている。 このミハル・ラトキエという17歳の少女には、こういう家庭的で少々レトロなスタイルが実に良く似合うのだなとシャア・アズナブルはぼんやり考えていた。 どちらかというと痩身気味の彼女だが、むくつけき男達を前に物怖じせず、堂に入ったその態度は貫禄十分である。 恐らく調理場を仕切った時からここはミハルのフィールドとなったのだ。すべからくここにいる男達は、母親を前にした幼い子供の様に、彼女に逆らう事は許されない何かを感じてしまっている。 もちろんそれはこの場限りのものではあるだろうが、部隊指揮官の目から見ても「見事な人心掌握術」と言えない事もなかった。 士官学校時代から何かと女性に不自由しなかったシャアではあるが、こういった雰囲気を醸し出す女性は今まで彼の周りにはおらず、彼女の一挙手一投足が実に新鮮に映り、目が離せない。 サムソンの車内ではあえて彼女と離れた場所に座り一言も彼女とは会話しなかったシャアだが、やはり無意識に視線は彼女に向いていた。 その眼差しを隠すのに、彼の仮面はこの上なく役に立っていたのである。 普段は会議用に使用される楕円形のテーブルに着席している一同の前にミハルとハマーンの手によって置かれたのは、3つの大ぶりな平皿にそれぞれ積み上げられたサンドイッチの山だった。 この人数にこの量はさすがに多すぎるのではないだろうかと、まず誰もがそう思った。 やや厚めに切られたパンの中には、得体の知れない桃色の物体がたっぷりとはさみ込まれている。 3皿のサンドイッチ全てがそれなので、えり好みは不可能だ。 薄気味悪そうにこのパンには一体何が挟んであるんだと目で問うクランプに、判りませんやと小さく肩を竦めるコズン。 ちゃんと今夜の糧を神様に感謝するんだよと言いながら一同を見回し終えると、ミハルとハマーンの二人は忙しそうにそのまま部屋を出て、再びキッチンへと消えてしまった。 後には、目の前のサンドイッチを凝視する一同の醸し出す何とも言えない空気が残された。が――― 「お、お待ち下さいシャア大佐!」 慌てた様なアンディの声で、シャアは手袋を脱いでサンドイッチに伸ばし掛けていた手を止めざるを得なかった。 「何だ」 「あ、いえ、大佐は大事なお体なのです!オデッサも控える今、得体の知れないモノを食して体調でも崩されたら一大事!!」 少しばかり不満そうなシャアに小声で答えたアンディの言い分に、ピンク色のサンドイッチを見ながら確かにそうだとその場の全員が頷く。 こういう場合、リトマス試験紙、悪く言えば毒見役的な役割を担うのは、やはり一番立場の弱い者になるのは世の常であろう。 うず高く積み上げられた正体不明なサンドイッチを前に、場の空気を読んだ一人が、実に消極的な挙手をした。 「・・・まずは自分が」 「判ってるじゃねえかバーニィ!お前も使えるオトコになったモンだぜ!!」 悲壮な決意をその顔色に滲ませながら名乗り出たバーニィの背中をコズンが嬉しそうにバンバンと叩いている。 「あはははh・・・それ程でもありませんよ・・・」 その衝撃に指で摘んだサンドイッチを取り落としそうになりながらも周囲が固唾を呑んで見つめる中、バーニィは思い切ってソレをぱくりと口に入れ、数回咀嚼し・・・飲み込んだ。 9 名前:通常の名無しの数倍[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 16 53 46 ID dmqt2Kqk0 [3/6] 「ど、どうだ!?」 まん丸に見開かれたバーニィの瞳を見たコズンが今更な心配声をかける。 が、上気した顔で、バーニィは勢い良く頷いた。 手には既に二つ目のサンドイッチが摘まれている。 「コレ美味いです!もの凄く美味い!!」 「何だとお!?お前、俺達を地獄の道連れにしようってんじゃないだろうなっ!?」 「そう思われるのでしたら、コズン中尉の分は自分が頂きますが宜しいですか?」 「!」 瞬く間にバーニィが手にした二つ目を食べ終えたその途端、再び伸ばした彼の手を跳ね除けたコズンを含め、サンドイッチの山に一同はわらわらと一斉に手を伸ばした。 正味の話、もういい加減に全員腹が減っていたのだ。 見てくれは悪いサンドイッチだが、食えるとなれば話は別だ。 しかしその味は、遙かに皆の想像を越えていたのである。 「うお美味ぇ!なんだコリャ!?」 「確かに良い味だ、いやこれは金が取れるぞ。酒にも合いそうだ」 光の早さで一切れを食べ終えたコズンはすかさず2つ目を手にし、クランプはしきりと関心した様に食べかけのサンドイッチを見つめている。 こう見えてクランプは料理もやる。開戦前までサイド3でバーテンをしていた事もあり、彼の舌は確かである。 「このパンの中身は・・・ポテトサラダだな。 それに生のタラコをレッドチリソースに漬け込んでほぐした物を混ぜてあるらしい。 だから全体がこの様な色になっているんだ。 なるほど、辛さのアクセントがジャガイモのコクを引き出していて実に旨い。ビネガーの効き具合も、絶妙だ」 まじめな顔でサンドイッチの分析をしているクランプの横でシャアは満足そうに口を動かし、2つ目を喉に詰めたコズンが慌ててミネラルウオーターで流し込んでいる。 確かにこれがビールだったら最高だろう。 「タラコって何です?」 「魚の卵ですよ准尉。コロニーでは高級品ですが地球では割と安価で手に入る食材です」 こちらでは夢中でサンドイッチを頬張るアムロの問いに、彼の右隣に座ったニムバスが丁寧に答えている。 サイド7に移り住むまでは地球で育ったというアムロでも良く覚えていない様な事を、すらすらと話せるニムバスの知識は結構凄いなと考えていたバーニィは、再び部屋に入って来たハマーンの姿を目に留めた。 「あ、アムロ、あのその、こ、これも食べてmてくr」 後半のセリフを噛みながらも思い切って差し出されたモノにアムロは驚きつつ絶句した。 ハマーンの名誉のためにもここは敢えて、そのモノの描写を避ける。 「こ、これは・・・」 「ハマーンはあんたの為に生まれて初めて料理をして、一生懸命これを作ったんだよ。気持ちを酌んでおやりよ」 恥ずかしそうに顔を伏せるハマーンの後からやって来たミハルが、苦笑いしながらアムロにそう進言した。 彼女の手には熱々のシチューが入った大きな煮込み鍋の乗ったキャスターが押されている。 「ほう・・・!」 香ばしく食欲をそそる香りに皆が思わず唸った。 その魚介類がふんだんに入ったブイヤベースの深皿が各人の前に一つずつ行きわたってゆくのを見たシャアとアンディは、通信室で微かに香っていたのはこれだったのだと得心したのである。 「おおお!これまたべらぼうに美味いぜ!」 「これは凄い。よくこの短時間でこんなに深みのある味を出せたものだ」 「食材の中にぶどう酒があったからね、それも使ってみたんだよ」 またも一同から巻き起こった賞賛の嵐に面映ゆそうにミハルが答えているその横で、問題のブツを前にして固まってしまったアムロは、だらだらと汗を流し、密かに助けを乞う視線をちらりと隣のバーニィに送ったが 「准尉!ハマーン嬢の気持ちに答えるためにも、これは、覚悟を決めるしかありませんよ?」 自分は美味そうにブイヤベースをかき込みつつ、バーニィはニヤニヤしながらアムロの恨めしそうな視線を断ち切ってしまったのである。 驚いたアムロは一縷の望みを込めて反対隣に座るニムバスに視線を向けた。しかし・・・ 「騎士たるものの心得として、女性に恥をかかせる事など言語道断。 ・・・骨は拾って差し上げます」 ぴしゃりとニムバスにもそう言われてしまった。 ここに、アムロの退路は完全に断たれたのである。 10 名前:通常の名無しの数倍[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 16 55 23 ID dmqt2Kqk0 [4/6] 「ミ、ミハルは心を込めて料理を作れば失敗はないと言ったぞ?」 「あり、がとう、ハマーン、失敗なん、てあるは、ずないさ」 自らが作ったモノを必死にアピールするハマーンにスタッカートで答えながら、アムロは震える手で、パッと見●●●にしか見えない件のブツをつまみ上げ、ぱくりと口に入れた。 「・・・・・・・・・・・・こっっっ」 瞬間、口の中の水分を全部持っていかれてしまったアムロは、パッサパサ言いながらラインダンスを踊るウサギ達の幻影を垣間見た。 何かを求めるように中空をヒラつくアムロの手にしっかりとミネラルウォーターのボトルを握らせてやるニムバス。 ものすごい勢いでブツを飲み下しているアムロの背中を気の毒そうにさするバーニィ。 何だかんだでこの三人、チームワーク抜群である。 ぜえぜえ言いながら顔を上げたアムロの目に、ぎゅっと両手を握り込み自分を凝視しているハマーンの顔が映った。彼女は、アムロの言葉をじっと待っている。 「・・・准尉」 小声でニムバスに促されたアムロは息を整え、少々引きつった顔でハマーンに笑顔を向けた。 「ありがとうハマーン。とても美味しかった」 その瞬間、自信なさげだったハマーンの顔が、ぱあっと喜びに輝いた。 「ミハル!ミハル!やった!アムロがおいしいって!!」 「良かったねハマーン。だから言っただろう?心配ないってさ」 「うん!うん!」 ぴょんぴょん跳び跳ねながら喜んでいるハマーンにバレない様にミハルはアムロに感謝の視線を送って来、アムロはこっそりと溜息を吐き出した。 「ご立派です」 再びアムロに顔を近付けて小声で囁いたニムバスは何だかやけに嬉しげであった。バーニィも安堵したように胸をなで下ろしている。 が、漏れ聞こえてきたハマーンの次の言葉に、三人はびくりと身を竦めたのである。 「そうだ!今後はずっと、アムロの食事は私が作ろう!」 まるで超音波の様にか細く甲高いアムロの悲鳴を、顔を近付けていたニムバスだけが聞く事ができた。 「だめだよハマーン。過ぎたエコヒイキはグループの和を乱す原因になるのさ。 ハマーンだって、もし自分だけが毎回食べる食事にデザートが付いていたりしたら、気まずいだろ? アムロにそんな思いをさせたいのかい?」 「・・・そうか、そうだな。うん。それはだめだ」 ミハル、ナイスフォロー! 納得して頷くハマーンの肩越しに微笑むミハルに今度はアムロ、ニムバス、バーニィが感謝の視線を送る番だった。 11 名前:通常の名無しの数倍[sage] 投稿日:2010/03/09(火) 16 55 53 ID dmqt2Kqk0 [5/6] あれほど量が多すぎると思われていたミハルのサンドイッチはいつの間にか全て一同の腹に収まってしまい、ブイヤベースが入っていた大鍋は空になった。 ミハルの出してくれた食後のコーヒーを飲みながら、一同は満ちたりた様子で女性陣を交えて談笑している。 自分は会話に加わらず部屋の奥からその光景を眺めていたシャアは、一同のミハルを見る視線と態度がこれまでとは大きく変わっているのを実感していた。 戦場において、有り合わせの食材でうまいメシを作れる人員は、それだけで皆から大事に扱われるものなのである。 それは今も昔も変わらない現象だが、ミハルは実力で自らの居場所を勝ち取ったのだった。 今後のミハルの処遇に少なからず頭を悩ませていたシャアは、肩の荷が少しだけ降りた事を密かに喜んでいた。 「大佐、それではそろそろ」 「うん」 アンディに促されたシャアは、全員に着席する様に命じた。 これからすべき議題と確認事項は山ほどある。長い会議になりそうだ。 しかし、皆、気力が漲っている。まるでこれまでの疲れがどこかに吹き飛んでしまったかの様だ。 これもミハルのお陰かなと考えながら、シャアは作戦会議の開始を宣言した。 33 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 12 05 19 ID 1vBY2xLo0 [2/7] クレタ島の東に位置する【ロドス】はエーゲ海南部ドデカネス諸島に属する島である。 ベドウィン作戦発動中、ランバ・ラルはオデッサにおいてシャアと合流する計画を立て、事情を知るシーマ・ガラハウ中佐を通じサイド3に密使を送り、父ジンバ・ラルの同士であったアンリ・シュレッサー准将にこれまでの経緯を説明すると共に協力を仰ぎ、その際補給をも要請していた。 そして『速やかに全ての準備を整える』というシュレッサーの力強い返答を携えて、アンディはシャアの元に赴いたのである。 この補給ラインが確保されていたからこそ、シャアはマ・クベと思うさまに渡り合う事ができた。 補給受領の地点は、地理的にもクレタ島に近くジオン軍の大規模集積基地のある、このロドス島が最適だった。 ロドス島港湾内にあるジオン軍物資集積基地に、クレタ島ザクロスから飛来した輸送機が到着したのは正午近くの事だった。 輸送機に乗り込んでいたシャア達一行は現在、滑走路の中央に位置したポートから兵員輸送用の大型エレカに乗り換え、大型格納庫を兼ねた基地施設のメインビルに向かって移動している。 「おっと姐御・・・どうやら奴っこさん達が到着したようだぜ。ちっとばかり、予定より早い到着だったな」 メインビル最上階にある士官専用スイートルームの窓に、立ったまま背中を預け、肩越しに外へ目をやっていたジョニー・ライデンはそう言って苦笑する。 低い位置からライデンの顔を妖艶な眼差しで見上げていたシーマ・ガラハウは、名残惜しそうに彼から身を離すとスカーフで唇の端を拭い、床に着いていた両膝を払って立ち上がった。 「久々に二人きりになれたってのに全く・・・気の利かない連中だねぇ。おや」 ライデンと同じ様に窓から地上を見下ろしたシーマは、施設前に止まったエレカを降り立ち、こちらを見上げた赤毛の少年兵と目が合った。 いや、常識的に考えれば「目が合った気がした」というのが正しいのかも知れない。 地中海の強い日差しを避ける為マジックミラーとなっている地上4階にあるこの窓の中が、外から見える筈が無いからである。 が、シーマはその少年の相変わらずのカンの良さを常識に当て嵌め「見くびって」やるつもりは微塵も無かった。 「あのボウヤも一緒じゃないか。ふふふ、相変わらず食えない子だねぇ。アタシらがここにいる事、見抜かれたよ」 「楽しそうだな、姐御」 「何言ってんだいジョニー。アンタの方がよっぽど楽しそうな顔してるくせにさ」 呆れ顔でそう言いながら頬を小突くシーマにライデンは違いないと陽気に笑う。 「楽しくない訳が無いだろう。見ろ、今出て来たのが赤い彗星だ」 ライデンの鋭い眼光は、一行の最後にエレカから地上に降り立った仮面の男をまるで値踏みする様に捉えていた。 「さあて・・・噂のシャア・アズナブルが俺達のボスにふさわしい野郎かどうか、じっくり見極めさせて貰うぜ」 「あんまり突っかかるんじゃないよ?御輿ってのは見栄えと権威さえあれば良いんだ。後は担ぎ手次第でどうにでもなるもんなんだからね」 「姐御に逆らう訳じゃないが、そいつは聞けない相談だな」 そう言いながら、きらきらした少年の眼でライデンはシーマを見つめて来る。 ああまたこの男の悪い癖が出てしまったと頭を抱えたくなるシーマだったが、その邪気のない瞳に彼女は、弱い。 34 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 12 06 13 ID 1vBY2xLo0 [3/7] 「せっかく同じ【赤】の通り名を持つ者同士が出会えたんだ。どちらがその色にふさわしいか、勝負だ」 「ジョニー・・・」 「おごっ!」 いきなりシーマは、ライデンの腹部(※下腹部ではない)に鉄拳を打ち込んだのである。 ・・・しかしシーマの拳は瞬時に鋼と化したライデンの腹筋に阻まれ、めり込ませる事ができていない。 逆にシーマの手首の方が痛かった程だ。が、彼女は構わず彼の腹にグリグリと拳を押し付けている。 「くだらない対抗心を起こすんじゃないよ?いいかい、アタシらにはもう乗り換える船は無いんだ!」 「いてててて姐御、冗談だ冗談!」 「アンタが言うと、冗談に聞こえないんだよ!いいかい、くれぐれも・・・」 眉間に深い縦皺を刻み込み、噛み付きそうな勢いで顔を寄せたシーマにライデンは何と素早くキスをしてから逃げる様に身を離したのである。その軽薄な行動が、シーマの頭に瞬時に血を上らせる。 「このっ!!誤魔化すんじゃないっ!!」 その言葉とは裏腹に若干顔を赤らめながらも、ライデンの顔面とボディに向けて次々と本気のパンチと蹴りを繰り出すシーマ。 当たり所が悪ければ脳震盪では済まない海兵隊仕込みの実戦的なマーシャルアーツである。 しかし彼女のそんな洒落にならない攻撃を、姐御は受けに回ると滅法弱いんだよなあと笑いながら、軽いフットワークでライデンは見事に全て躱し切って見せた。 やがて呆れつつ楽しげに笑いだしたシーマに釣られてライデンも笑う。打ちも打ったり、避けも避けたり、体術の教本にしたい程レベルの高い格闘術の応酬の末、ウヤムヤのうちに今回の痴話喧嘩モドキは終了となった。 過激すぎる2人の蜜月的な関係は、この数分間のやり取りに集約されていた。 常人には到底理解し得ない、これが何人も立ち入る事のできない彼等だけのスタイルなのであった。 35 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 12 07 11 ID 1vBY2xLo0 [4/7] シーマの部下に先導されるまま、格納庫内に足を踏み入れたシャア達一行は、簡易MSハンガーに所狭しと屹立している『サイド3からの補給物資』であるという6機のMS-06を見て、それぞれに微妙な表情を浮かべていた。 ビームライフルを標準装備し、量産機として正式採用されたばかりだというMS-14【ゲルググ】は高望み過ぎるにしても、少なくとも【グフ】や【ドム】ぐらいは欲しかった所だ。 連邦軍の高性能MS配備が着実に進んでいる今、既に旧式となってしまった感のあるMS-06【ザク】で激戦が予想されるオデッサに挑むのは、心もとない・・・と、いうのが一同の正直な感想だった。 もちろん贅沢など言えるものではないが、ザクの標準兵装である120㎜マシンガンでは連邦MSの装甲を抜けない、のは実証済みなのである。 ザクで編成した部隊では敵のMSを含む主力と対した場合、恐らく苦戦は免れないだろう。 「お?おお!?良く見りゃこいつはすげえぞ・・・!」 しかしMSの一体を間近で見た途端、一行の先頭を歩いていたコズンが口笛を吹いた。 「シャア大佐!コイツは只のザクじゃありませんぜ!噂に聞いていた新型でさあ!」 「ふむ、どうやらその様だな」 シャアもコズンと共にMSを見上げて確信した。艶消しのボディに鈍く採光を照り返すザクは通常のMS-06よりも頭部が扁平形であり胸板が厚い。 随分と足周りも頑丈になっている様に見える。装甲の内側にちらりと覗く大型のバーニアは、もしかしたら宇宙での使用に限定されたものでは無いのかも知れない。 ずらりと壁面のラックに並んでいるMS専用マシンガンも通常のものとは明らかに形が違う。 「そのザクは統合整備計画の産物さね」 「シーマ中佐!ライデン曹長!」 一行の背後から掛けられた声にいち早く振り向いたアムロが、ライデンを従えてこちらに歩き来るシーマに敬礼する。 彼等と共に酒を酌み交わした仲であるクランプとコズンは親しげに、バーニィは少々緊張気味に、そしてこれが初対面となるニムバスは儀礼的な敬礼をそれぞれ振り向けている。 答礼を返すシーマの顔に疲れは見えたが、その血色は以前よりも随分良くなっている事にアムロは気付き、それが何より嬉しかった。 ミハルとハマーンを除いた全ての人員が互いに敬礼を交わしたのを確認すると、シャアは改めてシーマに向けて口を開いた。 「シーマ・ガラハウ中佐。バイコヌールからの輸送任務ご苦労だった。これが例のMSだな」 「は。サイド3から非正規のルートで届いた新型のMS-06FZ【ザク改】であります。 本来はズム・シティの首都防衛大隊に配備が予定されていたシロモノらしいのですが、大隊指令アンリ・シュレッサー准将の計らいで急遽こちらに・・・!?」 その時突然、シーマの後ろに控えていたライデンがズカズカと前に出て来てシャアと会話中である彼女の横に並んだのである。 シャアに対して敬語で接していたシーマはライデンの無作法にぎょっと息を呑んだが、ライデンは涼しい顔で馴れ馴れしく初対面のシャアに話し掛けた。 「軽く慣らし操縦してみたが、かなりいい。見てくれはザクだが、こいつはグフやドムにも引けは取らないぜ。 マ・クベの野朗はいけ好かないが、統合整備計画の手腕だけは認めてやっても良いかな」 ブン殴ってでもこのバカの軽口を閉じさせてやるべきだろうかと物凄い目つきで横から睨み付けて来るシーマを尻目に、さあどう出ると挑戦的な目をシャアに向けるライデン。 しかしシャアはライデンの予想に反し、にこりと口元を綻ばせたのである。 36 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 12 07 59 ID 1vBY2xLo0 [5/7] 「なるほど。それが【真紅の稲妻】の見立てなら、間違いは無いだろう」 「おっと・・・俺の事を知っているのか?」 「【真紅の稲妻】ジョニー・ライデン。開戦時は曹長だったがルウムにおいて戦艦3隻を撃沈し大尉に昇進。その後直属の上司を病院送りにした懲罰人事により再び曹長に降格され海兵隊に転属、現在に至る・・・だったかな?」 「あらら」 おどけて首を竦めるライデン。挑発したつもりが見事にカウンターパンチを食らった格好だ。 シーマもライデンに対する怒りを忘れ、目を丸くしてシャアを見ている。 「シーマ中佐、ライデン曹長、こちらの事情は知っての通りだ。 細かい事はいい。今後とも宜しく頼む」 「・・・あーあ。青い巨星といい赤い彗星といい、どいつもこいつも一筋縄ではいかねえってか・・・参ったねこりゃ。大人しく軍門に下っちまうか姐御・・・痛てぇっ!!」 シャアが差し出した右手を渋々握ったライデンの脛を、コメカミに青筋を立てたシーマが何食わぬ顔で横から蹴飛ばしたのである。 「馬鹿部下の無礼をお許し下さい。バイコヌールを空にする訳にも行かず残念ながら全員がここに控えてはおりませんが・・・マハル出身の我ら海兵隊一同、一丸となって大佐の尖兵となる事、シーマ・ガラハウの名においてお約束致します」 片足で飛び跳ねているライデンを完全無視してシーマはシャアに深く頭を下げた。 マハルはサイド3にありながら貧困層を集住させたコロニーであり、ザビ家による徴兵後の扱いも劣悪であった。 シャアと同等かそれ以上に自分達のザビ家に対する恨みは骨髄なのだと、シーマは暗に言っているのである。 「感謝する。精鋭で鳴らす海兵隊の噂は聞いている。これほど心強い事は無い」 「は。荒事の露払いは我らにお任せ下さい」 きっちりと敬礼しているシーマの横で、向こう脛を押さえ片足立ちのライデンも観念してシャアに向け奇妙な敬礼を向け、それを見たハマーンとミハルは同時に吹き出した。 37 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 12 08 37 ID 1vBY2xLo0 [6/7] 「それにしても、バイコヌールの指令代理が、よくもこの地まで駆け付けてくれたものだ」 「それなのですが、いち早く大佐のお耳に入れておきたい事があり、不肖シーマ、この地にまかり来しました」 「む、何か」 シーマの緊迫した雰囲気を感じ取り、シャアも姿勢を正す。 「実は・・・アサクラ大佐の動向が妙なのです」 アサクラ大佐とは名目上は海兵隊の長であり、シーマの直属の上司にあたる人物である。 しかし実態は名ばかりの司令官であり、実務と責任をシーマに押し付ける形で自身を遙任している。 「現在ジオン本国では、まるでオデッサでの会戦準備に隠れる様に・・・アサクラ大佐指揮の元、地球の静止軌道やサイド5などから大型発電衛星の奪取作戦が次々と執り行われている模様です」 「発電衛星?どういう事か」 「詳しい事は残念ながら・・・ただ時を同じくして我が故郷であるマハルコロニー住民の強制疎開が行われた事と、何か関係があるのかも知れません」 「フム・・・」 顎に手をやって考え込んだシャアの背中を見ながら、アムロはシーマの言葉に漠然とした不安を覚えた。 一瞬、膨大な光と共に何もかもを焼き尽くさんとする凶悪な意思がイメージされたのは、偶然ではないと思えるのだ。 「ど、どうしたんだいハマーン?」 背後から小さく聞こえたミハルの声に振り返ると、真っ青な顔をしたハマーンがミハルにもたれ掛かる所だった。 恐らく、ハマーンも何らかの不安を感じ取ったのであろう。 しかし自分達ですら良く判らないこの感覚を、他人に上手く説明する事はできそうもない。 何より、確証のない情報で、無闇に周囲の人間を不安がらせる訳にはいかないだろう。 爪を噛みしめたくなる欲求を無理矢理押さえつけたアムロは、今の自分の顔色も、きっとハマーンと同じ様に青ざめているに違いない事を確信していた。 65 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/03(土) 20 08 56 ID pQxUxiBk0 [2/8] 「いようアムロ!いろいろ大変だったそうだが、こうしてまた会えて何よりだったな!」 「は、はい。ライデン曹長もお元気そうで」 「おう元気だぜえ!死線をくぐり抜けて仲間達と再会できたんだ、これ以上嬉しい事はねえだろう!」 深い不安の闇に押し潰されそうになっていたアムロは、片手を挙げて笑いながら陽気な声を掛けてくれたライデンに救われた気がした。 シーマを筆頭に深刻な顔をしていた一同も、ライデンの言葉に我に返った様に見える。 「ん、どうした、お嬢さん達も顔色が悪いが何か心配事でもあるのか?」 アムロのそばに歩み寄りながらミハルとハマーンの顔も見て、暢気な顔でそう聞いて来るライデン。 しかし逆に、アムロはこの局面で出た彼の言葉の方が意外だった。心配事は、山盛りにあるはずだ。 「ライデン曹長はその・・・心配じゃないんですか?」 「心配って、何がだ」 「え、その、さっきのシーマ中佐のお話の事とか、これから僕達が向かうオデッサの事とか・・・」 数え上げたらそれこそ不安要素はキリが無い。 しかしそんなアムロを見てライデンはからからと笑い出したのである。 「やめとけやめとけ!心配なんざするだけ無駄だ!」 「む、無駄って事は無いでしょう・・・」 自分は果たしてライデンにからかわれているのだろうかと、少しばかりムッとしかけたアムロだったが、突然横にいたニムバスから爆発的な殺気が立ち上ったのを感じ、うなじの毛が逆立った。 「貴様・・・それ以上准尉を愚弄すると、この私が許さんぞ!!」 アムロはもとよりバーニィやコズンら先の騒動を目の当たりにしている周囲の人間は、ニムバスの怒りに思わず慄いた。 そう言えばバーニィを一喝した件を鑑みるに、ニムバスは規律に厳しい男だった。 ライデンの様に奔放な人間を厳格なニムバスという人間が、決して受け入れる筈が無かったのである。 こちらの焦燥を知ってか知らずか、一瞬の後ライデンは、わざとらしくニムバスに向けて妙にゆっくりと首を廻らせた。 「・・・俺は別にアムロを愚弄なんざしてねえがな」 「ま、待って下さいニムバス大尉!この方は、ジョニー・ライデン曹長・・・」 新たな目的の為に仲間がまとまり掛けている今、内部での揉め事は非常にまずいとアムロは焦った。 しかし、アムロとライデン2人が、まるで口裏を合わせるかの如く反論して来るさまは、ニムバスの苛立ちに更に拍車を掛ける結果となった。 「アムロ准尉は貴様の上官だぞライデン!相変わらず・・・その言葉遣いは何だ!?」 「久し振りだってのにご挨拶だなニムバス。俺は相手が誰だろうがこの口調を変えるつもりはねえぜ? 今はお前の方が階級が遥かに上なんだ、懲罰したいってんなら好きにしなよ」 「え・・・ニムバス大尉は、ライデン曹長とお知り合いだったんですか!?」 アムロは意外な成り行きに目を見開いて対峙する2人を交互に仰ぎ見る。 しかしニムバスはアムロの問いには答えず、更にライデンへの眼光を強めた。 66 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/03(土) 20 10 53 ID pQxUxiBk0 [3/8] 「気に食わん奴だと思っていたが、いい機会だ・・・貴様の腐った性根はこの場で修正してやる!」 「おっと懲罰房行きとかじゃねえのかよ!」 素早く一歩前に踏み込んだニムバスの歩幅と全く同じ距離をライデンは跳び下がった。 「悪いがデカイ戦が控える今はコンディションを崩せねえ。タダで殴られてやる訳にはいかねえな」 「面白い。ならば実力で私と准尉の前にひざまずかせてやるとしよう」 「御免こうむるぜ。俺は色んな意味でひざまずかせる専門だ」 「・・・バカだねっ!」 「えっ?」 「な、何でもないよ!アンタら!シャア大佐の前で、勝手なマネは許さないよ!」 赤い顔でクランプの疑問を遮ったシーマは今にも殴り合いを始めそうな二人を叱責する、が、意外にも彼女を制したのはシャアであった。 「二人共、私に気兼ねせずに続けたまえ」 「大佐!?」 「我々は寄せ集めの軍団、軋轢は当然だ。 火の点いた爆弾をフトコロに隠し持っていると、それはいずれ最悪なタイミングで炸裂してしまうものだ。 爆弾などというものは、大っぴらな場所で処理してしまうに限る。リクリェーションとしてな」 へぇ、判っているじゃないかと内心瞠目しながらシーマはシャアの横顔を見直した。 流石は赤い彗星。若さに似合わずこの男、動じないのである。 喜んだのはライデンであった。 「話が判るぜ大佐ァ!正式に私闘許可が出たがどうするニムバス大尉!?」 しかしニムバスから一瞬目を切ったライデンには油断があった。ニムバスは既に臨戦態勢だったのである。 「余所見をするな!」 ステップを変化させ、トップスピードで間を詰めながらニムバスの放ってきたパンチは牽制であった。 咄嗟にガードを固めたライデンは、迂闊にもニムバスの密着を許してしまう。 ニムバスは両手でそのままライデンの頭を抱え込むと、タイミングをズラした膝蹴りを抉り込む様にライデンの脇腹に見舞う。 これがまともに決まれば恐らくアバラの4・5本は砕け散っていたに違いない。 しかしライデンは辛うじて自らの膝をカウンター気味にニムバスの内腿に合わせ膝蹴りの威力を相殺させると、両腕の拘束を振り払い、軽快なフットワークでニムバスの射程圏内から逃れた。 睨み合って対峙する2人。 軽いボクシングスタイルのステップワークで間合いを取るライデンに対し、ニムバスはアップライトに構え、足で威嚇するムエタイ風である。 「あんたにあの後何があったか知らねえが、雰囲気が変わったなニムバス。 明らかに付け入る隙が・・・減っていやがるぜ」 ベッと口中の血を吐き出したライデンにシーマはどきりとした。 離れ際に何らかの一撃を受けたものであろうが、ケンカ慣れしたシーマにもニムバスの放ったその攻撃は見えていなかった。 67 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/03(土) 20 11 51 ID pQxUxiBk0 [4/8] 「グラナダ攻略部隊、降下強襲群・・・あの激戦地で俺達は出会い、あんたが第一中隊、俺が第二中隊と、互いに部隊を率いて戦った。 階級はあんたが少佐、俺は特務付きの大尉で・・・戦場では同格だったな」 言いながら今度はライデンが前に出た。 迎撃に動いたニムバスの蹴り足をフェイントでいなすと強烈な左フックをボディに見舞う。が、ニムバスは肘を下げこれをブロックした後、がら空きになったライデンの顎にそのままエルボーを叩き衝ける。 しかしその時には既にライデンの身体はスウェーを絡めて後退していた為、ニムバスの肘は空を切った。だがその軌跡は、ライデンの前髪を数本斬り飛ばす程の鋭さだった。 「ライデン!!何から何まで癇に障る奴だったよ貴様は!」 「お互い様だニムバス!何かってーとキリシア様キシリア様ってな!テメーは壊れたレコーダーかっての!」 「言うな!昔の話だ!!」 僅かに動揺したニムバスの動きを見逃さず再度踏み込んだライデンは、左右のジャブを放ちながら唐突に足払いを仕掛けると、態勢を崩したニムバスに組み付き、ごろりと転がりざまに肩の関節を決めに入った。 ボクシングスタイルから密着した関節技への極めてスムーズな移行はライデンの格闘技術の高さを物語り、その変幻自在な攻撃は、固唾を呑んで見守る周囲のギャラリー達をどよめかせた。 「甘いな!」「おっと!」 しかし分の悪そうに見えたニムバスは逆関節に逆らわず一瞬にして態勢を入れ替えると、ライデンの拘束を抜け出し、腰を落として後ずさった。 ライデンの関節技のレベルの高さを肌で感じ、グランドでの攻防を嫌ったのである。 しばらく様子を見ていたライデンだったが、追撃は無しと判断するとゆっくり立ち上がり、再びボクシングの構えを取った。 「ゲイツ大佐・・・・・・結局あんたがトドメ刺したんだってなニムバス」 「フッ、貴様が生温かったせいで、私が後始末をするハメになっただけだ」 「ランス中佐はどうなった?ひどい怪我をされていたが」 じりじりと間合いを取りながら、探る様に言葉を交わす2人を見てアムロはハッと気が付いた。 ニムバスが規律に厳しくなったのには明らかにライデンが関係している。 そして2人は恐ろしく不器用なやり方で、二人共が降格する原因となった戦場の思い出話をしているのだ。 「ランス・ガーフィールド中佐は退役された。私がゲイツの敵前逃亡未遂を聞かされたのは、全てが終わった後だった・・・!」 眉根をぎゅっと寄せたライデンは辛そうにそうだったのかと呟いた。 威張り腐った上官が多い中で、ランスは腕が立つ上気さくで男気があり、敬愛するに足る数少ない武人だった。 「あの時ランス教官・・・いやランス中佐がおられなかったなら孤立した我々は、恐らく全滅していた事だろう」 「だがな、ニムバス、俺がぶちのめして病院送りにしたゲイツの病室に押し掛けて・・・射殺したのはやりすぎだ」 ざっとその場の全員が息を呑むのが判った。 対峙する2人の間に、ただ静かに空調の音だけが響く。 「黙れ!貴様に何が判る!私の中隊の生存者はたったの3名だったのだぞ!! あの無能な指揮官が援軍を出すのを遅らせ、我らを死地に追いやったのだ!」 「ニムバス!」 やはりこいつの根底は何も変わっていないのかと絶望に似たライデンの眼差しを、しかしニムバスはするりと受け流す様に瞳の険を解いた。 「・・・以前の私ならば、そう言っただろう」 「!?」 「可笑しければ笑えライデン。今の私には、何故だかランス教官の気持ちが判る気がするのだ」 ランス中佐のザクは孤立したMS部隊の囮として単身敵陣に切り込み、多くの敵を粉砕しながらも集中攻撃を受けて沈んだと聞く。 部下の未来を救う為、自ら身を捨て礎となったのだ。そんな決意は生半可な覚悟で共感できるものではない。 68 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/03(土) 20 13 07 ID pQxUxiBk0 [5/8] 「確かあんたは、やたらとキシリア・ザビを崇拝していたな?だが、今のあんたからはあのイビツな熱狂が感じられない。 その分、何だか研ぎ澄まされた感じがするぜ。一体何があんたを変えたんだ?」 「ふふふ、貴様などに教えてやるものか」 笑えと言っておきながら愉快そうに自分が笑うニムバス。 彼のそんな屈託のない笑顔はライデンが初めて見るものだった。こんな顔は、あの頃のニムバスからは想像もできない。 「さあて、そろそろ決着を付けるぞライデン、ランス教官直々に鍛えられた私の技、果たして受け切れるかな?」 「あまり受けたくないってのが本音だが・・・仕方ねえだろうなあ」 シーマは身じろぎもせず、ずっと心配そうな顔でライデンを見つめ両の拳を握り締めていた。 2人の間にある空間に緊張感が凝縮してゆくのが判る。 それはまるで、ピリピリと触れれば弾ける電光の塊りの様だ。 「えーとすいませんがお2人さん、ランス・ガーフィールド中佐なら、アンリ准将の首都防衛大隊に復帰されましたよー」 ・・・・・・・ 「なに!?」「本当か!?」 一同に遅れてやって来たアンディが、間延びした声で後方から掛けた言葉に2人は一拍置いて劇的に反応した。 「本当です。首都防衛大隊は『慰労隊』の側面もあるんですよ。 ランス中佐は片腕を失くされるという重傷を負われたものの、このたび戦傷兵として大隊に配属され教官を務めておいでです。 ちなみに私も、MS戦術で中佐の教えを受けた一人です」 「そうだったのか・・・」 「アンリ准将の隊に・・・」 2人の間にあれほど張り詰めていた空気が、一気に霧散したかの様だった。 ニムバス、ライデン共にシンミリ俯いた目線で、それぞれの感慨に浸っている。 「二人共、気は済んだか」 頃合だと判断したシャアが声を掛けると、2人は気まずそうに構えを解いた。確かにもうバチバチやり合う雰囲気ではない。 ギャラリーもほっとした顔で互いに顔を見交わしている。物騒な場面はあったにせよ、結果的に怪我人が出なくて本当に良かったという処だ。 「丁度良い。ここで2人に辞令を言い渡しておこう」 「は!」「辞令?」 自らの降格を申し出ていたニムバスはその顔にさっと緊張感を滲ませ、ライデンは怪訝な表情を浮かべている。 69 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/03(土) 20 13 45 ID pQxUxiBk0 [6/8] 「戦場任官なので簡潔に伝える。ニムバス・シュターゼン大尉、貴官を申請通り降格し、以後は中尉に任命する」 「は、しかし、それでは・・・」 「聞け。これによりMS小隊を組む際、アムロ准尉に隊長位と特務権限を持たせれば、中尉はアムロの下に身を置く事が出来る。十分に補佐をしてやれ」 「慎んで・・・拝命致します!」 降格されたくせに嬉しそうに敬礼しているニムバスを見てライデンは思い当たった。そうか、ニムバスの奴は多分・・・ 「ジョニー・ライデン曹長」 「は、は?」 思わず素っ頓狂な声を上げてしまったライデンを見て、シーマが目をつぶったまま軽く額を押さえた。 「シーマ中佐の下での数々の戦功は聞いている。よって、ジョニー・ライデン曹長を本日只今をもって中尉に昇進させる事とする」 「へ?イキナリ二階級特進?なんで?」 「バカだね本当に!くれるっつーモンは貰っときゃいいんだよ!」 慌てた口調で会話に割り込んで来たシーマに全員の視線が集中する。 「あ、姐御、皆の前だ」 「・・・・・・・・・・・・っっ!!」 今度こそ誤魔化しきれない程に顔を赤らめたシーマは、口をぱくぱくさせた後にトマトの様な顔を横に向け、そのうちに堪え切れなくなり後ろを向いて俯き、押し黙ってしまった。小刻みに肩が震えている。 コズンはごくりと唾を飲んだ。あのシーマをここまで変えてしまうとは、ジョニー・ライデン恐るべし。 「・・・こほん。これで【真紅の稲妻】も、もう少し動きやすくなるだろう。 貴様の場合、肩書きなど無意味なのかも知れんが持っていて腐る物でもない。シーマ中佐の言う通り、ここは素直に受け取っておけ」 「了解であります」 観念した敬礼を向けるライデンに、シャアは軽く頷いた。 ライデンはニムバスにニヤリと笑って向き直る。 「これで俺達は同じ階級になったなニムバス。アムロよりも上だし、もう規律がどうとか言わせねえぞ」 「良いだろう。だが准尉を愚弄する様な真似をしたら、命が無いものと思え」 物騒な物言いは健在のようだ。 苦笑しながらもライデンは小声でニムバスに聞かねばならない事があった。 「ところでなニムバス、お前、なんで俺がシャア大佐にタメグチきいた時には怒らなかったんだ?」 「・・・決まっている。私の忠誠はアムロ准尉にのみ向けられているからだ」 済ました顔でぶっちゃけるニムバスに、ガラにも無くそれはどうなんだよと突っ込みたくなるライデンだったが・・・ やけに幸せそうなニムバスの顔を見ていたら、何だか全てがそれで良い様な気がして来て、結局口を噤んでしまったのだった。 100 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/18(日) 00 49 41 ID Q08CvfKg0 [2/4] 「うわあ・・・これ、凄く良いですねえ・・・!」 感嘆ではなく驚嘆である。 初めて乗ったMS-06FZのコックピットシートでバーニィは、座席調整をSに設定しながら笑顔を見せた。 メイン、サブ両モニターの位置、フットペダルの固さと踏み込み角度が絶妙にいい。 何よりJ型では少々確認し辛かった後方視界モニターの位置がデフォルトで改善されているのが嬉しい。 ロールアウトされたばかりのMSの筈なのに、まるで使い込まれた愛機のごとく2本のレバーグリップが吸い付くように手に馴染む。 実質的にはMS-06Cなどのコックピットに比べると、オーバーヘッド・コンソールが前方にせり出しているぶん若干狭くなっている筈なのだが、妙な閉塞感は微塵も感じられない。 広すぎず、狭すぎないスペースの中に、全ての計器類が見やすくコンパクトに収まっているのだ。 そこにはある種のデザイン的な美しさが発生しており、兵士にとって命を預ける相棒たるMSの心臓部に相応しい威厳があった。 あの、地球に下りてバーニィが初めて搭乗した(現地改修で執拗にいじり倒された感のある)06Jのごちゃついた操縦席とは雲泥の差である。 この恐ろしく機能的なコックピットレイアウトは、長年の試行錯誤を積み重ね、血と汗と命を代償にMSと携わって来たジオンだからこそ完成したものなのだと思える。 元々機械いじりが嫌いではないバーニィは、コックピットの端々から滲み出ている「職人技」が醸し出す迫力に、静かに感動してしまうのだった。 『こいつの開発には俺たち首都防衛大隊も協力したんだぜ。 コックピット周りは特にランス中佐の意見が反映されてる』 正面モニターには、資料を挟んだバインダーを手にしたアンディ中尉が、ハンガーの床からこちらを見上げている姿が映し出されている。 外部用モニターとスピーカー、集音マイク等の動作にも問題は無い様だ。 傍目から見ると奇妙な光景だが、この機能が正常であればこそ通常サイズの人間と17・5メートルの巨人とが普通に会話できているのである。 「何だか・・・皆さんのお話をお聞きしているだけで、ランス中佐という方の凄さが判りますね。 それに、短期間でこんなMSの開発を完了させたマ・クベ大佐という人も」 『ランス中佐とはお前もいずれ会えるさ。それとな・・・』 バーニィの口から出たのは先人に対する素直な賞賛だったのだが、ランスとマ・クベを同列に扱われた事が気に食わなかったのか、アンディの顔が険しいものになった。 『言わせて貰えばこの機体がここまでスピーディに完成したのは、現場勤務の名も無きメカマンから訴上されて来た統合整備計画の試案が、抜群に優れていたからなんだ。 マ・クベはまずそれを意見書としてサイド3のMSメーカー最大手のジオニック社に提示し、意見を求めた。 そしてそれがとてつもない価値を秘めた革新的意見書だという事を確認した上で、次期国家プロジェクトとしてザビ家に提出し、それをそのまま自分の手柄として通しただけに過ぎない』 「名も無きメカマン・・・ですか」 『こんな紙資料にしたら優に五百枚以上に相当する分量の計画試案を上げて来た奴がいるんだよ』 101 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/04/18(日) 00 50 32 ID Q08CvfKg0 [3/4] 自らが手にするバインダーを指で弾きながらアンディが続ける。 『件のメカマンはジオンに対する貢献度は相当な筈だが・・・マ・クベはそいつの名前すら資料から削除しちまったらしい』 「ど、どうしてそう言い切れるんです?」 『それまでマ・クベがサイド3に指示して来た時とは全く違う計画手順だったからさ。 奴は官僚肌の軍人だ。工廠に対して要求する事は出来ても具体的な技術内容を示して計画を発注する事なんて出来やしない』 「なるほど。“水陸両用MSを作れ”とは命令できても“この設計図通りにズゴックを作れ”とは指示できないって事ですね」 撃てば響く様なバーニィの言葉にアンディはそうだと頷く。 無意識の受け答えではあるが、バーニィの応対には相手を気持ち良く喋らせる何かがあるようだ。 『もちろんマ・クベ自身にMS開発の知識があれば良いがそんな話は聞いた事もない』 「なるほど・・・と、いう事は、そのどこの誰かも判らない謎のメカマンは現場で作戦行動に随伴しながら、五百枚以上の計画書を・・・それは、凄い・・・」 時間に余裕のあるジオンの部隊など存在しない事はバーニィも身に染みて理解している。 『計画を請け負ったサイド3の工廠では、もう提示された計画書に絶賛の嵐アンド【このプランの作成者は誰か】という妄想の坩堝となっていた。 愚にも付かない妄想が多かったが一番笑っちまったのが 【天才的な才能を持つローティーンのメカニック少女が、恐らく何日もの徹夜をものともせずに完成させた】 ・・・って奴だな。いくらなんでもリアリティなさ過ぎだろう』 モニターの向こうで苦笑するアンディだったが、バーニィの脳裏には、張り倒された痛みの記憶と共に、一人の少女の顔が鮮明に思い出されていた。 笑えない。あの少女の才能とバイタリティならば・・・ややもすると、やりかねない。 『統合整備計画は大手のMSメーカーが合同で参画してる。 俺が出向いてたのは主にツィマッド社系の造兵廠だったんだが、他社に伝説の少女メカマンがいるらしいって話は良く耳にした』 「伝説の・・・」 『おいおい本気で信じるなって!どちらかと言うと都市伝説の類だ』 げらげら笑うアンディに、コックピットの中のバーニィは意味深な顔でぼそりと呟いた。 「アンディ少尉も・・・伝説の少女メカマンともうすぐ会えるかも知れませんよ」 『ん?何か言ったか?』 「いえ。お楽しみに」 『?』 再度聞き返そうかと口を開いたアンディの声を、ハンガー内に突如鳴り響いたアラームが遮った。 同時にコックピット内のモニターにヘッドセットを付けたアムロの顔が映し出される。 『施設内の各員に通達します』 アムロの声にぎこちなさは無い。 フェンリル隊にいた際、通信オペレーターを経験したアムロにとって、オール回線での音声放送などお手の物だった。 『戦闘要員は、至急ブリーフィングルームに集合して下さい。繰り返します・・・』 スピーカーからの放送を聞いたそれぞれの人員は作業の手を止め、指示通りブリーフィングルームに向かう。 しかし唯一モニターでアムロの顔を見る事のできたバーニィは、その表情に滲む只ならぬ緊張感に気が付いた。 『聞こえたなバーニィ!マシン整備は一時中断だ、すぐに出て来い!』 「りょ、了解!!」 外から掛けられたアンディの声に大急ぎでコックピットハッチを開けたバーニィは、外に出ようとした際、上がり切っていない可動式オーバーヘッドディスプレイの角にしたたか額をぶつけてしまい、シートに逆戻りする形で倒れ込んだ。 不覚にもつい乗り慣れた06Cと同じ感覚で体が反応してしまったのだ。 「あっっ・・・痛ってぇぇ~~~~っ・・・・・・!!」 「おいバカ何やってんだ!?置いて行くぞおい!!」 下からいらいらした声を叫び上げてくるアンディに対し、ハッチ開閉のタイミングとコンソールディスプレイの動くスピードがえらい違ったんですよとは流石に言えず、すいません今行きますとチカつく眼で辛うじて声を絞り出したバーニィは、よろよろと昇降用のワイヤータラップを引き出した。 150 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/03(月) 08 04 17 ID jlnriS1w0 [2/5] 緊張した面持ちでクランプ、コズン、シーマ、ライデン、ニムバス、バーニィ、アムロが居並んでいる。 アンディだけはあの後すぐに、現在急ピッチでシャア専用にチューンUPされているMS-06FZの整備にハンガーへ呼び戻されてしまったのだ。 新型であるザク改の調整を効率的に進める為には、その開発に間近で携わっていた彼が必須である以上、これは仕方のない処置だと言えた。 諸君達に集まって貰ったのは他でもないと前置きしてから、シャアはブリーフィング・ルームに集った全員の顔を見回した。 「先程、戦略情報部士官ククルス・ドアンの情報で派遣していた偵察隊からの報告が入り、アンカラ郊外に展開している連邦軍砲撃部隊の、おおよその規模が判明した」 ぴんと張りつめた空気が場を支配する。 一刻も早くオデッサのラル部隊と合流したいシャア一行ではあったが、黒海の対岸に陣取っている敵の砲撃部隊を放っておく事はできない。 オデッサに多数布陣する友軍の為にも、ここは確実に潰しておかねばならない拠点なのである。 情報を掴んでいながらマ・クベが全く動きを見せない現状、それが可能なのはここロドス島にひとかどの戦力を保有するシャアの部隊をおいて他には無かった。 「アンカラ郊外の台地に、確認が出来ただけでも長距離砲撃用車両27、自走対空砲84、補給車も多数布陣している模様だ」 シャアに促されて一歩前に出たシーマが手持ちの写真付き報告書を読み上げるや否や、両手を腰に当て下を向きながら小さく舌打ちをしたコズンを筆頭に、全員が重苦しい溜め息を呑み込んだ。 想像以上の大部隊である。流石に連邦軍の物量は半端では無いという事なのだろう。 展開している敵部隊が小規模であれば、アレキサンドリア基地に対地爆撃を要請するだけで事足りたかも知れなかったが、空爆に対応した備えが為されている事が判明した以上、敵陣深くMSを突入させ、対空戦力をまず黙らせる必要が生じたのである。 敵陣への攻撃をアレキサンドリアの爆撃機だけに任せ、シャアの部隊はアンカラを無視してさっさとオデッサに直行する・・・という甘い目論見は、大部隊の前にあっけなく消し飛んだ形となった。 「連邦のオデッサ攻略作戦は、ここ数日のうちに発動されるのは間違いない」 「そうなるとアンカラ強襲に一日、補給や整備に突貫でも一昼夜・・・いやあギリギリですなあ」 深刻な顔をしたクランプに、首の後ろをボリボリ掻きながらコズンが呑気な声で応じる。 心の内にある焦燥とは裏腹に、あえてこういう物言いをするのがコズンの癖だ。 それほど事態は、深刻なのだった。 「・・・つまり、自分達はオデッサ開戦に間に合わないって事ですか・・・」 「早まるんじゃねえよ。そういう可能性もあるって話だ」 バーニィの核心を突いた一言を強い口調でコズンが遮る。 しかし、確かにバーニィの懸念している通り、これでシャアの部隊はオデッサ防衛戦に主力として参加できなくなる可能性が極めて高くなった事は事実だった。 151 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/03(月) 08 06 01 ID jlnriS1w0 [3/5] 激戦が予想されるオデッサ防衛戦、ひとたび戦端が開かれてしまえば、十字砲火の矢面に立つ最前線に位置する「青い木馬隊」に、強引に敵中突破して合流を計るのは無謀過ぎる行為だろう。 最悪、状況次第では友軍の苦戦を尻目にシャア達はオデッサ外周に取り残されるという事態も十分ありうる。 少しでも多くの戦力を、何よりシャアという彼らの総大将を開戦前に「青い木馬隊」に合流させたい。 そして、オデッサ前に戦力の損失はなるべく避けておきたい・・・というのが彼らの偽らざる本音だったのだが、シビアな現実はそれを許さなかった様だ。 「ここにいる全員が雁首揃えてアンカラに出向く必要は無いんじゃないか? 敵部隊が砲撃だけに特化しているなら、俺達のイフリートだけで十分だろう」 腕組みをしたライデンが口を開くと、シーマは彼に向き直った。 言うまでも無く『俺達のイフリート』とは彼女とライデンの08-TXを指しているのである。 直前までMSの整備をしていたライデンの顔と作業着はオイルで汚れていたが、それは彼の精悍さを少しも損なうものではない。 シーマはうっとりと愛でそうになる気持ちをおくびにも出さず、実にそっけない態度で彼に言い放った。 「ところがそうは行かないのさ」 「何故だ?姐御にしては随分と弱気じゃないか」 「敵陣には護衛のMSがいる可能性もある。そして偵察隊は黒海の南端ボスポラス海峡を抜けてアンカラに向かう敵部隊もキャッチした。 恐らく敵の増援だ」 挑発的なライデンの言葉には付き合わずシーマは淡々と事実だけを告げ、軽口を叩いていたライデンの顔から笑顔が消えた。 「・・・何だと・・・この上まだ増えるってのか・・・!」 「アタシらはキッチリこれも叩かなきゃいけない。戦力は足りないぐらいさね」 日々の整備すらままならない部隊が多いジオン軍に対して、無尽蔵とも思える物量を惜しげもなく投入してくる連邦軍。 またもや突きつけられたシビアな状況が一同の心胆を寒からしめたが、シャアの冷静な声音が全員の意識を現実に引き戻した。 「どんなに荒れた戦場であろうが、ランバ・ラルが率いる部隊なら、そう簡単に落ちはしないさ」 シャアのその言葉に不敵な笑顔を浮かべ大きく頷きながら、パシンと左に構えた掌に右の拳を打ちつけたのはクランプである。 その通りですぜと言いながらコズンもニヤリと唇を歪めて笑った。 152 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/03(月) 08 07 08 ID jlnriS1w0 [4/5] 「いざとなれば我が隊は後方攪乱に回る。だが事態は流動的だ。 我々はまず、目の前にある我々がすべき事を迅速に片付けるとしよう。アムロ」 「は、はい」 突然シャアに名指しされたアムロはどきりとしたが、辛うじて敬礼する事ができた。 「君には小隊を任せる。別働隊を指揮しアンカラに合流すべく進行して来る敵部隊を阻止してみせろ。ニムバス」 「はっ!」 「ワイズマン・・・いやバーニィ」 「はい!」 ニムバスは当然の如く、バーニィは緊張気味に敬礼をシャアに向ける。 「アムロと共に行け。ザク改2機と輸送機ファットアンクルを与える。 アムロはあの白いMSを使え。ニムバスはアムロを補佐して作戦を立案しろ」 「了解です」 「え・・・」 シャアとニムバスがみるみる話をまとめ、さっさと話を切り上げてしまった為に肝心の、隊長である筈のアムロはこの決定に何も口を差し挟む事ができなかった。 「あ、あの、待って下さい、やっぱり僕には隊長なんて・・・」 自信なさげな声で抗弁しようとするアムロを、シャアは無視して踵を返し、ニムバス、バーニィを除いた全員とアンカラ襲撃計画を練り始めた。 もはやアムロの事など眼中には無い。それはある意味、アムロの意見を聞く気など端から無いのだという意思表示にも見える。 「シャア大佐!」 途方に暮れたアムロが思い切って背を向けているシャアに大声を掛けると、熱心に話し込んでいたシャアは顔だけアムロに向けて口を開いた。 「もう命令は下した筈だぞアムロ。 今後私と行動を共にする以上、君にはただのパイロットでいて貰っては困るのだ」 アムロの目がハッと見開かれる。シャアの向こうでコズンとクランプが、こちらに握り拳を向けているのだ。 目を転じるとライデンはさりげなく親指を上に向け、シーマは片方の口角を上げて見せた。 「私達を失望させるなよ?」 皆の視線に胸が熱くなるのを感じ、立ちつくすアムロの横にニムバスとバーニィが並ぶ。 「行きましょう准尉。我々の初陣です」 ニムバスの言葉に、アムロは小さく掠れてはいたが力強い口調で「はい」と答えた。 180 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 12 39 56 ID /5EMHpoM0 [2/5] 小さなノックの後、少しだけ開けたドアの隙間からするりと部屋の中に滑り込んで来たのは、小ぶりなバスケットを抱えたミハルだった。 後ろ手にドアを閉めたミハルは微かに安堵の溜息をつく。 薄ぼんやりとした照明が灯った室内。 一人の男がベッドに突っ伏している。 ミハルが目を転じると、衣服がスツールの上に無造作に脱ぎ捨てられ、ブーツは脱ぎ散らかされたまま床に転がっているのが見えた。 「・・・ミハルか」 「ごめん、起こしちゃった?」 「いや、シャワーを浴びようとしていた筈なんだが・・・」 身じろぎし、ベッドからのろのろと顔を上げたのは、何とシャア・アズナブルであった。 もちろん例のマスクはヘルメットと共にベッドの片隅に放り投げられているため、素顔である。 実は戦闘時以外、シャアの寝起きはそれ程良くない。 アンダーシャツ姿のシャアはのっそり身を起こすとベッドの上に胡坐をかき、目を閉じたまま片膝の上に頬杖をついた。 「疲れてるんだね・・・ご苦労様。肩の具合はどうだい?」 脱ぎ散らかされた赤い軍服を拾い集め、てきぱきと畳んだりハンガーに掛けたりしながらミハルは心配そうな声を掛ける。 頬杖をしていた手を一旦外し、肩を軽く回したシャアは片目を薄く開けてもう大丈夫そうだと軽く笑った。 「良かった、でも油断は禁物だよ。 宇宙に住んでた人は免疫力が弱いとも聞くし、ケガってのは直りかけが一番怖いんだ。 あと数日は手当てを続けなきゃだめだよ。さあ、肩を見せて」 大真面目な顔でシャアの横に腰を下ろしたミハルは、有無を言わせずシャアのシャツを脱がしに掛かった。 幼少の頃に地球で暮らしていた経験を持つシャアは実は生粋の宇宙育ちでも無かったのだが、別に文句も言わずミハルのしたいがままにさせ、大人しく右肩を露出させた。 181 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 12 40 39 ID /5EMHpoM0 [3/5] 「完全に傷口は塞がっているみたいだけど・・・」 そう言いながら化膿止め薬入りの無針注射器を二の腕に押し当てて来るミハルを、シャアは面白そうに見つめている。 人目を忍んで毎晩こうしてやって来るミハルに手当てをしてもらうのは、もう何日目になるだろう。 この少女がシャアの個室を初めて訪れたのは、ここクレタ島ザクロスに到着したその晩の事だった。 フラナガン機関の施設を脱出する際、自分を助ける際に負った傷を治療させて欲しいと申し出て来たのである。 何でも、シャアがケガをした事を秘密にしたがっていたので、同室のハマーンが眠ってからこっそりと部屋を抜け出し、誰にも見つからない様にここまで来たのだという。 初めはおずおずしていたミハルだったが、シャアが自らのケガに消毒液を振り掛けただけで放置していた事を知って驚き、大慌てで手当てをし直した。 助けてくれた事に感謝はしているが、自分を大切にしない人は最低だと叱りつけられたシャアは、何故だかその剣幕に逆らう事ができず、命を救った筈のミハルに何度も謝るハメになったのである。 驚いた事にシャアは発熱していた。微熱ではあったがそれが肩の裂傷によるものである事は明白であった。 身体の調子が悪くても、それを全く気にしていないのである。 ミハルはそんなシャアを放っておくことができず、皆に隠れて猛然と彼の世話を焼き始めたのだった。 しかし改めて見てみるとミハルが呆れるくらいに、シャアという男は自分の事、日常的な事に無頓着な人間だった。 人間らしく生きる事に関心が無いと言い換えてもいい。 放っておけば日々の食事すらロクに摂らないのではないかと思える程に、彼の生活からは何かが欠落していたのである。 「ああ、やはりミハルの作ったものはうまいな」 だが、そんなシャアが、今ではミハルの持ってきたバスケットを勝手に開け、中にあった夜食を手掴みで食べ、あまつさえそれを美味いと言っている。 美味いと褒めると、笑み崩れてゆく彼女の顔がシャアは好きだった。しかし・・・ 「こら!ちゃんと手を洗って来る!」 ミハルは軍人では無い為にシャアに対して階級による遠慮などは一切無いのである。 こうしてまたもや彼女に怒られバスケットを取り上げられてしまったシャアは、食べかけのマフィンを口に咥えたまますごすごと洗面所に向かった。 【赤い彗星】のシャアしか知らない者がこの様子を見たら恐らく仰天して腰を抜かす事だろう。 ミハルに叱られる事は不快ではないし、彼女の言葉にはつい従ってしまうのは何故なのだろう。と、手と顔を洗いながらシャアはぼんやり自問してみる。 しかし幼い頃に父と母を失い、権謀と怨念に塗れて成長した彼の中には、自身の問いに対する明確なアンサーは含まれていなかった。 周りには常に“敵”が潜んでおり、少しでも隙を見せると足元を掬われる・・・そういう殺伐とした人生を送ってきた。 親しげな顔でシャアに近付いて来る人間は、十人が十人とも腹の中では彼を利用する事で自らの利益を企んでいた。 無論そういう手合いを観察眼に優れたシャアに瞬時に見抜き“敵”かそうではないかを識別して来たのである。 “敵”なら容赦なく叩き潰し、そうでないなら“それ”をこちらが最大限に利用する。 それは壮大な化かし合いであり、気を抜いた方が負ける過酷なチキンレースだった。 肩の傷の件でも判る通り、それが例え味方であったとしても、普段から他人に弱みを見せる事を極端に嫌うシャアだった。 だが、ミハル・ラトキエと2人きりになると、そんな事はどうでも良いと思えてしまう。 どう考えても、どんなに目を凝らしてみても、親身になってシャアを世話する彼女の行動の中には、あさましい企みが見つけ出せなかったのだ。 これは、あの時クランプに言われた事の証明であり、ある意味シャアが確信していたシニカルな人生観の完全な敗北を意味していた。 こんな人間もいるのだと、シャアをして認めざるを得なかったのである。 彼女の前では裏をかかれない様にと緊張している自分が馬鹿らしく、張り詰めていた何かが抜けてしまう。 通常は厳重に掛けているドアのロックを、彼女が訪ねて来そうな時間には無意識に外してしまう自分がいる。 マスクもいつの間にか彼女の前ではしなくなった。手の内を全て見せている彼女には、そうでもしないとプライドが保てないのだ。 仮面のある無しなどミハルにとってはどうでもいい事なのかも知れないが、シャアせめてもの矜持である。 182 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 12 41 29 ID /5EMHpoM0 [4/5] シャアが洗面所から出て来るとミハルは既に帰り支度を済ませてドアの前にいた。 この短時間の間に部屋はきれいに片付けられ、スツールの上にはヘルメット、マスク、夜食の残りがきちんと並べられている。 「それじゃね。ちゃんとシャワーを浴びてから休むんだよ?」 にこりと笑ったミハルに小さくそう言われた瞬間、シャアはとてつもない寂寥感に見舞われた。 今ここでミハルを抱き締めたら、彼女は帰らずに、朝までそばにいてくれるのだろうか。そんな事まで頭をよぎる。 シャアが何と声を掛けて良いか判らぬままにミハルの方へ歩み寄ろうとした時、激しく背後のドアをノックする音がミハルの体を竦ませた。 『お休みのところ恐れ入りますシャア大佐!』 アンディの声である。 『ロドス島集積基地から通信が入りました!シーマ・ガラハウ中佐率いる補給部隊が到着したそうです!』 瞬時にシャアの瞳に明晰な輝きが戻った。 素早くスツールの上のマスクを装着し、はだけていたアンダーシャツの襟元を引き上げる。 ドアの前で硬直しているミハルの手を引いて洗面所に誘導し、彼女が隠れたのを確認するとドアのロックを外して引き開けた。 「あ、ああ、シャア大佐、夜分すみま・・・」 「挨拶はいい。通信はまだ繋がっているか」 「繋がっています。こちらへ」 部屋を出る時シャアは洗面所の方をちらりと見たが、何食わぬ顔でドアを閉めアンディの後に続いた。 ドアが閉まってからしばらくの間、部屋の中に静寂が訪れたが、やがで洗面所からミハルがそっと顔を出した。 そして彼女は今日二度目の安堵の溜息を吐き出すと、静かに部屋を出て行ったのだった。 239 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 19 28 03 ID 6y7Vhl2s0 [2/5] エスキシェヒル近郊に展開する丘陵地帯。 その斜面に生い茂る木々の隙間に埋没する様に―――― アムロの操縦するRX-78XX【ガンダム・ピクシー】は山の稜線に身を隠し、真上から照りつけて来る強烈な陽射しにその身を焼かれながらじっと息を潜めていた。 ピクシーの機体には、アンテナの一部を除き草木をあしらった偽装網を入念に被せてある。遠距離からこの機体を視認する事はほぼ不可能であろう。 偽装網には電磁波遮断物質が編み込まれており、敵のセンサー類をある程度は無効化するという触れ込みである。 しかし、ミノフスキー粒子の存在が敵味方のセンサー技術を飛躍的に発展させている昨今、それをどこまでアテにして良いものかは疑問が残る。 新型センサーを実戦テストする特殊部隊「闇夜のフェンリル隊」の一員だったアムロだからこそ余計にそう思えるのだ。 後悔はしたくない。やれる事はやるべきだと判断した彼は現在炎天下なのにも関わらず、ピクシーの動力を最小限に絞っている。外部スクリーンもメインパネル以外はブラックアウトしている状態だ。 為に、エアコンの効きもすこぶる悪くなり、コックピット内部の温度が相当に上昇してしまう事態となった。 もしかしたら地上戦専用MSであるRX-78XXには、純正ガンダムにはあった大気圏突破用の厳重な断熱処理がオミットされているのかも知れない。 そんな事を考えながら汗だくのアムロは手探りでシート脇のラックを開け、中から本日2本目となる透明パック入りのドリンクチューブを取り出し口をつけ、中身をしぼり出して一気に飲み干した。 ・・・生温くてまずい しかしこれで、水分の補給はできたはずだと気を取り直したアムロは、空の容器をシート反対側のラックに放り込んだ。 先ほどから彼が凝視しているメインパネルには辛うじて舗装されたヒルクライム気味の道がゆらゆらと陽炎を立ち上らせながら正面に映し出されている。 ゆるいカーブを描いた道のちょうど出口にあたる延長線上の位置に、RX-78XXは身を潜めているのである。 道の両脇はそれぞれ高い崖と深い森になっており、襲撃ポイントはここしか無いと断言したニムバスの分析に間違いはなかった事を確信できる。 ここから見る事はできないがニムバスとバーニィも現在、別の場所で同様に偽装したザク改の中で眼前の道を凝視している筈である。 一人ではない。そう考えるだけで何だか心が静まってゆくのが不思議だ。 なんにせよ今回の作戦は【ガンダム・ピクシー】がトリガーであり全ての鍵を握るといっても過言ではない。 アムロはもう一度小さく息を吐き出し、絶対にしくじる訳には行かないぞと自らに言い聞かせ、眼前のスクリーンを注意深く見つめ直した。 「准尉のお立てになったその作戦・・・残念ながら評価は"C"です」 「え・・・」 厳しい顔のニムバスに完璧なダメ出しをされたアムロは一瞬頭の中が真っ白になった。 容赦の無いその物言いにアムロの横に座るバーニィも思わず首をすくめてしまっている。 「敵の大部隊に対してこちらはMSが僅か3機。 進軍して来る敵に准尉の作戦通り密集陣形でまともにぶつかっては、後方の敵に態勢を立て直す時間を与えてしまうかも知れません。 今回我々がまず考えねばならないのは、何としてでも敵部隊の現場到着を阻止する事。 敵は長距離砲撃部隊であり。要地に配置されなければ無力な存在です。 つまり我々は敵を殲滅する必要は無い。足止め出来さえすればいいのです」 「なるほど・・・」 シャア班とやや離れた位置で、小さなデスクを囲み行われているブリーフィング。 理路整然と戦術を語るニムバスに、アムロとバーニィはただ感心して聞き入るしかない。 少年兵達の真剣な目を見てにこりと笑ったニムバスの顔が、輝いている。 今や彼は、自身が持っていた本領を如何無く発揮する機会に恵まれたのである。 士官学校時代のニムバスは、パイロットの資質以上に戦略・戦術立案能力において極めて高い評価を受けていた。 適性も高く、将来は作戦参謀への道をと周囲から嘱望される程の存在だったのである。 同校を優秀な成績で卒業した彼は当然のように公国軍総司令部と総帥府軍務局から熱烈なオファーを受ける。 が、その時点で既にニムバス内部に凝り固まっていたキシリアへの熱烈な忠誠心が、それらを全て蹴る形で自身を突撃機動軍に投じさせたのである。 彼の進路を知った士官学校の教官達は、あたらジオンを背負って立つかも知れない優秀な人材が、使い捨ての一パイロットになってしまったと軒並み嘆き落胆したものであった。 当時の教官達が今の私を見たらどう思うだろうと内心苦笑しながら、ニムバスはこちらに背を向けているシャアをちらりと窺った。 240 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 19 30 09 ID 6y7Vhl2s0 [3/5] シャアはクレタ島で初対面にも関わらず「貴様の噂は聞いている」とニムバスを誘い、今回は別働隊の実質的な作戦立案を命じた。 つまりそれはニムバスの過去と資質を把握していた、という事に他ならない。 MS操縦に抜群の才能を発揮するアムロの補佐に自分を置き、気が利き堅実な性格のバーニィで脇を固めたこの布陣は、どんな任務にも対応できる理想的な小隊のモデルケースと言えるだろう。 適材を見抜き適所に配置する。言うは易いが行うは難い。 それをさらりとやってのけたシャア・アズナブルというこの男、トップに立つ者として恐るべき才覚の持ち主だと・・・認めざるを得ないだろう。 ニムバスをしてそう思わせる何かがシャアにはあった。 しかしニムバスがそんな想いを廻らせていた時間は数瞬にも満たず、彼は何事もなかったかの様にアムロとバーニィに目を戻した。 「敵部隊は極力目立たぬように航空輸送機を一切使わず、車両のみで移動しています。 そして敵は、我々の様な戦闘部隊がすぐ近くにいる事を知らない。 オデッサになけなしの戦力をかき集めている筈のジオン。我々の存在は連邦にとって想定外なのです。 ここにつけ入る隙がある。 このアドバンテージを最大限に利用するには【効果的な伏撃】をするしかありません」 「効果的な・・・そうか、僕のガンダムとニムバス中尉達のザク2機が密集して行動してはダメだという事ですね」 「その理由が判りますか?」 間髪入れず、値踏みする視線でニムバスはアムロを見ている。 それはまるで見所のある新兵に、英才教育を施している教官の眼差しにも似ていた。 「え、あ、ええと・・・も、MSの性能が違うから、じゃないでしょうか」 「その通りです!流石は准尉ですな!」 満足そうに破願したニムバスを見て、アムロは内心胸を撫で下ろした。 今後、ニムバスの期待に応え続けて行くのは並大抵の苦労では無いかも知れない。 241 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 19 31 00 ID 6y7Vhl2s0 [4/5] 「性能の違うMS同士が一団で行動すると足並みが乱れ、どうしても連携が取り辛くなってしまう。 下手をすると、性能の良い方のMSの長所が殺され、相対的に戦力が低下してしまう恐れすらあります」 ニムバスが答えるや否や、すかさず手を上げたバーニィが口を開く。 「でも中尉、大部隊に対して、ただでさえ少ない戦力を分散してしまっては、各個撃破されてしまうのでは・・・」 「戦術と地の利、そして敵の陣形次第だ!その程度の事も判らんのか愚か者め!」 一転、猛烈な勢いでニムバスに怒鳴りつけられたバーニィは小さく縮こまってしまった。 どうやらニムバスにとって、アムロとバーニィの育成方針は180度違うらしい。 恨めしそうな目を向けてくるバーニィに、アムロは申し訳なさそうな視線を送り返した。 「セオリーは知っておく必要があるが先入観に囚われると柔軟な発想を阻害するぞバーニィ。要はバランスだ」 「バランス・・・」 その冷静な声音はニムバスが決して激昂している訳ではないという事を意味している。 恐縮しきっていたバーニィは恐る恐る顔を上げた。 「長距離砲撃用車両、補給車その他を含めて敵の数は約30両。 モタモタしていると体勢を整えた敵の攻撃に晒されてしまう。 この部隊を僅か3機のMSで足止めするにはどうするか」 ニムバス教官の講義に聞き入る二人の新兵はごくりと唾を飲み込む。 「まずは横列展開できない場所に敵を引き込む」 ぱらりとデスクの上に地図を広げたニムバスは、細長くうねる一本の道路を指さした。 「敵の規模と現在の位置を考慮するとアンカラへ向かう道はここ以外考えられません。 これ以外の道路は舗装されていなかったり道幅が狭すぎたりで連邦の大型車両は通行できないからです。そして」 更にニムバスは指を滑らし長く延びた道路の一点で指を止めた。 トントンとポイントを指先でノックしながらニムバスは2人を交互に見る。 「700メートル程続く側道のない一本道。道路の片側は森、もう片側は切り立った崖。おあつらえ向きです。 仕掛けるのは、ここしかありません――――」 その時、アムロが睨み付けていたスクリーンの風景の一部に小さな変化が現れた。 すかさずアムロはスクリーンショットを最大望遠に切り替える。 遥か後方で樹木に遮られまだその姿は見えないが、微かに砂煙が立ち上っているのが判る。 それとほぼ同時にピクシーに装備された高性能センサーが多数の車両移動音をはっきりと捉えた。 あくまでもスペック上の数値ではあるがガンダム・ピクシーのセンサー有効半径は優に6,000mを超える。 プロトタイプであるRX-78-2の性能を上回るこれは、接近戦に特化されたピクシーというMSの特性に合わせてバージョンアップされたものなのだろう。 とまれ、ニムバスの読みは正しかった。 敵部隊は間違いなくこの道を行軍して来たのである。だが、焦りは禁物であった。 仕掛けは早すぎても遅すぎてもダメだとニムバスには釘を刺されている。 単独でどうにかできる相手ではない。全ては連携、チームワークなのだと。 WBでは有り得なかった、息を合わせた伏撃作戦・・・ アムロは逸る気持ちを抑える様にレバーを握り、唇に滴り落ちて来た汗をぺろりと舐め取った。 277 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 20 41 28 ID iaisKR8g0 [2/6] 先程までの晴天が嘘の様に、結構な勢いで雨が降り始めていた。 本当にこのあたりの天候は変わり易い、だがバーニィはコックピットに伝わって来る激しい雨の振動を感じながら思わず微笑んだ。 雨はセンサーの効きを妨げる。これはついているぞと彼がほくそ笑んだのも無理からぬ事だっただろう。 今、まさに彼等の下に軍列がやって来ようとしている。 言うまでも無く連邦軍の大部隊だ。 その大部隊がつい先程進入して来た北西の入り口から、アムロのRX-78XXが満を持して潜んでいる隘路の東側出口までの一本道がすっかり見渡せる南に切り立った崖の中腹付近。 そのやや角度の浅い斜面にバーニィとニムバスの操縦する2機のMS-06FZは張り付く様に潜伏しているのである。 切り立った崖とはいえその壁面にはびっしりとこの地方特有の木々が生い茂り、バズーカを構え偽装網をかぶったザク改の姿を完璧に隠してくれている。 しかし緑々とした壁面の所々には、断続的に巻き起こるスコールが地盤を緩ませたものなのか地滑りしたらしき箇所のみ黄土色の土や岩が露出していて、その部分だけがやや景色に異彩を放っていた。 バーニィはモノアイを操作し、チラリと左サブモニターにも目を向ける。 自機の周囲を埋め尽くす木々の中から、木々を割って突き出た大きな岩塊がそこにも映り込んで見えている。 メインモニターは俯瞰の映像で、一本の道路が南にゆるいカーブを描きながら西から東に延びているのをクッキリと映し出している。 モノアイが稼動すると、モニターの映像もそれに合わせて移動してゆく。 道の南側は全て切り立った崖に塞がれ、北側には地図にあった通り深い森が谷に向かって落ち込んでいる。 道路は山の外縁に沿っており、入口と出口の先はそれぞれ背後の山を回り込んでしまう為に、この場所から目視する事は不可能であった。 激しい雨にけぶってはいるが、ヘッドライトを煌々と灯した連邦軍の部隊が続々と列を成し進み来る様子が、ここからだとはっきり確認できる。 敵部隊はじわじわと眼下にうねる700m以上続く一本道を鋼鉄の大蛇の様にのたうち進み、やがてすっかり埋め尽くしてしまうのだろう。 今はまだ全容が見えてはいないが、道幅ぎりぎりの大型車両が何台も連なるその威容を目にしたジオン兵は、恐らく連邦軍との圧倒的な物量差を思い知らされ何とも言えない気分にさせられるに違いない。 しかし、この作戦で物量の上に余裕で胡坐をかき、ふんぞり返った連邦軍に一泡吹かせてやる事ができるのだ。 そう思うと、ギラギラと猛る何かを抑える事ができない。 これではいけないと心を落ち着かせる為に大きく深呼吸したバーニィは、カメラのズームを切り替え、もう一度自機に装備された武装をチェックしてみる事にした。 偽装の下でザク改はバズーカの砲口を油断無く眼下の道路に向けている。 今回2機のザク改が装備しているバズーカは従来の280mmザク・バズーカでは無くGB03Kすなわち360mmジャイアント・バズであり射程距離、破壊力共に十分余裕がある。 もともとドム用の装備として登場したジャイアント・バズは威力は高いものの、マニュピレーター形状の違い等から他のMSでは使い辛く敬遠されがちな武器であった。 だがMS-06FZ【ザク改】は、現在ジオンに存在するMSの手持ち式武器の全てを自在に扱える事を前提に設計されているのである。 統合整備計画、伊達ではない。 この事実は単純なスペック以上にザク改が「使える」MSであるという事を意味していると言えるだろう。 武器チェックを終えたバーニィは一息つくと視線を正面のメインモニターに戻し、ニムバスが立案した襲撃計画の段取りと、この作戦における自分の役割を頭の中で反芻していた。 278 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 20 42 29 ID iaisKR8g0 [3/6] ―――敵の軍団が眼前の一本道にすっぽりと収まったのを見計らい、ニムバスからの合図を受けたガンダム・ピクシーが偽装を解いて敵正面を塞ぎ、まず目前に迫っている先頭車両を破壊する。 これで敵は破壊された先頭車両が邪魔になり前進する事が不可能となる。 地形に阻まれた敵はガンダムに向けて攻撃を加える事ができない。 間をおかずガンダムの攻撃に呼応したザク改2機が敵の上方に位置する崖の中腹から、眼下の敵列中央と最後部車両に向けてそれぞれバズーカ攻撃を行う。 状況によってはバーニィのザク改が単独で敵の最後尾に回り込み、敵の退路を遮断する。 道路の両側は崖と森であり、前に進む事も後ろに下がる事も出来なくなった敵はまさに進退窮まった状況に陥る。 そうなれば連邦兵達は車両を捨て、森に逃げ込むしか術は無い。 逃げる兵士には目もくれず、あらかたの敵車両を破壊したら速やかに撤収するとニムバスは明言している。 例え森に逃げ込んでいた連邦兵が戻って来ても残骸に挟まれた車両は動く事叶わず、もはやオデッサ・ディで彼等がやれる事は何も無いだろう。 ニムバスは今回、自軍の損耗を最大限に抑える事を念頭にこの作戦を立てた。 完璧な伏撃であるこの作戦のただひとつの懸念事項といえば、こちらの意図を事前に敵に察知される事と敵が一本道に納まり切らないうちに攻撃を仕掛けてしまう事のふたつである。 だから自分からの合図を待たずに攻撃を仕掛ける事を、ニムバスはアムロに厳に禁じていたのだった――― バーニィは右手のサブモニターを見る。そこには彼と同じ出で立ちで息を潜めるニムバスのザク改が木々の向こうに映し出されている。 表向きはどうあれ、この部隊の実質的な指揮官はニムバスだという事を自分もアムロも承知している。 現場の全体を把握し統括する為の位置に彼のザク改が陣取っているのがその証であろう。 彼が自分の持つ知識全てを、自分やアムロに実地で叩き込もうとしているのは明白だった。 ニムバスの期待に応えるには、彼の示す全てをこちらも命懸けで吸収して見せるしかない。そうバーニィは密かに覚悟を決めていたのである。 しかし逸るバーニィをあざ笑う様に、ロケットランチャーだと思われる巨大砲身を持つ車両を積んだキャリアーの足は異様に遅い。 ヒルクライム、そしてこの激しい雨が行軍を慎重なものにさせているのだろうか。 敵部隊は視認できる範囲で言えば未だ襲撃予定地点に三分の一にも届いておらず、勿論ここで仕掛けるには早過ぎる。 戦端を開く役回りのアムロも、きっと敵の遅さにじりじりしている事だろう。 そんな事を考えながら時速40キロ程のスピードでもったり坂道を登って来る敵部隊の様子をいらいらと見ていたバーニィは、ぎょっと左手のサブモニターを振り返った。 モニター映り込んでいた・・・木々の間に剥き出しになり雨に打たれていた岩塊が、そのままごそりと滑り落ちたのである。 279 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 20 43 44 ID iaisKR8g0 [4/6] 『しまった!崩落か!?なんだってこんな時に・・・・・・・!!』 自機のほぼ10m真横をえぐり取った巨大な岩塊が、眼下の道路めがけて転がり落ちて行くのを、バーニィはただ茫然と見送るしかない。 岩塊は落下後半壊し、完全に道路を封鎖する格好で動きを止めてしまった。 「ニムバス中尉・・・!」 「慌てるな、じっとしていろ。計画に変更は無い」 接触回線でうろたえた声を響かせるバーニィにニムバスは冷静に応答する。 今ここで動く訳には行かない。敵の部隊は一本道にまだ先頭しか入り込んでおらず、襲撃を掛けるには位置が悪すぎるのだ。 もしここで強引な行動を取れば、間違いなく計画は破綻する。 突発的な事態が起きてしまったが、幸いにも敵は岩塊が落下した位置まで到達しておらず、伏撃作戦が見破られた訳でもない。 敵は周囲を警戒しながら岩塊の除去作業をするだろうが、逆にその警戒を解いた時が最大のチャンスになるとニムバスは確信していた。 眼下の敵は、何としてでもこの場で仕留めてしまわねばならぬ相手なのだ。 今は隠形に集中し、敵の警戒を何としてでもやりすごすべきだ。 ニムバスはそう判断を下したのである。 車両が急停止したのに気付くと、エイガーは瞑目していた両目を開き、キャリアーの助手席でリクライニングにしていたシートを元の位置に戻した。 「・・・何かあったのか」 「申し訳ありません少尉、どうやら落石が前方の道を塞いでいる模様です」 「何だと」 インカムを付けた運転手の言葉を確かめるようにエイガーは側窓から大きく身を乗り出した。 目を凝らすと、確かに前方に停車している数台の車両の向こうに巨大な土くれが鎮座しているのが見える。 その大きさは小型のMS程もあり、確かにこのままでは通行できない事が判る。 「よし。俺のMSを起動させるぞ」 あっさりとそう言い放ったエイガーは助手席のドアを開けて地上に飛び降りた。 「少尉!?まさか新型のマドロックで土木作業をするつもりですか?」 「俺だけじゃないさ。ジムキャノンの2機も作業にあたらせる」 「いや、そういう意味では・・・」 「俺達は急いでる。それにどうせ今回のミッションにはマドロック自体の出番は無いんだ。 役に立つ事があって良かったぜ、これで上にも言い訳が立つ」 運転手は変な顔をしたが、エイガーはそれを一向に気にせず激しく降りしきる雨の中、キャリアーの後方に走り込むと、トラックの幌を外しに掛かった。 オデッサ攻略戦を側面から強力に支援する自走砲大隊指揮官職務執行役としてアンカラに派遣された砲術士官エイガー。 アンカラでは現地で既に展開している部隊と合流し、大部隊を指揮してオデッサの敵陣めがけて、このスコールよろしくロケット弾とミサイルの豪雨を降らせてやる予定である。 今回の作戦、黒海をまたいだ長距離砲撃を敢行するため中距離砲撃しか出来ないMSは実際のところ役には立たない。 しかし自身の手掛ける新型MSであるRX-78-6【マドロック】と、RGC-80【ジムキャノン】の完成度を高める為には実戦データの収集が不可欠であるとのごり押しで、エイガーはこの砲術部隊に都合3機の砲撃用MSの帯同を上層部に認めさせていた。 実際はマドロックの調整から離れる時間が惜しいというのが本音だったが、こういうのを怪我の功名というのだろう。 「MSの出番が来たと後ろの二人に伝えてくれ。『無駄飯食らい』の汚名を返上するチャンスだってな」 近くにいた部下にそう声を掛けると、エイガーは雨粒がなるべく入り込まない様に注意しながら素早くマドロックのパイロットシートに滑り込んだ。 280 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 20 44 28 ID iaisKR8g0 [5/6] 「ニムバス中尉、あれを・・・・・・!」 「何という事だ、MSが随伴していたのか!」 突如敵軍列後方から姿を現した3機のMSにニムバスは慄然とした。 ニムバスも敵部隊にMSがいる可能性を考えていない訳ではなかったが、その確率は極めて低いだろうと思っていた。 なぜなら現在の連邦軍にとってMS自体が貴重であり、オデッサにおいてザクに対抗するMSは重要な戦力の筈だからである。 何よりMSによる襲撃を予想していない部隊に、MSが直衛する必要など無いのだ。宝の持ち腐れという奴である。 オデッサと黒海を挟んだ地のアンカラで、その貴重な戦力を遊ばせておく事は常識で考えればまずあり得ない事だった。 もしニムバスが連邦軍の参謀だったなら、そんな所に割く戦力があるなら迷わずオデッサ攻略の本隊にMSを組み入れるだろう。 ・・・ニムバスのその考察は間違っていた訳ではなかった。 そして、計画通りに事が運んでいればキャリアーに載ったまま連邦のMSは起動する事無くザク改のバズーカで葬り去られていたかも知れなかった。 だが突然の落石というアクシデントとエイガーという砲撃用MSの開発に執念を燃やす仕官の存在が彼の計算を狂わせたのである。 運が悪かったでは済まされない、これが、戦場なのであった。 よりにもよって、現れたMSのどれもが彼等が初めて目にする新型であった。 先頭の1機はアムロが現在搭乗しているガンダムに頭部形状が酷似している。 恐らく同シリーズなのだろうが、両肩に2門の砲身が突き出している所が大きく違う。 後方の2機も一門づつキャノン砲を搭載し、腰にはピストル状の火器がマウントされている。火力は相当に高そうだ。 悠長に構えてはいられなくなったとニムバスは臍を噛んだ。 砲撃車両だけならばまだしも、MSがいるとすれば攻撃の優先順位が変化する。 敵がこちらに気付かなければ良し。気付いた場合には・・・ ニムバスは接触回線でその旨をバーニィに伝えると、豪雨の中でも極力音を立てない様に注意してバズーカの向きを変え、スコープの中心に新型のガンダムを捉え直した。 338 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 01 46 09 ID br3lyhfc0 [2/6] この隘路に200Mほど進入した地点で停止した車両群を背に、3機のMSは道を塞いでいる岩塊に向かってゆっくりと歩を進めている。 先頭を歩くRX-78-6【マドロック】を操縦するエイガー少尉はその時、ONになっていたレーザー通信回線から微かに聞えた異音にぴくりと片眉を跳ね上げた。 「おい聞えたぞGC2。生あくびならもっと巧妙に噛み殺せ」 「す、すみませんエイガー少尉」 RGC-80【ジムキャノン】に搭乗するサカイ軍曹の慌てた声にエイガーは苦笑する。 先刻までのエイガーと同様に、彼の部下である2人のパイロットもそれぞれの場所で仮眠を摂っていたにちがいない。 まあ無理もあるまいとエイガーは思う。ここ数日不眠不休の調整に追われた挙句、夜通しトラックで走り続けて来たのだ。 エイガー自身も鉛の様な疲労が抜けず、目の奥と体の節々が痛い。彼と部下達の疲労は今やピークに達していた。 「大体が、開発計画がタイト過ぎるんですよ・・・」 こちらのボヤキはもう1機のジムキャノンを操縦するゲラン軍曹である。 彼等2人はエイガーが戦車兵の頃からの部下であり、MS適性試験にも同時に合格した同期の戦友だった。 「泣き言を言うなGC3。例のV作戦の試作艦が搭載MSごとジオンの手に落ちたんだ。 その分こっちの開発計画が早まったのは仕方の無い話だ」 「4号機や5号機の開発クルーも随分ストレスが溜まってるみたいですよ?」 「もともとセカンドロットのRXシリーズはRX-78-2の戦闘データをフィードバックして開発を進める予定だったからな・・・」 エイガーはモニターに映った僚機の顔を見て『GM系のMSもな』という言葉を辛うじて飲み込んだ。 正味な話、ジオンに比べMS開発の経験が浅い連邦にとって、RX-78-2ガンダム搭載の教育型コンピューターに蓄積された生の対MS実戦データは咽から手が出るほど欲しい宝だったのである。 エイガーが試算してみたところ、これが移植されなかった為に連邦のMSは、軒並み30%の性能アップが出来なかった・・・と出た。 それは翻って連邦の量産型MSがそれだけ戦力ダウンしたという事を意味している。 いずれ連邦パイロットが熟練するに従いこの差は徐々に埋めて行けるとは言うものの、それまでこの戦争が続いているかどうかは保証の限りでは無いのだ。 現時点の連邦軍にとってこれは深刻な痛手であろう。 もちろんこれはあくまでも試算値であって厳密な数値では無いが、その結果はエイガーを暗澹たる気分にさせるには十分だった。 それを知ってか知らずか、サカイは呑気な声で更に話を続ける。 「RX-78-2のパイロットはえらく優秀だったらしいですね。何でも赤い彗星と互角に渡り合ったとか。 その戦闘データさえあれば、RGMシリーズだってもっと強化できたでしょうに」 「もうやめろ。たらればの話はここまでだ」 歴史は動いたのだ。時計の針を戻す事ができない以上、いまさら何を残念がっても詮無い事なのである。 「俺達は目の前にある仕事から片付けよう。まずはコイツだ」 ゆるやかにカーブした700~800メートル程続く一本道のほぼ真ん中付近。 連邦の車両が進入してきた隘路入り口から約400メートルの地点で、縦横それぞれ15メートルもあろうかという巨大な岩塊が完全に道路を塞いでいる。 エイガーは岩塊をモニター越しに確認すると一旦機体を止め、それが落ちて来たと思われる崖の中腹まで軌跡を辿るようにマドロックの頭部メインカメラを振り向けた。 岩塊は木々を薙ぎ倒して転がり落ちて来たらしく、その形跡を辿る事は比較的容易い事であった。 エイガーとしては単に連鎖的な崩落の危険を見極めようとしただけの確認作業だったのだが・・・・ 「・・・!!」 その瞬間、彼の両目は見開かれ全身は総毛立った。 崖の中腹、周囲に溶け込む偽装ネットを被せてはいるが、その奥に微かに覗く、濡れた雨に照り返す金属特有の鈍い輝きは見紛い様も無い。 エイガーは、大岩がこそげ落ちた崩落部分のやや脇に潜む、2体のMSを目聡く発見したのである。 ちなみにマドロックに搭載されたセンサーは、ミノフスキー粒子と激しいスコールに阻まれ何も反応していない。 恐るべき事に彼は長年の砲術戦で鍛え培った視力と観察眼、そして注意力のみで偽装潜伏しているザクを看破したのであった。 339 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 01 52 01 ID br3lyhfc0 [3/6] 「・・・GC2、GC3、レーザージャイロと火器管制システム同期だ、くれぐれも唐突な機動は慎めよ・・・・!」 「は?」「唐突な機動?」 突然押し殺した声で命令を下して来たエイガーに部下の2人は戸惑ったものの、指示通りに2機のジムキャノンはマドロックにシステムを同調させる。 これで2機のジムキャノンそれぞれのサブモニターには、マドロックが『見て』いる映像が映し出される事となる。 ミノフスキー粒子の干渉をそれ程受けず、ある程度の範囲をカバーできるレーザー通信でお互いのMSはデータを共有している。 スイッチの切り替えで、リーダー機であるマドロックのマークした照準に合わせて、システム管理下に置かれたジムキャノンが同時に多方向から砲撃する事も可能だ。 これが、戦車兵上がりの砲術士官エイガーが砲撃用MSに組み込んだ兵器統合火器管制システムであった。 これにより連邦軍の砲撃MS同士は集団戦において有機的な運用が可能となったのである。 「少尉、いきなりどうしたんで・・・・うっ!?」 「これは・・・・!?」 GC2とGC3、二機のジムキャノンパイロットは同時に息を呑む。 「見ての通り、10時方向に潜伏中の敵MS2機を発見だ。あわてるなよ、知らんフリをしながら動け」 「GC2了解・・・!」「ジ、GC3了解・・・」 マドロックは見上げていた頭部を正面の岩塊に戻し、ゆっくりと歩を進め更に岩塊に近付いてゆく。 ややぎこちなくその後を2機のジムキャノンが続くが、その動きは辛うじて遠目には不審なものとは映らなかっただろう。 もちろんエイガー達はサブカメラの映像を崖の中腹に潜んでいる2機のMSから外しはしない。 3体のMSによる映像は3体のMSで共有統合され、刻一刻と立体的に対象物のデータを解析し、測定を進めてゆく。 素早くエイガーが画像をズームアップすると、ザクが被っている偽装ネットの隙間から二本のバズーカらしき砲口がこちらを向いているのが確認できた。 その事実に心臓が鷲掴みにされたかの様な衝撃を受けたエイガーだったが、最前線で砲兵隊を率いジオンの鉄巨人ザクと生身で戦って来た彼は、ある種のクソ度胸が備わっていた。 「まさか、この落石は我々をおびき出す為の罠・・・?」 「いや違うな、それならもう我々は攻撃を受けている。恐らく、これは敵にとってもアクシデントだったんだ」 本心は一刻も早く敵の射線から逃れたいのだろう。サカイの青ざめた声を、しかしエイガーは毅然とした声で否定した。 「アクシデント、ですか・・・」 「敵MSのデータはありませんね・・・どうやら新型の様です」 解析を進めるゲラン軍曹の緊張した声も、やや震えている。 「敵はこのまま我々が自分達の存在に気付かずにこの大岩を撤去し、当初の予定どおりここを通過するのを待っているんだ。 そして、がら空きになった隊列の横腹に満を持して砲弾を叩き込むつもりなんだろう。 こんな場所で砲撃されたらどうにもならない所だったな。我々は運がいいぞ」 そう言いながらエイガーはニヤリと笑う。 340 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 01 52 44 ID br3lyhfc0 [4/6] 「そ、それじゃ後方の車両部隊の皆に早く知らせないと!」 「待て、今、車両部隊が動けば敵に気付かれてしまう。ここは逆に、奴等の裏をかいて始末するチャンスだ。見ろ」 エイガーが弾く様にボタンを押すと、照準モニターには地形に被せるように敵MSと味方部隊の位置が地図上にクッキリと表示された。 多角的に解析を終えたデータは明確に、そして残酷に、隠れ潜んでいる敵の居場所を浮かび上がらせたのである。 RX-78-6【マドロック】は両肩に装備された300mm低反動キャノン2門と現在は腰にマウントされているビームライフルを同時に、同(異)照準めがけて発射する事ができる。 特に都合3本の火線を集中する収束攻撃は現時点で存在するMSの中でも、最大級の破壊力を持つ攻撃と言っても過言では無いだろう。 一方ジムキャノンもマドロックに一撃の威力でこそ劣るものの、同様に右肩に装備された240mmロケット砲とビームスプレーガンを同時に標的に向けて発射可能である。 これらの攻撃をシステムによってリンクした3体のMSから浴びせられれば、対象物はひとたまりもないだろう。 だがその為には巧妙に敵の隙を突く必要があるとエイガーは考えた。 「よし、全機停止だ。すみやかに岩塊に向けて砲撃姿勢を取れ」 道路の真ん中に鎮座する岩塊まであと100メートルという所でエイガーは部下達に指示を出した。 先頭のマドロックをアローフォーメーションで後方左右から追尾していた部下達のジムキャノンはその場で足を止め、右半身に構えた前傾姿勢を取る。 「これで敵からは我々が邪魔な岩を排除する為に砲撃するつもりに見える筈だ。 だが実は違う・・・! カウントダウンと共に『ターゲット』に向けて一斉攻撃だ、いいな」 エイガーの言葉を復唱し、ごくりと唾を飲み込んだサカイは眼前の岩ではなく、ターゲットスコープに10時方向で照準固定されている敵のMSを捉えている。 スイッチ一発で彼等の機体はロックされた方向へ瞬時に向きを変え、同時に砲弾を吐き出すのだ。 これは敵の意表を付く攻撃であるはずだ。回避や防御は、ほとんど不可能であろう。 「周囲に敵の仲間がいる可能性もある。念の為、砲撃後はすぐに散開するのを忘れるな。 ターゲット撃破後、車両も一斉に後退させる。カウントダウン、5・・・4・・・」 「どうやら、奴ら、俺達には気付けなかったみたいですね・・・」 「・・・・・・」 安堵したようなバーニィの声に、ニムバスは沈黙で答えた。 モニターには小降りになって来たスコールの中、道を塞ぐ岩塊に向けて三角フォーメーションで砲撃姿勢を取った3体の連邦製新型MSが映し出されている。 少しでも敵が不審な動きを取った場合は躊躇無く行動に移るつもりで神経を張りつめていたニムバスだったが、どうやら杞憂で済んだ様だ。 漠然とした不安は拭い切れていないが、このまま滞りなく事が進めばそれに越した事は無い。 いやむしろ、警戒心が強過ぎるのは逆に戦術の幅を狭めるかも知れない。 折角なら連邦製の新型MSが放つ攻撃の破壊力を見極めてやるのも悪くは無いかとニムバスがふと肩の力を抜いた瞬間・・・ まるで示し合わせたかの様なタイミングで3機の砲口が一斉にこちらを向いた。 「しまっ・・・!!バーニィ!!」 目を見開いたニムバスの絶叫は、強烈な爆発音に掻き消された。 341 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 01 53 54 ID br3lyhfc0 [5/6] 「うおっ・・・!!」「な、何だ!?」 エイガーとサカイが同時に叫ぶ。 彼等のMSが体勢を変えた瞬間、轟音を立てて粉々に消し飛んだのは、眼前で行く手を阻んでいた岩塊だったのである。 突然の事に度肝を抜かれ、彼等はザク改に向けての攻撃を一瞬ためらわざるを得なかった。 ニムバスの瞳がギラリと光る。 「飛べ!バーニィ!!」 「了解っ!!」 ニムバスとバーニィのザク改はこの機を逃さずバーニアを轟然と轟かせ偽装網をかなぐり捨てて飛翔し、後背にそびえ立つ崖の稜線を一気に越えてエイガー達の視界から姿を消した。 逃げ場の無い崖を背にして敵に攻撃を仕掛けたり、敵の待つ道路に飛び降りたりせず、ジャンプして崖の背後に回り次の行動に移行する。 これは予めニムバスがバーニィに指示していた非常時における回避行動であった。 例え相打ち覚悟で敵の撃破に成功しても、こちらの被害がそれを上回れば意味は無いのだ。 分が悪くなれば、躊躇なく、引く。 あらかじめニムバスは作戦失敗の咎を全て自分が負うつもりで、アムロとバーニィにそう言い含めていたのである。 ちなみにこの大胆な退避手段は、従来のザクに比べて格段に推力がアップしているザク改ならばこそ可能な荒業であった。 「ああっ!糞!!奴等を逃がしちまったっ!!」 「構うな!それより前方に注視しろ!!」 卓抜したエイガーの目は、その時朦々と立ち込める爆煙の遥か向こうに朧立つ 新たなターゲットを捉えていたのである。 エイガーがモニター越しに目を凝らした 刹那、上がり掛けたスコールの中を一筋の雷光が一直線に貫き、轟音と共に丘の上に立つ敵MSの精悍なシルエットを浮かび上がらせた。 その細身なMSは、砲口から白煙たなびく無骨な巨砲をアンバランスに捧げ持ち、華奢なボディラインを禍々しいものに変貌させている。 ふと、その顔がこちらを向き、まるで人間の様な『双眸』がマドロックのそれと交錯する・・・・・・! 「何っ!?ガンダム・・・だと!?」 普段何事にも動じないはずのエイガーが息を呑む。 それは、敵味方に分かれた【ガンダム】が、初めて遭遇した瞬間だった。 444 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 12 07 27 ID UqfbXj6Y0 [2/8] 「よおぉぉしっ!!」 バズーカを掲げ、丘の上に仁王立ちしたRX-78XX【ガンダム・ピクシー】のコックピットでアムロは小さく拳を握り締めた。 アムロは改めて自らのMSが手にしている380ミリハイパーバズーカを見やる。 この感触、扱う機体は変わってもRX-78-2【ガンダム】で慣れ親しんだ使い心地は少しも変わっていなかった。 ―――ザク改の偽装が敵パイロットに見破られた。 ガンダムとガンキャノンを掛け合わせた風貌の敵MSが立ち止まり、崖を見上げた一瞬、アムロは微かな電光の閃きと共にそう確信した。 「ガンダムもどき」のRX-79(G)と戦い、現在もガンダムに酷似したピクシーを操るアムロには、もうガンダムタイプのMSに対しての驚きは無い。 いきなり現れたマドロックを目の当たりにしても、アムロは冷静であった。 さすがに落石というアクシデントに驚きはしたが、彼は元々の打ち合わせ通り、ニムバスからの合図が無い限り自分からアクションを起こすつもりは微塵も無かったのである。 しかし状況は変わった。崖に張り付いた2機のMSは格好の標的だ。 このままではザク改は敵に狙い撃ちされてしまうだろう。 隘路の出口付近に潜伏しているピクシーの位置から道路を塞ぐ大岩までは500メートル以上も離れており、その向こうにいる敵MSまでとなると更に遠い。 仮に今、ここで飛び出したとしてもピクシーが得意とする接近戦にいきなり持ち込む事はできないだろう。 アムロは躊躇い無くピクシーがそれまで握り締めていた90mmサブマシンガンを足元のハイパーバズーカに持ち替えた。 このバズーカはシャア達がクレタ島でRX-78XX【ガンダム・ピクシー】を鹵獲した際、機体と同時に押収したものだ。 本来近接戦闘に特化されたピクシーではあったが、RX系の武器は一通り使用可能であるらしい。 今回の作戦にあたってアムロは機体の特性を考慮し専用サブマシンガンを携行武器に選択したのだが 「『兵に常勢無し』・・・戦場では予想外の事態が起きるものです。念の為にこれも」と、ニムバスがアムロに敢えて持たせたものだった。 一刻の猶予も無い。考えると同時にアムロの体は動いている。 偽装網を払い除け、丘の上に弾かれた様に身を起こしたピクシーは、すかさず片膝立ちになると大ぶりなハイパーバズーカをピタリと構えた。 『敵の攻撃を中断させ、こちらに注意を向けさせる。それには!』 狙うは敵MSではなく道路の真ん中に居座る岩塊である。 この一撃に失敗は許されない。 メイン武器としての使用を想定していなかったハイパーバズーカは、照準調整に若干の不安がある。 狙う的は大きければ大きい程良いという咄嗟の判断であった。 一瞬の隙さえ作り出す事ができれば、あの二人なら即座に状況を理解し的確に行動する。そうアムロは踏んでいたのである――― 445 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 12 08 43 ID UqfbXj6Y0 [3/8] そうして確実に岩塊を破壊せしめたアムロは、思惑どおり2機のザク改が敵の混乱に乗じて退避したのを確認して歓喜の声を上げたのであった。 このアムロの一連の行動とメンタリティは、誰かの部下として与えられた任務を果たしていれば良かったこれまでの戦い方とは全く違ったものだった。 「・・・兵は詭道なり」 アムロはロドス島で行なわれた作戦会議の際にニムバスに言われた言葉を無意識に呟いていた。 「『兵は詭道なり』・・・戦の場ではこれを決して忘れてはなりません」 ブリーフィングの途中でニムバスはアムロとバーニィにそう切り出した。 「あ、ええと、それは確か、ゲラート少佐も良く言われていた言葉です。 意味まではその、良く判らなかったんですが・・・」 アムロが振り返るとバーニィもしきりと頷いている。ニムバスは少しだけ顔を綻ばせた。 「簡単に言えば、正攻法で攻めるよりも、敵のコントロールをこちらで握ってしまえ・・・といった意味です」 「コントロールって、敵MSにリモコンでもくっ付けるん・・・じゃないですよね・・・すみません・・・」 すぅっとニムバスの目が細まったのを見て、慌ててバーニィは首をすくめた。 「MSに乗っているのは人間。戦艦や戦闘機などの兵器を操っているのも人間。 突き詰めれば敵は人間なのです。人間には感情や欲望があります。これを揺さぶり、こちらの思う様に動かす。 これが『兵は詭道なり』の真髄なのです」 「感情や欲望を揺さぶる・・・」 「人間には喜怒哀楽そして恐という五つの感情と、食・性・名声・財産・趣味という五つの欲望があります。 これらを刺激してこちらの術中に嵌めてしまう訳です。それにはまず、物事の上辺だけで無く、裏まで見抜く洞察力が肝心。 まあこれは別に、戦場に限った話ではありませんがね」 ニムバスの話はなかなかに奥が深そうだ。 「む、難しそうですね・・・」 「もちろん簡単ではありません。しかし例えば人間は理解不能な状況に陥ると思考が一瞬停止してしまうものです。 リスクを伴う事もあるでしょうが、これを利用すれば敵の平常心を失わせ、貴重な時間を稼ぐ事ができるかも知れません。 逆もまた真なり。常に不測の事態に備えていれば、敵に隙を突かれる事は無いでしょう」 アムロとバーニィは真剣な顔でニムバスの話に聞き入っている。 「 そして『兵に常勢無し』つまり戦場では常に周囲の状況に気を配り、臨機応変に動く事が肝要であり『兵は神速を尊ぶ』・・・迅速・機敏に行動しろという事なのです・・・」 アムロはちらりと2機のザク改が姿を消した崖の稜線を確認した。 彼等の作戦は既に、次善策であるプランBの第二段階に移行したのだ。今しばらくは、敵の目をこちらに引き付けておく必要がある。 ニムバスの言った『兵は詭道なり』・・・ 建前だけとは言え小隊の指揮官として、実践するのはこの場面以外、有り得なかった。 446 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 12 10 25 ID UqfbXj6Y0 [4/8] 「出ました!奴の正体は・・・RX-78XX【ガンダム・ピクシー】です!」 「ピクシーだと!?」 突如出現した謎のMSを素早く解析しデータ照合していたゲランが焦った声でエイガーに報告する。 「どうやら連邦軍が我々とは別ラインで極秘裏に開発したらしい陸戦MSの様です!こんなRXシリーズがあったなんて・・・!」 続けてデータを読み上げるサカイの声も戸惑いを隠せないでいる。 果たしてこれ以外にも彼等の知らない【ガンダム】が連邦軍の兵廠にはゴロゴロしているのだろうか。 「例の試作艦への輸送任務が中断され、その後行方不明となった・・・としかデータには記載されていません!」 「そんなMSが何でこんな所で俺達に砲口を向けているんだ!?」 「判りませんっ・・・!取り敢えずデータ送ります!」 「くそっ!!GC2!GC3!散開だ!リンク攻撃を掛けるぞ!!」 「「了解!」」 部下に迎撃を命じたエイガーだったが、彼はここで重大な判断ミスを犯していた。 MSに搭乗した感覚は戦車のそれとは全く異なる。 理詰めで攻撃を行なう砲術は冷静にならざるを得ないが、自らの体躯と同様に自在に動けるMSは、自由度が高い分、目の前の戦いに没頭しやすいのだ。 彼は自分でも気が付かぬうちに熱くなり、俯瞰的な視野を逸していたのである。 「何っ・・・!?」 そのエイガーの目が驚愕に見開かれる。 RX-78XX【ガンダム・ピクシー】は、大胆にもバズーカを抱えたまま丘を蹴ってアスファルト敷きの道路に音も無く着地すると、何とこちらに向かって歩き出し始めたではないか。 3機のMSに背を向けて逃げ出すでもなく、横に回り込もうとするでもなく、ただ正面から悠然と歩み寄って来るのだ。 これは、戦場でのセオリーに当て嵌めてみても到底信じ難い行動であった。 「な、何だあいつ!?舐めやがって!」 激昂するゲランの声も、得体の知れない恐怖を誤魔化す為に異様に甲高くなっている。 「データによると奴は接近戦を得意とするMSのようだ。奴を近づけさせるな!!攻撃開始!」 「りょ、了解!」「了解です!」 エイガーの指示に従い、砲撃を開始した3機だったが、ゆっくりと歩き来ていたMSが、物理法則を無視したかの様に突然真横にスライド移動し、彼等の放った砲弾を全て避けてしまったのである。 その素早さは見る者の網膜に残像を残し、まるで分身でもしたかの様に見えた。 「な!?何だ今の機動は!?」 まるでバケモノでも目撃したかの様な大声をゲランは上げてしまった。 宇宙ならばまだしもここは地上なのである。MSのあんな動きは教練でも習わなかったし、今までに見た事も聞いた事も無い。 「足底バーニアとメインスラスターをステップジャンプに組み合わせて一時的に擬似ホバーの様に使用したんだ! 怯むな!撃て!撃て!」 実は地上走行用のホバースラスターはマドロックにこそ装備されている。 しかし今ピクシーが行った瞬間移動ばりの動きは、重量級のマドロックには到底不可能なものだろう。 徹底的に機体を軽量化し、アポジモーターを増設したピクシーは恐るべき瞬発力を持つに至った様だ。 しかし、そんな暴れ馬の様な機体を使いこなし、マニュアルには無い機動をこなしても一切機体バランスを崩さないでいる敵パイロットの操縦センスの方にこそ計り知れないものがある。 自らの背中に結露した冷たい汗を気取られまいとエイガーは僚機に必死の指示を出す。 しかし各人とも焦りの為か照準がぶれ全く砲弾を命中させる事ができない。 2度3度と砲撃を繰り返すも不規則なスライドホバーで移動する敵MSに、ビーム砲すら当たらないのだ。 いかに強力な攻撃であっても、当たらなければ何の意味もなさない。 移動する敵に砲撃は当て難い。武器が全て単発式であった事も災いしていただろう。 ・・・とは言うものの、あまりの当たらなさに3人のパイロットは愕然とする。 447 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 12 11 18 ID UqfbXj6Y0 [5/8] 「何故だ・・・何故当たらん!?」 こんな馬鹿なとエイガーが目を凝らすと、ピクシーは直線と曲線を織り交ぜた動きで幻惑し、こちらの砲撃タイミングと照準を微妙にズラしているのだという事に辛うじて気が付いた。 こちらに仕掛けて来る訳でもなく、明らかに敵は何らかの時間稼ぎをしているのである。 しかしそれが判っても、現状の彼等には目の前の敵をどうする事も出来ないのだ。 エイガーは幼い頃に見た、悪戯好きの悪魔に為すがまま翻弄され続ける哀れな人間達を描いたコメディ映画の1シーンを思い出していた。 ふざけるなとエイガーは頭の中から不吉な想像を振り払うと全神経を集中し、ビームライフルでピクシーの足元を狙い撃つ。 それは敵の動作をエイガー特有の観察眼で分析し「次の動き」を予測した必中の一撃だった。 にも関らず、何とピクシーはステップジャンプ中に不自然に右膝を高く上げ、その下にビームの斬光を通したのである・・・! 「まさか!?」 エイガーは今度こそ恐怖した。 偶然か!?いや敵は完全にこちらの攻撃を予測して、避けているとしか、考えられな――― と、ピクシーの足元から煙幕状のものが勢い良く立ち上り、その機体を覆い隠してゆく。 その煙は雨上がりの追い風に乗って、たちまち周囲に薄闇の如く広がり、マドロックやジムキャノンの周りを薄ぼんやりと覆い尽くした。 「な・・・今度は何だ!?何なんだよ!?」 「神よ・・・白き悪魔から我を守りたまえ・・・!」 泣きそうな声でサカイが、擦れた声でゲランが叫ぶ。 これは以前アムロが多対一のMS戦用に用いた戦法をアレンジしたものだったのだが、もちろん連邦のパイロット達がそんな事を知る由も無い。 今や完全に、連邦の誇る3機の新型MSが、たった1機のMSに翻弄され、呑まれてしまっているのだ。 「慌てるな!スモークディスチャージャーかグレネードだ!パッシブ・サーマルセンサーに切り替えろ! データを共有・・・」 しかしエイガーの言葉が終わらぬその時突然、薄靄の中にいたピクシーがバズーカを撃ち放ったのである。 弾は明後日の方向に飛んでいったが掴みどころの無かった敵が突如牙を剥いた姿に、連邦のパイロット達は動転した。 「うわああっ!?撃って来た!?」 怯えた声を上げたのはゲランである。 「慌てるな、あんなメクラ撃ちは当たらん!サーマルセンサーで敵の居場所を捉えるんだ!」 エイガーをはじめ3人の連邦パイロットはMSでの戦闘はこれが初めてであった。 戦車とは勝手の違う操縦感覚は、彼等を徐々にパニックに陥れようとしている。 エイガーはそれに必死で抗う様に眼前のセンサーモニターを凝視した。 「!」 「エイガー少尉!目の前です!!」 サカイに指摘されるまでも無く、エイガーは真っ直ぐこちらに飛び込んで来る熱源体をセンサーで捉えていた。 恐らく敵はスモークに紛れて一気に近付き近接戦闘を仕掛けるつもりなのだろう。 「ポイント距離20・・・10・・・5・・・馬鹿め!マドロックを見くびるな!!」 マドロックは咄嗟に左手でビームサーベルを引き抜くと、ジャストのタイミングで前方に踏み込み思い切り横に薙ぎ払った。 ズシュッという何かを断ち斬った確かな手ごたえが操縦桿越しに伝播する。 砲撃用MSのマドロックであったが、接近戦を見据えた武器も抜け目無く装備していたのである。 初めてエイガーは歯を見せて笑った。 「調子に乗りすぎたな!貴様など、俺とマドロックの敵では・・・」 しかし、マドロックの足元に音を立てて落下したのは、真っ二つに切り飛ばされたハイパーバズーカ「のみ」であった。 エイガーの笑い顔が眼を剥いたまま凍りついて固まる。 ロケット弾を使用するハイパーバズーカは砲弾を発射した直後は砲身が過熱し熱を佩びる。 ピクシーのパイロットはスモークを焚いて視界を奪い、投げ付けたバズーカの熱をこちらのセンサーに捉えさせ自身の代わり身として使用したのである。 エイガーの全身を戦慄が貫いた。 ならば敵の本体は・・・今 ど こ に い る の だ !? 448 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 12 11 50 ID UqfbXj6Y0 [6/8] 「エイガー少尉!?」 「動くな!これは奴の罠だ!動けば奴のパッシブソナーで居場所を知られるぞ! 油断するな!こちらも敵の動きを探れ!! 相手は1機だ、最悪でも誰かが攻撃を受ければ残りの2機で敵を撃破できる!」 「り、了解!」「何てことだ・・・」 エイガーの指示に部下の2人も事態を察し、冷汗を浮かべてセンサーモニターを凝視する。 一分が過ぎ・・・二分が過ぎても・・・視界を遮るスモークの中、敵の動きはまだ無い。 しかし今この瞬間にもあの得体の知れないMSが背後に現れるかも知れないのだ。 経験の浅いMSパイロットにとって、その恐怖感たるや筆舌に尽くしがたいものがある。 疑心暗鬼に駆られた彼等は、知らず知らずのうちに集中力を極限まで絞り込んでいた。 だがその時――― じりじりと張り詰め硬直した時間を解きほぐすように、雨雲の切れ間から太陽の光と共に一陣の風が戦場を吹き抜け、薄雲の様なスモークをエイガー達の周囲から完全に吹き散らした。 ピクシーの姿は、どこにも無い―――――― 「おおお神よ・・・!?」 信仰深いゲランが天を見上げ、恐ろしげな物を振り払う様に胸の前で小さく十字を切る。 「て、敵はどこだ!?」 「ロストしました!ゲラン!?」「こ、こっちもです!」 サカイの呼び掛けに我に返ったゲランが神への祈りを中断して慌てて応じる。 「そんな筈は無い!敵はまだ近くに潜んでいるぞ!捜すんだ!!」 慌てて周囲をエイガーと2人の部下は警戒するが、まるで先程のスモークと同様、霧か霞の如く消えてしまったMSを再び捉える事はできなかった。 まさか逃げ出したのかと訝るエイガーの耳朶を、その時通信アラームが激しく叩いた。 『エイガー少尉!!敵襲です!敵のザクが後方の車両を!!』 「し、しまった!?」 突如割り込んで来たキャリアーからの通信に、エイガーは顔面蒼白となった。 目の前のピクシーに気を取られ、部隊の退避命令を出し損ねていたのである。 恐らく先程取り逃がした2機のMSは逃げ去ったのではなく、崖の尾根沿いに山の反対側に廻り込み、無警戒に停車していた部隊車両を襲撃したのだ。 エイガーは、敵MSを騙し討ちする為に味方車両を動かさなかった事で生じた大きな代価を、ここで支払うハメになったのである。 見る間に山の向こうからは連鎖する爆発音と無数の煙が立ち昇り始めた。 「やられた・・・・・・」 茫然自失となったエイガーが呟く。 彼が率いるこの長距離砲撃部隊は火薬と燃料の塊なのだ。隊列を組んで停車している所を爆破されれば誘爆が更なる誘爆を引き起こすだろう。 皮肉な事にこの隘路に入り込んでいた数台の車両こそ無事だったが、弾薬を満載した後方の補給車両が潰されてしまってはもう作戦通りの攻撃は不可能となってしまう。 ピクシーは完全に囮だった。奴はこちらのMSの動きさえ暫く押さえておけば良かったのである。 最初から本隊への襲撃は他のMSに任せ、ある程度の時間を稼いだらさっさと引き上げるつもりだったに違いない。 オデッサへの長距離支援というこちらの作戦行動を妨害する目的が達成されたならば、別に無理をして数的に不利なMS戦を挑む必要など無いのだから・・・! 449 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 12 12 28 ID UqfbXj6Y0 [7/8] 夕焼けの中、再び雨が降り始めていた。 山間部に累々と横たわる残骸と化した車両を眺めながらエイガーは、オデッサ作戦において自分の役割が完全に無くなった事を実感していた。 人的な被害が最小限で済んだ事は幸いだったと言えるだろう。敵MSは的確にこちらの弱い所だけを突くと余計な殺戮をせず、旋風の様に引き上げたのだそうだ。 敵ながら見事な手際だと言わざるを得ない。 「白い悪魔め・・・!」 ゲランが命名したその名を悔しそうに呟いたエイガーは、それでも正直命拾いをしたという安堵感は拭えない。 あのまま敵のピクシーがスモークに紛れて本気で切り込んで来ていたら、自分達3人はどうなっていたか判らないのだ。 目を転じると、ゲランが身振り手振りを交えて大勢の仲間達に何かを説明している姿が見えた。 恐らく、今日を境に「白い悪魔」の名は瞬く間に連邦兵の間に広まる事だろう。 そして「赤い彗星」や「青い巨星」などと同様、その噂は恐怖と共に語り継がれる事になるに違いない。 「エイガー少尉、走行可能な車両に生存者を分乗させました。日が暮れる前に出発しませんと」 「・・・そうだな」 小走りでやって来たサカイの言葉にエイガーは頷いた。 これから彼等は来た道を引き返してソフィアにある中継キャンプ地に向かう。 意気軒昂だった行軍の時とは正反対の、消沈した敗残兵として仲間の元に帰還するのだ。合わせる顔が無いとはこういう事を言うのだろう。 「見ていろ・・・次はこうはいかない。俺はあの悪魔に必ず勝ってみせるぞ」 俯いていた顔を無理矢理上げたエイガーはそう言うと、ピクシーが消えた丘を睨み付けてから踵を返した。 彼等に降り注ぐ雨は、次第に強さを増して行く様だった。 .
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正式名称:YMS-14A GELGOOG パイロット:アナベル・ガトー コスト:2000 耐久力:580 変形:× 換装:×
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/4521.html
983 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/30(月) 13 08 03 ID ??? ルーって何乗ってるんだろうな Zは持ち主健在だし 984 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/30(月) 13 08 48 ID ??? ZガンダムがF91みたいに一部機能をオミットして少数量産されたとか 985 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/30(月) 13 32 02 ID ??? ググってみたらZガンダムって2号機とか3号機とかあるんだな。 その一つでいいんじゃない? アムロ兄さんにはメガゼータがあるし。 987 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/30(月) 13 55 58 ID ??? ガンダム→G-3ガンダム →リックディアス→シュツルム・ディアス→ディジェ →Zプラス→ホワイトゼータ→メガゼータ→リ・ガズィ →νガンダム→Hi-νガンダム →月面基地に封印 D.O.M.E.「このスレ的にはこんな感じだろうか。一部矛盾もあるが」 カミーユ「意外にZ関係によく乗ってるんだね」 ジュドー「テレビじゃ一回も乗ってないのにね。後付けって凄いなー」 アムロ「おい、最後のは何だ」
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無題 作者・赤戦闘員 影村 419 ロンデニオン基地内・ミーティングルーム*** 今、ここには現在のロンド・ベル隊の主力ガンダムパイロットが集まっていた。 アムロ、クリス、コウ、カミーユ、ルー、の五名である。 シーブックとトビア、ガロードたち、キラとアスランはそれぞれの母艦と 共に各地に散っており、シャッフル同盟も独自に動いていた。 ウッソやヒイロたちとは連絡が取れない状態が続いている…。 アムロ「では、ミ-ティングを始める。始めに…新メンバーの紹介だ。 入ってきてくれ。」 アムロにうながされ、ドアから1人の男が入って来た。 …何故か覆面をかぶっている。 「……!?」 顔を見合わせるクリスとコウ。カミーユが苦笑いして、 カミーユ「イタズラしようったって分かってるよ、ジュドー」 覆面の男は笑いをこらえきれず、 ジュドー「へへっ、みんなただいま! でいいのかな?」 以前と変わらぬ素顔を見せた…。屈託のない笑顔だ。 ルー「ジュドー!?驚いた…もう大丈夫なの?」 ジュドー「ああ、もうバッチリさ…心配かけてすまねっ」 コウ「カミーユ、ジュドーだってよく分かったな…知ってたのか?」 カミーユ「いいえ…何となくジュドーかなって」 クリス(NTの力なの…かしら?) カミーユ「でも…俺も驚いたよ。回復には早過ぎないか?」 アムロ「そのことなんだが…ジュドー?」 ジュドー「ハマーンのおかげみたいなんだ。あいつのところにいた時、 色々と治療してくれたのを何となくだけど覚えてる…。」 カミーユ「……」 コウ「それで…か」 アムロ「では、本題だ。これから先、おそらく敵のニュータイプと戦うことも 増えてくると思う。そして、指揮官クラスの敵はファンネル装備の機体に 乗っていることが多い。そこで今度の演習では、ファンネルによる攻撃に 重点的に慣れてもらう。特にウラキ中尉とクリス…」 言いかけて言葉を選ぼうとしたアムロに、コウ自身が笑顔でフォローを 入れる。 コウ「分かってますよ大尉、僕たちはNTじゃない……対ファンネルは 心してかからないとね」 クリス「──了解」 アムロ「なお、今回ジュドーはνガンダムHWSに、ウラキ中尉には ZZガンダムに乗ってもらう」 コウ「あの…自分のステイメンは?」 アムロ「先刻ニナ君がアナハイム本社に持って帰ったよ、さっき言った2機と引き換えに。 一度ステイメンをオーバーホールするんだとか言ってたな」 コウ「なら、仕方ないですね…」 アムロ「じゃあ、みんなで夕食でも食べに行くか。 ジュドー復帰祝いも兼ねて」 アムロ以外の全員「はい」 420 無幻城*** ジュドーが復帰した同日。 ガトー「…失礼します」 無幻城・Gショッカー地下帝国軍ミケーネブロック、ガルマの私室である。 ノックの後、アナベル・ガトーが入室する。 ガトー「お呼びでしょうか?」 ガルマ「うむ…現在我がGショッカーは主に地球本星での工作に重点を 置いており、異世界侵攻計画にも人員を取られている…というのは周知の 通りだ」 ガトー「はい」 ガルマ「その分、太陽系における展開が手薄になっている傾向がある。 ゴズマ軍は外宇宙がメインということもあり…我らMS部隊に太陽系内 での情報収集の命令が下った。そこで、貴官に隊長として宇宙に上がって もらいたいのだが…」 ガトー「はっ…謹んでお受けいたします」 ガルマ「うむ、では早速準備にかかれ…諸君の健闘に期待する」 ガトー「…ガルマ様」 ガルマ「ん? 何だ?」 ガトー「機会があればで構いません…コウ・ウラキとの再戦を…お許しいただきたい」 ガルマ「……わかった。が、それに気を取られて本来の任務を忘れぬように…」 ガトー「はっ、ありがたき幸せ…! ジーク・ジオン!!」 ガルマ「ジーク・ジオン…!」 宇宙空間・ロンドベル隊演習地*** アムロ@Hi-νガンダム「では演習を開始する。まず、カミーユとルーに ファンネル対処法の手本を見せてもらう。ジュドー、用意はいいな?」 ジュドー@νガンダムHWS「ああ、でもマジで当たったらやばいんじゃないの?」 アムロ「大丈夫さ。演習用に調整してるからほとんど殺傷力はない …じゃあ2人とも、いくぞ」 ルー@Zガンダム3号機「了解」 カミーユ@Zガンダム1号機「いつでもいいですよ」 アムロ、ジュドー「「いけ、フィンファンネル!!」」 2機のνガンダムからファンネルが射出され、ビームを放ちつつ2機のZに近づいていく。 カミーユ「そこ!」 迫り来るビームを回避しつつ、Zの演習用ビームライフルが連射された。 3つのファンネルが撃ち落とされる。 が、落とされなかった残りがZガンダムの周りを囲む。 ルー「あたしもいいとこ見せなきゃ」 そう言いつつビームサーベルでファンネルを潰していく、紫のZ。 残ったファンネルの放つビームもシールドで防いだり回避したりしていく。 そして攻撃終了…。 アムロ「よし、2機とも直撃弾無しだな」 コウ@ZZガンダム「す、すごい…」 クリス@Zガンダム2号機「あの全方位攻撃を避けきったなんて…」 カミーユ「いや、でも実際きつかったですよ。事前に数を減らしてなかったら 2,3発は当たってたでしょう……」 アムロ「ああ、何もいきなり全部を相手にしようと思うから余計な被弾を生んでしまう…。 それにファンネルだって動きを見切れば何とかなる。 よし、次はコウたちだ!」 コウ「は、はい。よろしくお願いします。」 ファンネルが射出される。コウ機、クリス機は先の二人に習いビームを撃ってみるが 当たらない。それならばとビームサーベルで潰しにかかるが、逆にファンネルからの ビームを受けてしまう。 コウ「うわ!?」 クリス「きゃあ!」 更にファンネルの攻撃は止まらない。2人は何発かは回避・防御しているが、 徐々に被弾数を増やしていく。そして… コウ機とクリス機のコンピュータ「「判定撃破!機能停止」」 2機がほぼ同時に機能停止する。と同時に攻撃もぱったり止まった。 アムロ「お疲れ様…頑張った方だな」 カミーユ「お2人とも、伊達に一年戦争やデラーズ戦役を生き延びた わけじゃないですからね」 クリス「……でも、除隊してた間のブランクは否定できないわ……」 コウ「はぁはぁはぁ…大尉、もう一回お願いします」 アムロ「ああ、わかった。でも少しだけ休め」 ・ ・ ・ 421 宇宙空間*** 同日同時間。ガトー率いる部隊が漆黒の空間を進んでいく…。 ガトー隊一般兵「ガトー少佐、主だったコロニーへの工作員潜入・完了しました」 ガトー@ドーベンウルフ改「ご苦労。近くを哨戒している部隊があるかもしれん。 各機警戒を怠るな」 一般兵「はっ…、少佐。友軍ではない機体がこちらに向かってきます。数は3。 機種認識…! MA(メタルアーマー)です」 ガトー「何!?」 程無く現れる3機のMA、ドラグナー1型C(カスタム)、2型C,3型C。 ケーン@D1型C「ライト、新ギガノス要塞の所在候補はここか?」 ライト@D3型C「ああ・・・って大ハズレだな、こりゃ…ジオンの戦艦だ」 タップ@D2型C「…ってあのパーソナルマークは!?」 ライト「ソロモンの悪夢、アナベル・ガトーか…Gショッカーの エンブレムまでつけてやがる」 ケーン「なんで今まで気づかなかったんだよ、ライト!?」 ライト「新型ステルスでも搭載してるんじゃない? ……お、近くで演習やってる。とりあえずそこまで逃げますか?」 タップ「賛成だ。このままじゃ多勢に無勢だからな」 ライト「んじゃ、SOSサインだしてっと…それ、逃げろ!」 一目散に逃げ出す3機。 ガトー「むっ、逃がすな、追え…見られたからには生かしてはおけん!」 後を追い始めるガトー隊。 ロンドベル演習地*** 訓練開始からおよそ一時間、さすがにコウもクリスも だいぶコツをつかんできたようだ。 アムロ「よし、かなり対応できるようになってきたな。 じゃあ、最後にもう1回…ん?」 ルー「アムロ大尉、大変です」 アムロ「どうした?」 ルー「友軍機からのSOSをキャッチしました。 Gショッカー──アナベル・ガトー率いる部隊に追われている ようです…こちらに来ます」 コウ「ガトーが!? くっ…!!」 飛び出そうとするコウをアムロが止める。 アムロ「落ち着け。よし、各員戦闘準備、 ライフルの弾を実戦用に切り替えろ。 ルー、接触までには?」 ルー「…およそ2分です」 カミーユ「ウラキ中尉、クリス少尉、推進剤は大丈夫ですか?」 クリス「…ええ、私は大丈夫よ。極端に戦闘が長引かなければね」 コウ「右に同じ!」 アムロ「よし、そろそろ来るぞ…みんな、気をつけろ…コウさん」 コウ「何か? アムロさん」 アムロ「ガトーと決着をつけたい気持ちは分かる…だからって焦るなよ」 コウ「……了解」 ジュドー「来たよ。みんな。ん、あれは…ドラグナー!? ケーンたちか?」 合流するガンダム隊とドラグナー隊。 ライト「ひゅ~、ツイてる。ロンド・ベル隊だ。お久しぶりです…アムロ大尉」 アムロ「ああ、しかし何故君達がここに?」 タップ「話は後で。それより今は連中を…」 アムロ「そうだな。君達もいけるか?」 ケーン「もちろん! 久々だから腕が鳴るぜ…」 422 一方、ガトー隊。 一般兵「ガトー少佐、奴らに追いつきました、が・・・。」 ガトー「わかっている。ロンド・ベル隊に合流されてしまったのだろう?」 一般兵「はい。」 ガトー「しかし、ここまできて手ぶらでは帰れん。仕掛けるぞ (…コウ・ウラキもいるようだしな)」 一般兵「了解!」 ガトー「よし、各隊発進せよ、我が後に続け! 艦長、あれも出せ」 ムサカ@艦長「はっ。少々発進に時間がかかりますが……」 ガトー「多少は構わん。が、急げよ」 艦長「はっ。御武運を」 ガトーのドーベンウルフ改を先頭にRF(リファイン)ザク、ギラドーガ、 ザクⅢ改等、そしてわずかだが量産型キュべレイが次々と出撃する。 アムロ「くっ、キュべレイか…各機へ、あのキュべレイは俺と ジュドーでなんとかする。 みんなは他を頼む。ジュドー、行くぞ」 アムロ以外の全員「了解!」 コウ「……ガトォォー!!」 先陣を切り、コウがガトーに突っ込んでいく! ガトー「やはりコウ、貴様か…各機へ! あのZZガンダムは私が相手をする、 手を出すな! もうすぐあれも出てくる…とりあえずそれまで持ちこたえろ」 ガトー隊一般兵「了解!!」 ガトー「散開ッ!! さあ来い、コウ・ウラキ…あの時なし得なかった 決着を着けてやる!」 コウ「望むところだッ!!」 ガトー機からメガ粒子砲が飛ぶ…コウはこれをうまくかわしつつ ビームライフルで応戦。しばし膠着状態の後、動いたのはガトーだった。 ガトー「やるな…ならばこれでどうだ」 次の瞬間、ドーベンウルフの肩辺りから何かがコウ機めがけて 射出された! 非ニュータイプでも扱えるオールレンジ武器、インコムだ。 コウは突然のことだったがかろうじて回避した。 ガトー「腕をあげたな、しかし!」 コウ「!!」 とっさにシールドを構えるZZ。インコムの回避に精一杯だったコウに 再びメガ粒子砲が浴びせられたのだ。 ビームコーティングもあり何とか防ぎ切るも……。 コウ「ああっ、シールドが!?」 ガトー「それではもう使えまい!」 間髪いれずインコムが飛んでくる。しかし、今度のコウは冷静だった。 コウ「……そこだ!」 目星をつけて、ビームを連射する──そのうち1発がインコムを潰した。 さらにビームサーベルで別のインコムに繋がっているワイヤーを斬る! コウ「おおおおおおーッ!!」 肩のビームキャノンで反撃開始するコウ機。 ガトー「何っ!?」 今度はガトーが反応しきれず、右肩部分と右足に掠めてしまう。 ガトー「むう、インコムがやられたか……小癪な真似を!」 艦長「ガトー少佐、準備整いました」 ガトー「よし、出せ」 艦長「了解、RFビグザム発進!!」 カミーユ「っ!あれは? みんな危ない」 423 RFビグザムから大型メガ粒子砲が撃ちだされた! クリスやルー、Dチームと一緒にガトー隊の相手を していたカミーユがいち早く気づき、皆に注意を呼びかけたため、 即座に回避運動に入る一同。 ちなみにその時点でガトー隊の半数程が戦闘不能状態になっていた。 アムロ「ちぃ、ビグザムだと…?やっかいなものを…っ」 アムロの脳裏に、スレッガーを失ったかつての死闘がよぎる。 やっとキュべレイ隊を全滅させたアムロ、他の援護に向かおうとして… Dチームからの通信を受けた。 ケーン「アムロさん、俺達に任せてくれない?」 アムロ「策があるのか?」 ケーン「ああ、ただ途中で少し攻撃に時間がかかるかもしれないから、 合図したら援護してくんない?」 アムロ「ああ、わかった。 ジュドー、君はカミーユ達と合流して敵の殲滅に あたってくれ」 ジュドー「了解。みんな気をつけろよ」 ケーン「よしタップ、ライト、準備はいいか?」 タップ「任せろ」 ライト「こっちもOKだ」 ケーン「よーしいくぜ。おらおら、騎兵隊のお通りだぁ」 3機のドラグナーがハンドレールガンを乱射しつつビグザムに向かっていく。 ガトー隊部隊長@RFザク「!各機あの3機を行かせるな。イエロー隊にも伝達し…ぐあぁ!?」 いい終わる前にカミーユ機から放たれたグレネードランチャーがRFザクの右腕を 破壊した。 カミーユ「まだ、抵抗するのか?なら……」 ハイメガランチャーをセットするとすかさず発射! 先ほどのRFザクと、その側にいたギラドーガもまとめて破壊された。 カミーユより少しビグザムに近いところでも ルーとクリスがドラグナーの援護に回っている…。 ルー「このぉ、落ちなさいよ!」 クリス「負けない…!」 紅と紫、2機のZが次々と星の数を増やしていく…。 艦長「くっ、MSを援護するぞ。ミサイル用意、目標2機のZガンダム…発射!」 ルー「ええっ、ちょっとそんなのあり!?」 クリス「くっ!?」 慌ててミサイルに対処する2人。だが…。 ガトー隊一般兵「もらったぁ!」 クリス「えっ!?」 ビームサーベルを手にクリスのZに接近してくる敵MS、 これは駄目かと思ったその時、 何も無いところからビームが飛んできて敵機を撃墜した。 ──フィンファンネルの仕業だ。 ジュドー「クリスさん、大丈夫?」 クリス「ええ、ありがとうジュドー」 一方Dチームは、カミーユ達の援護もありさほど苦も無くRFビグザムに接近。 タップ「ケーン、やっぱハンドレールガンじゃあんまり効き目ないよ!」 ケーン「わかってる。だから次はあれだ、ライト!」 ライト「はいよ、それ!」 D-3Cからミサイル発射!! エリート兵@RFビグザム「ふん、こんなもの…!! 何だ、レーダーが!?」 そう、このミサイルにはレーダーを一時的に錯乱させる機能があったのだ! 424 ライト「アムロさん、お願いします!」 アムロ「よし、行けフィンファンネル!」 今度はアムロがビグザムを牽制し始めた。 ケーン「よし、光子バズーカ、チャージ・・・」 タップ「・・・こっちはOKだ」 ライト「・・・チャージ完了!」 ケーン「発射スタンバイ・・・・・・撃てぇぇー!!」 3機の光子バズーカがRFビグザムに迫るが、RFビグザムのIフィールドに阻まれてしまう。 が…それは囮、別方向の大出力ビームがRFビグザムにせまった。 ジュドーのνガンダムHWSのハイパービームキャノンだ。 これだけの高出力ビームを立て続けに受けてついにIフィールドは消滅し、 RFビグザムの装甲が溶けはじめる。 ケーン「よっしゃ、とどめはあれで行こうぜ!」 タップ、ライト「OK!!」 そう言ってD-2CとD-3Cがビグザムの巨体を両側からつかみ、持ち上げる。 エリート兵@RFビグザム「な、何をする!?」 タップ「よーし、恐怖のトリプル…」 ライト「アタァァック!!」 下に投げ落とされるビグザム、上昇してきたD-1Cが ツインレーザーソードを回しながら接近… ケーン「とどめのぉ、一撃ぃ!!」 すれ違いざまに装甲を斬り裂いた! エリート兵@RFビグザム「うっ、損傷率60%を超えた!? こ、これ以上の戦闘は危険。撤退します!」 と、その巨体に似合わぬスピードで去っていく…。 艦長「ガトー少佐、駄目です。このままだとやられます!」 ガトー「何!? RFビグザムはどうした?」 艦長「中破状態で帰艦しました。味方も7割はすでに撃破されています」 ガトー「ちぃ、やむをえん。退却する。集結場所は……」 艦長「了解です。信号弾撃てぇい!」 戦艦から放たれた信号弾に応じ、即座に撤退を始めたガトー隊。 コウ「ガトー、逃げるのか!」 ガトー「こちらにも色々と事情があるのでな、今日のところは退く。 ……だが、数々の屈辱は必ず返す!」 コウ「くっ…待てぇー!」 アムロ「中尉、深追いはするな!」 コウ「しかし!」 アムロ「隊長命令だ! 自分の機体の状態をよく確認しろ!」 コウ「!! ……はい。申し訳ありません……」 このときのコウのZZは推進剤が底を尽きかけ、誰が見ても全身損傷だらけ の状態だった。そのことが、戦闘の激しさを雄弁に物語っていた。 アムロ「よし全機、ロンデニオンに帰還する…Dチームも来てくれるか? 補給が必要だろう?」 ケーン「了解っ!」 425 ロンデニオン・ミーティングルーム*** ライト「……というわけで、俺達はミスマル提督の依頼で、 鷹の旦那達と二手に分かれてギガノス機動要塞の在り処を 探しているんです」 ルー「で、今回は運悪くガトー達を見つけてしまったというか… 出会っちゃったのね?」 ケーン「そういうこと」 アムロ「そうか…そちらも頑張ってくれ。余裕ができればこちらも出来る限りの ことはするよ……とんでもない演習になってしまったが今回はこれで解散だ。 みんな、ご苦労だった」 アムロ以外全員「ありがとうございました!」 宇宙空間・ガトー隊*** ガトー「くっ、ロンド・ベル隊め……今日の屈辱忘れはせぬぞ」 通信兵「……少佐、ガルマ様より通信です」 モニターにガルマの顔が出てくる。 ガトー「ガルマ様、今度はまことに…」 ガルマ「ガトー、すまぬが全員でこちらに帰って来てくれ」 ガトー「……どういうことです!?」 ガルマ「うむ、闇の帝王陛下よりの御下命だ。異世界侵攻計画に 更なる人員を要すると…。 しかし、潜入させた工作員はそのままにしておけ。 宇宙の情報が欲しいのも事実だからな」 ガトー「では、アナベル・ガトー隊…ただちに帰還いたします! (覚えておくがいい、コウ・ウラキ!)」 ○ジュドー・アーシタ→ハマーンの協力もあり無事に回復・復帰。 ○ロンド・ベル隊→ファンネル及びそれに類する武器への対処法を習得。 ○Dチームとマイヨ隊(マイヨ、プラクティーズとミン)→ミスマル提督の密命で、 宇宙のどこかに潜むギガノス新機動要塞の位置を探査中。 ●Gショッカー→コロニーや月都市に工作員を潜入させる(主に情報収集)。 ●アナベル・ガトー→宇宙に上がるも次の作戦準備の為、基地にとんぼ返り。 【今回の新規登場】 ○カミーユ・ビダン中尉(機動戦士Zガンダム) エゥーゴのMSパイロット。史上最高のニュータイプ能力を秘めた少年。 愛機はMSZ-006Zガンダム。「カミーユ」という自身の女性的な名前に劣等感を持つ。 ハイスクールでは空手部に所属していた。 ○ケーン・ワカバ准尉(機甲戦記ドラグナー) D-1型、D-1型Cのパイロット、元民間人。 性格は熱血漢でお調子者。少林拳を習得している。 ○タップ・オセアノ准尉(機甲戦記ドラグナー) D-2型、D-2型Cのパイロット、元民間人でケーンとは悪友。 いつも明るい笑顔を振りまく、お気楽さがとりえの陽気な黒人。 ○ライト・ニューマン准尉(機甲戦記ドラグナー) D-3型、D-3型Cのパイロット、元民間人でケーンの悪友。 暴走するケーン達を止める役だが自身もかなりのお調子者。 電子機器に詳しい。白人。 ●アナベル・ガトー少佐(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY) ジオン残党であるデラーズ・フリートの一員であり、 一年戦争時にソロモンの悪夢と恐れられたエースパイロット。 RX-78GP02Aガンダム試作2号機(サイサリス) 及びAMA-X2(AMA-002)ノイエ・ジールのパイロット。
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シナリオ アムロ・レイ(CCA) 概要 基本的にはアムロが強く頼もしいが、味方戦艦の撃墜でもゲームオーバーになるのと、難易度を問わずシャアだけは注意。 また、自機がリ・ガズィのうちはシャア以外であっても攻撃を当ててくる。特に3D隊やイリアは高難易度だとリガズィでは危ない程度に強く、疲労が溜まっている時は旧式の無人量産機であっても油断しないように。 0079アムロと違って、次々に発生する任務をこなす形となる。任務達成ごとに部隊は移動・配置され耐久、物資、疲労が(ある程度?)回復。 当初は、反地球連邦組織の鎮圧という名目であちこちに出没する小部隊を攻撃する。 反連邦組織の鎮圧[暗礁空域]の所属不明機迎撃[スウィート・ウォーター]まではいくらでもターンを使えるので、改造したいならこの間に。VHのサザビーを落とすなら必須。 シャアの反乱開始後にフィフス・ルナ落下阻止、アクシズ落下阻止作戦と続いていく。 全編通して廃棄は不可。また、戦艦は最後まで要請できない為、初期配置のクラップとロンド・ベルの数隻のほかは歴史介入で増やすしかない。 クリア特典 介入ポイント Easy Normal Hard Very Hard True End 合計 2500 5000 7500 10000 5000 30000 介入登録キャラ キャラクター ユニット EASY NORMAL HARD VERY HARD アストナージ ジュガンD型 リガズィ・BW リゼル リゼルS チェーン・アギ ジュガンD型 リガズィ・BW νガンダム・A νガンダムF・A ケーラ・スゥ ジュガンD型 リガズィ・BW リゼル リゼルS ジェガンD型の時点で一年戦争で真っ正面から敵う機体は少なく、リゼルやリゼルSに育ったNTパイロットが乗れば敵はいない。総司令以外のモードで火力推力燃費5に改造すれば、誇張抜きでもう誰にも止められない。 リ・ガズィも十分に強いが、戦艦に載せるか非戦闘中の重要拠点に寄らないと変形ができない点が不便。通常リゼルのほうが使いやすいだろう。 チェーンのνガンダムも素の時点で恐ろしく強いが、ファンネル付きに強いNTを乗せれば砲撃でMA戦艦以外を7マス消しとばす鬼神と化す。ただし介入コストも恐ろしく高い。 アストナージの推力改造は物資全消費、疲労100になるなど使い勝手は悪いが総司令モードで機体の改造を行える貴重な手段。 攻略 はっきり言って、量産型のMSを要請した所で敵の無人量産機と戦うか、肉盾や囮にする、制圧役、戦艦を囲んで殴る位しか役に立たない。レビルやギレンを介入させたとしても、無人機では名前ありパイロットの高級機には手も足も出ないため生産の優先度は低い。 戦力としての要請を行うならリ・ガズィ一択。リゼル、特にリゼルSが要請できるようになれば、無人でもそこそこ戦えるし介入パイロットを乗せるのに最適。 SFSのベース・ジャパー改は索敵可能、間接攻撃可能、移動力が高くて一番安価と何かと役に立つ。壁・囮と大量にあって損はない。 使用できるパイロットがアクシズ落下阻止まではアムロのみなので、介入で機体とパイロットを使用すると手数が増えて楽になる。最初の対峙の際にシャアを倒すにはおそらく必須。 但し、ギャプランなど中途半端な性能の機体だと指揮官用ギラ・ドーガに乗った名前有りパイロットにすら敵わないので注意。シャアのサザビーに至ってはファンネルで吹き飛ばされるか、格闘の反撃でめった斬りにされる。 プロダクトコードが使用できるなら ハマーン(キュベレイ)、カミーユ、ジュドー(Zガンダム)、シロッコ(ジO) プロダクトコードがないなら ララァ・クスコ(キュベレイ)(一年戦争シャアVHクリアで使用可能) 辺りがパイロット、機体供に強力なのでオススメ。厄介なイリアのリゲルグや3D隊のジャムル・フィンも正面から戦える。 もちろんユニコーン組も強力。ただ、シナンジュやユニコーン1機だけ介入するより上記から複数機介入させたほうが手数的に楽かも。クシャトリヤはファンネル砲撃が広いタイプなのでアクシズ戦やスィートウォーター戦で雑魚処理が楽になる。 また、最初からリ・ガズィを要請できるので、ポイント不足で強い機体を介入できない場合はパイロットのみを召喚するのも悪くない。 強いパイロットを乗せた運動性フル改造リ・ガズィを数機用意できれば最初のサザビー撃墜も立ち回り次第ではあるが一応可能。 高難易度でシャアのサザビーやナイチンゲールとガチで戦う場合、Zガンダム+Lv20カミーユでも返り討ちになるため、相応の対策が必須。詳しくは後述。 敵の機動力が高め、実弾・ビーム入り混じる編成なので、ビグザムやサイコガンダムを盾にしてもあまり保たず、そもそも格闘武器が痛い。砲撃役に徹するなら十分。 アクシズ制圧戦前にリ・ガズィ、νガンダム(F無し)が空くのでこの2機用にパイロットを介入させるのもオススメ(アクシズ制圧までは乗換不可なので、機体付で介入させたりジェガンに乗せたりすると、撃墜されてνF、ZZ、キュベレイ、クシャトリヤの砲撃で撃墜して復帰後に搭乗させないといけないので注意) 但し、機体が無いからと放置すると能力の低いまま激戦に放り込むことになるので、出来れば早期に機体を要請、搭乗させたほうがいい。 ガルスJが最大14回攻撃できるので、反撃せずひたすら回避で耐えて経験値を稼ぐのも有り。 基本的にファンネル砲撃のまえに量産機はただのやられユニット。NTでも生半可な状態では被弾するので、パイロット入りリ・ガズィやリゼルSでNT機を相手にしないこと。量産するならまずは安価なベースジャバーから。 反地球連邦鎮圧作戦開始 勝利条件:敵部隊殲滅 敗北条件:クラップ撃沈orアムロの戦死 当初はあちこちのコロニーの反地球連邦組織の鎮圧を実行。勝利・敗北条件は共通。クラップはAI操作なので、敵にとりつかれないようにすること。 各戦闘の終盤で要請によりMSの補充と次の戦闘のために部隊強化を図るべき。 介入機体はコンペイトウに配置。 サイド4空域反連邦組織の鎮圧 アムロのリ・ガズィBWSは離脱でMS形態にした方が戦いやすい。戦艦に搭載したり拠点に駐留するとBWSに戻るので注意。 特に強力な機体もいないのでアムロのリ・ガズィを中心に戦えば問題ないが、1ターン目にクラップが右に突っ込んでいくので移動先を味方で塞いでおくと敵に取り付かれる心配がなくなる。 難易度Hard以上で無人のジャムル・フィンが登場。クラップに取り付かれると即落とされるので注意。 敵部隊数が減ると拠点から動かなくなるのでこの隙にアムロ(介入しているなら介入した機体も)をコンペイトウに駐留させて推進を中心に改造しておくと今後の戦闘が楽になる。 ここで何ターンかけても今後の展開には影響しない模様(50ターンほど経過させてみたが問題なかった) 改造の為の発言力溜り待ちで暇ならアクシズ右上の「ショウワクセイ7と9」を制圧しておくと後で役に立つ。 左下のショウワクセイ2を制圧すると、後のシナリオで時短になる。アクシズ戦前にνなどを改造したい場合は放置した方がいい。 全敵部隊全滅で発言力+5000 反連邦組織の鎮圧[暗礁空域] 注意すべきはイリアのリゲルグ。難易度が低いうちはアムロを主軸に戦うだけで済むが、ハード以上だとリゲルグに改造が施されており、推力が高いとアムロの攻撃でさえかなり躱す。VHだと本人のレベルも高い。 幸いイリアは拠点から動かず、その拠点も孤立していて回復効果がないので燃料切れを待ち袋だたきにすることができる。囮は安価なベース・ジャパー改がおすすめ。 敵も動かず自艦も動かないためターン送りで発言力を稼ぐことが可能。 敵全滅で発言力+15000 *所属不明機迎撃[スウィート・ウォーター] アリアスがいるがドライセンなのであまり強くない この戦闘か次の戦闘の間に、暗礁空域(先の戦闘でイリアがいた拠点)を制圧しておくとフィフス・ルナ落下阻止がかなり楽になる。 無期限に稼ぎができるのはここまでなのと、ここから先は連戦なので、機体に不備がないか念入りにチェックしよう。 敵全滅で発言力+5000。味方配置はそのままで次の戦闘へ 敵強襲部隊の迎撃 3D隊のジャムル・フィンが出現。ジャムルフィンは射程が長く、しかも火力が鬼のように強化されているので早期の撃破が必須。幸い、3D隊はバラバラで出現するので各個撃破は難しくない。 シャア・アズナブルと接触せよ 勝利条件:シャアとの接触 敗北条件:アムロの戦死orクラップ撃沈 スウィートウォーターの戦闘後、不明機を確認したという情報が入るので、アムロが偵察に出撃、シャアのサザビーが出現する 前の戦闘から味方配置は引継ぎ。味方全機体の耐久・物資・疲労が全回復?している アムロがシャアと隣接すると会話発生だが、会話発生せずとも3ターン経過すると敵撤退。 シャアを攻撃する必要はないがシャアから攻撃を受けることがあるので耐久には注意すること。下手に多くの部隊を近づけるとファンネルの砲撃で一気に落とされるので注意。幸いシャアは動かないので、放置してやり過ごすのも有 シャアの動向調査完了で発言力+10000 この時シャアのサザビーを撃破できれば発言力+100000の上、この後のフィフス・ルナ落下阻止が非常に有利になるので是非撃破したいところ。 ただし3ターンしか猶予がないので強力な機体&NTパイロットの介入が必要。無理なら素直に諦めること。 ファンネル砲撃は占有へクスが多いところ(スタック数ではない)を優先的に狙ってくるので、アムロ・シャア・ベースジャバーのようにアムロと反対の位置にベースジャバーをばらけて配置すればそちらを狙ってくれる。アムロに砲撃がいかない 砲撃で疲労が溜まって撃破しやすくなると一石二鳥なので、シャアの撃破を狙うなら必須のテクニック。 ※場合によっては隣接部隊へ普通に攻撃してくる事もあるので注意。特にアムロ単騎だとほぼ確実に撃墜されてしまう ベリーハードの場合、サザビーに改造が施され、運動が上がっている。こちらのユニットも事前に改造を行っておくこと。 シャアの疲労が低いと、出力5推力5のリガズィ搭乗アムロでさえ攻撃をほとんど当てられない。逆に格闘戦でのシャアの反撃で即死しかねないので、隣接戦闘を行うならスタック最後尾に置くなど格闘戦を行わなせないように。推力フル改造キュベレイでも格闘戦は厳しいので、ジムⅢやジェガンに犠牲になって貰おう。 VHは歴史介入なしでは撃墜は不可能。撃破方法は以下の2通りになる。 ①ユニコーンかシナンジュを介入させた上でフル改造し、パイロットのレベルを極力高めて正面から叩き潰す。それでも単騎では厳しいため、トドメを刺すタイミングでカミーユZやシロッコジOなども加勢させたい。 ②キュベレイ、ビグ・ザムなど砲撃持ちを多数介入させて砲撃で疲労させる。 楽なのは②で、ハマーンララァクスコの3名分のキュベレイの砲撃を当てるだけでも18の疲労を蓄積させられる。さらにプル、プルツーも採用すれば、砲撃のみで疲労30。 砲撃3つに介入戦艦の遠距離攻撃、シャアの攻撃も合わせれば1ターンで疲労が30も増えるので、3ターン目には疲労が60になっている。キュベレイやジュドーのZZであれば砲撃自体のダメージもいくらか入っている筈。 こうなれば15段階改造サザビーといえど命中回避に隙が生じ、キュベレイ達とアムロのリ・ガズィのスタックで攻撃すれば撃墜できる。キュベレイとアムロのリガズィは推力5改造をしておき、命中率も上げておきたい。もちろん出来れば火力3以上と燃費5も。 クシャトリヤは勿論、デンドロビウムやヴァル・ヴァロ、ZZなどの砲撃を上乗せすれば疲労100も可能。 + DLC、コード無しで介入できる砲撃機 キュベレイ(ララァ、クスコ:一年戦争シャアVH) CCA時代以前の機体かつ砲撃持ちの中で、唯一と言える現行エース機と互角以上に戦える機体。火力と耐久はそれほど高くない点だけは注意。 もちろん移動後のファンネルも可能。1マスのみかつ2マス先限定なので位置を調整する必要こそあれど、味方を巻き込む心配もなく使いやすい。 ブラウ・ブロ、エルメス、ジオング系(上記2名とシャリア:シャアH、VH) 砲撃を行うにはNTを乗せる必要があるが、流石にこの時代では戦力としては厳しい。MA組は索敵能力が高いので、それを理由に採用するのはアリか。 砲撃の為だけにこれらを採用する位なら、パイロットだけを連れてきてそこそこの機体を与えた方が良い。それ以前に後述のユニットに砲撃役を任せれば良いだけ。 ヴァル・ヴァロ(ケリィ:ギレンVH) 性能自体はギラ・ドーガと同レベルと厳しいが、移動後にできる砲撃と移動力はセールスポイント。 砲撃そのもののダメージではガザCさえ倒しかねるが、疲労を蓄積させる一助には役立つ。シャアの砲撃に巻き込まれるとおそらく即死する。 試作2号機(ガトー:ギレンH) パイロットモードであっても、核を無断でブッ放てば怒られて発言力1万低下のペナルティが発生する降格や逮捕で即ゲームオーバーとならない有情な仕打ち どうしても使いたいなら止めないが、大人しくキュベレイとビグ・ザム、さらに追加するにしてもヴァル・ヴァロで十分。そもそもヴァルヴァロより脆い。 ビグ・ザム、ザビ家仕様ビグ・ザム(ドズル、ギレン:ドズルN、HとギレンH) 移動後に砲撃できない、火力も全段Hitで量産機を仕留めれない、そもそも当てにくいと色々厳しいが、それでも砲撃は砲撃。シャアの出現ポイントを把握しておけば疲労の蓄積役にはなれる。 隣接戦闘でも無人量産機くらいなら1Tは耐えられるはず。シャアの砲撃も一度は保つが、狙われる事がないよう射程ギリギリの位置で撃てばいい。 サイコガンダム(ゼロ:レビルVH) 盾がある、運動性がビグ・ザムよりマシ、何よりパイロットが癖はあるが強いゼロなのであちらよりは通常戦闘への適性がある。とはいえ相手できるのは無人量産機まで、指揮官ギラドーガやリゲルグのパイロット入りは格闘が痛くて厳しい。 牽制と砲撃役以外の仕事は控えておくのが無難だろう。 + プロダクトコード、DLCの砲撃機 クシャトリヤ(マリーダ:Pコード) 文句なしの介入砲撃機最強。砲撃の範囲がνやサザビーと同じであり、量産機の討伐速度が飛躍的に上がる。 運動性は下記のキュベレイに5劣るが、火力と耐久がダンチでありシャアとの戦い以外では運動5など誤差。推力火力燃費をちゃんと改造してマリーダを鍛えておけば、VHのシャアかアムロ以外は問題なく勝てる。 キュベレイ(ハマーン:Pコード) ララァ、クスコと同様CCA時代でも戦える高機動NT用機体。 無改造でも割と戦え、推力5ならばシャア以外からは被弾しなくなる。無改造や推力5出力3以下で低レベルのうちは、無傷のギラ・ドーガを砲撃で一撃死はさせられない。レベルを上げるか、出力と燃料を上げよう。 なお、シャアを弱らせるための砲撃が多数重なると、キュベレイの砲撃でサザビーを倒してしまう事もある。 キュベレイMKーⅡ(プル、プルツー:Pコード) 上記キュベレイとだいたい同じだが、運動性と限界はキュベレイが上で、耐久と火力はこちらが上という差がある。介入コストもMKーⅡの方が上。 サイコミュ、サイコフレーム機との戦い以外では圧倒的な強さなので、可能なら投入したい。 ZZガンダム(ジュドー、テム:Pコード、テムVH) 運動50は決して高いとは言えず、推力5にしても62。ジュドー搭乗でバイオセンサーによる補正がかかるためか量産機相手は無双出来るが、CCA時代のサイコミュ、サイコフレーム機の相手は厳しい。テム搭乗時は無人指揮ギラ相手が関の山。 シャアとの戦いでは砲撃役に専念したい。 ヴァル・ヴァロ(トクワン、デミトリー:キシリア) ビグ・ザムZ/V(ガルマ:ガルマH) エルメス(マリオン:キシリアVH) サイコガンダム(フォウ:Pコード) デンドロビウム(コウ:テムVH) いずれも真っ当な戦力としては厳しく、専ら対強敵の疲労蓄積をするための砲撃要員になる。 この方法はアクシズ落下阻止作戦、スウィート・ウォーター制圧作戦でのシャアにも有効。それらの頃にはアムロもFファンネル付きのνに乗っているため、ますます実行しやすくなっている。 ただしここでシャアを撃墜すると、後のヤクトドーガ鹵獲イベントはほぼ実施不可能(詳細は後述)なので、どちらを選ぶかよく考えよう。 ロンデニオン帰還、敵包囲部隊の撃破 勝利条件:敵の撃破 敗北条件:クラップの撃沈orアムロの戦死 シャアと接触後、ロンデニオンに帰還してロンドベル本隊と合流せよとの命令がくる。自動的に帰還して1ターン自由行動。このタイミングでは疲労やダメージはそのままで、次の敵出現時に今までのような自動回復が行われる。 ロンドベルへの編入の通知が行われた後に戦略画面(ここでセーブするとどうやってもクラップを守れず詰む可能性あり)からワールドマップに移ると、ロンデニオン周囲に敵部隊出現(難易度が上がると出現数数増加)。鎮圧作戦で戦ったイリア、3D隊、アリアスが同時に出現する。 最も危険なのは3D隊。ただでさえ運動も火力も高いのに、スィート戦と違ってスタックしているため3機連携のスキルでパイロットのステータスが全て+30%。防衛対象の無人クラップはおろか、無策で戦えばアムロでさえ落とされかねない。他への抑えを除き、介入機も含めて早急に倒そう。最悪でもクラップの周囲2マスには入られないように。 この戦闘ではロンデニオン周辺の拠点は中立か敵地であり補給もままならない。事前に小惑星2か9を制圧しておけば補給ラインが確立する。 下方の3D隊のジャムル・フィン、イリアのリゲルグは射程と移動力の関係からアムロを用いて即撃破すること。クラップに攻撃を許せばほぼ確実にやられる。ほかは、クラップにとりつかれないようにクラップの周囲にジャパー改などの量産機を置いて進行を阻止。ジャムル・フィンを片づけた後にアムロに近い部隊から撃破し続けると効果的。 2ターン後の戦略フェイズに、コンペイトウ周辺にブライト率いるロンドベル本隊が出現。戦闘後これらのMSは指揮下に組み入れることになる。 敵全滅で発言力+20000 フィフス・ルナ落下阻止 GOAL地点に味方機(何でもいい)が到達した状態で戦略フェイズを迎えると落下阻止成功で戦闘終了。 先の戦闘でシャアのサザビーを撃破できていないならロンデニオン周辺、撃破できて入れば暗礁空域の北のあたりに自軍部隊が配置される。 サザビー撃破且つ先のスウィート・ウォーター周辺での戦闘で暗礁空域の拠点を占拠してあればGOAL地点付近まで補給線が延びているのでほとんど戦闘せずに2ターン目にはGOALに到達可能。 なお上記条件を満たしていた場合、ブライトのラー・カイラムなどAI操作の味方がGOALに簡単に到着してしまうため、鹵獲イベントを狙いにくくなってしまう。大量の自軍ユニットで進行を阻めば不可能ではないが、非常に手間なので大人しくサザビーを見逃そう。 ハード以上の難易度の場合、ギュネイのヤクトに改造が施されている。パイロットのレベルはそこまで高くないが、推力5になっていると無改造リガズィ程度ではアムロであってもほとんど攻撃が当てられない。 難易度Hardで暗礁空域の右側にヤクト・ドーガとギラ・ドーガ、Very Hardでは加えてα・ア・ジールが出現。どれも無人なのであまり怖くない。 4ターン目にフィフス・ルナが落ちる。 レウルーラ健在でギュネイを撃破すると翌ターンにシャアのサザビーが出現。(落下の1ターン前だとサザビーは出現しない) その状態でフィフス・ルナが落下するとヤクトドーガ鹵獲イベントが発生する。 なお上記条件を満たしていてもフィフス・ルナ落下後にサザビーorレウルーラを撃墜すると鹵獲イベントが発生しなくなるので注意。 シャアとの接触でシャアを倒した場合は発言力増加100,000+5thのほぼ確実な阻止(発言力40,000増加)(リゼル、リゼルS要請解放)+最後のスイート戦にてHi-νとユニコーンの要請が可能。 ここまでにシャアを倒さずヤクト鹵獲イベントを起こせば、早期にアムロの乗機がHi-νになる。 改造用コストも賄える前者の方が得ではあるが、Hi-νに乗ったアムロを手間をかけずに使いたいなら後者で。 フィフス・ルナ落下阻止成功で発言力+40000 ネオ・ジオン艦隊撃退で発言力+20000 ギュネイ専用ヤクト・ドーガを撃墜すると発言力+5000 νガンダムイベント アムロがνガンダム(F無し)に乗り換え。リ・ガズィが空いているので手の空いた介入パイロットがいるなら搭乗を(原作と違ってケーラに譲渡されない)。 敵強襲部隊の迎撃 レズン達が攻撃を仕掛けてくる。ギラ・ドーガばかりなので楽。敵MS全機か戦艦全機を撃破すると戦闘終了。 なおこの時点でνガンダム(F無し)を改造してもアムロがνガンダムFに乗り換えると改造状態は破棄されるので改造しないこと アクシズへの進撃 アムロがνガンダムFに乗り換え。νガンダム(F無し)が要請できるので介入パイロットがいるなら要請しておきたい。フィフス・ルナ落下阻止成功しているとリゼル・リゼル指揮官機が要請可能になる。 また、ヤクトドーガを鹵獲していた場合、νガンダムFがHi-νガンダムに変更される。 アクシズを攻撃するためにロンデニオンを出航する。ラー・カイラム等戦艦はAIが操作。ラー・カイラムがアクシズ周辺に到達すると、次のターンにラー・カイラムは強制的にアクシズに突入する。 アクシズ進入後は退却ができないのでMSの要請をしても補充できないので注意。移動中に要請によりMSの数を増やしておくことが必要。 時間を稼ぎたい場合はラー・カイラム周囲に味方機を展開してラー・カイラム移動できない(もしくは少ししか移動できない)ようにするといい。この間は特に攻撃をされることはない。 ただし10ターン経過(ルナツー生き残り保護報告から7ターン経過)するとアクシズが移動、そのままゲームオーバーになるので注意。 シャアのサザビーと正面から殴りあうつもりならνガンダムFをコンペイトウに駐留させて改造しておくこと(難易度Hard、VHのサザビーの運動は93)。介入機体が未改造ならこちらも。「ショウワクセイ7」を制圧してあるとコンペイトウから本隊に追いつくのが楽になる。ショウワクセイ2を制圧しているとロンデニオンから補給ラインが繋がり艦隊のアクシズ到達が早くなる。 アクシズ落下阻止作戦 ラー・カイラムはマップ右下の進入ポイントから進入し、そこから動かない。 ラーカイラムに敵が接近すると核ミサイルの砲撃(後述のイベント核ミサイルとは別物。着弾点と周囲3マスの超広範囲)を味方を巻き込もうが構わずぶっ放すのでなるべく敵を近づけないこと。右のマス(進入ポイントはない)から囮部隊を進入させて右の拠点付近で敵を足止めすると安全。 他の艦は4隅から進入し右下のラー・カイラムのいる場所に向かうので、艦にMSを乗せたまま進入すると戦力を分散させる結果になるので、あらかじめ艦から出撃して進入するといいだろう。特に左上から入る艦は敵のど真ん中を突き抜けてくるのでまず落とされる。 シャアのサザビーは右の拠点付近で足止め・包囲して物資切れ・疲労蓄積させると楽。ファンネル砲撃でNT以外は吹き飛ぶのでスタックせずに散開しながら補給線をうまく断ちながら包囲を。逃げ道を与えると中央拠点に居座って千日手になったり砲撃しまくったりと面倒な事に。 突入の次の戦略フェイズにアクシズ最終加速報告。進入方法が変更になる。 + 勝ちたい、最良EDに行きたいだけなら 右中央からアムロと量産機多数、左中央から介入機やリガズィ達を侵入、他4方面もMSを少しずつ侵入。可能なら右上は3D隊を倒しつつ拠点を制圧できる戦力を投入。 アムロは初手でレズンと隣接スタックを砲撃で鎮圧、右中央の拠点を量産機スタック(シャアを釣るため。ほぼ間違いなく全機死ぬ)で制圧。左中央組は基地中心部の制圧を目指す。核パルスは基地中心部制圧後で良い。ほとんどの場合シャアはまずアムロと量産機群に釣られて右に行く。 シャアは砲撃を駆使してくるので、右側に釣れたら量産機達はスタック厳禁。シャアを逃がさないようにZOCを駆使して囲み続ける。 VHであってもシャアは補給無しでは戦略1T程度で息切れする。中心部制圧かつシャアさえ息切れさせてしまえば、あとは核パルスを攻撃しつつアムロと介入機で敵を蹂躙するだけで終わる。指揮ギラに乗った再生怪人イリアや3D隊などアムロの敵ではない。 その後の戦闘フェイズ開始時にイベントで核ミサイルとダミーミサイルが出現。核パルスエンジンに隣接すると爆発する(爆発範囲はミサイル周辺1マス)。 ちなみに、核ミサイルに頼らなくても核パルスエンジンを普通に攻撃して破壊することはできる(無人6機スタックの攻撃2回くらい)。 先に書いたように囮で中央の部隊を右の拠点に足止めしつつ、左下の進入ポイントから大部隊を送り込むと楽に破壊しやすい(途中にイリアや3D隊のギラ・ドーガ隊がいるのでやるならなるべく大部隊を)。 核パルスエンジンを全部破壊できなかったor一基でもエンジンが残った場合はブライトから「ジェガン隊、何やってんの!」とお叱りを受ける(核ミサイル頼りだと3基目は不発で「何やってんの!」?)。 アクシズ突入後2度目の戦略フェイズ開始時にルナツー襲撃部隊の増援報告。ナナイのレウルーラとギュネイのヤクト・ドーガを中心にした部隊(難易度が高いほど部隊数増加)が右上の進入ポイント周辺に出現。 戦闘中にギュネイによる「ガンダムよこせ」イベントがある。一回目でYESだとνガンダムがなくなる。一回目NOで再度選択肢、YESでνガンダムとギュネイのヤクト・ドーガが強制移動。そのターンで撃破すればケーラ生存。二回目もNOかヤクトドーガを撃ちもらすとケーラ死亡。 イベント前にギュネイを打ち落としていると起きないようである。 アクシズの核パルスエンジンの破壊が間に合わなかった場合はブライトの「すまんが、みんなの 命をくれ」イベントがある。 アクシズの核パルスエンジンを全部破壊した際、「地球への落下軌道から外れた」となればアクシズ落下阻止成功。その後敵を全滅させれば制圧完了。 なお、核パルスエンジンを全基破壊した際、中央拠点周辺に増援出現(無人のギラ・ズール、ギラ・ドーガ多数) 核ミサイルが爆発する前に核パルスエンジンを全基破壊すると「阻止されました」と言って全て消滅する。「何やってんの!」 アクシズ最終加速の阻止 時間内にアクシズの核パルスエンジンを破壊できなかった場合、強制的に帰還させられる。 ブライトから「みんなの命をくれ」と言われるイベントを挟んだあと、アクシズはコンペイトウの右下まで進み、戦闘は仕切り直しとなる。 この時、マップ内の部隊は全て右下へ集められる。注意点として、ユニットは一切回復していない。相変わらず退却も要請も不能。 敵は再配置され、例え落としていてもシャアのサザビーが復活。クェスのαアジールも配置。ターゲット指定を受けているが、この時点ではイベントはなさそう。 倒すか倒さないかでEDの分岐に影響するのを確認。 2ターン目にラーカイラムから核ミサイルが発射される。 3ターン以内に核パルスエンジンを潰せばスウィート・ウォーター制圧作戦へ。 3ターン目が終わっても核パルスエンジンを破壊できない場合、アクシズが地球目前まで移動。核パルスエンジンを破壊しても落下阻止が出来ないので、ラーカイラムがアクシズ右側に取り付いて爆破こうとする。中央部に敵増援が出現。 4ターン目・戦術3ターン目に「何者か」がジェガンを奪って出撃。事前にクェスのαアジール倒していると次のターンに撃墜されて生死不明になるイベントが発生し、αアジール(クェス)が再出現。アムロと接触した次の戦術ターン、もしくは5ターン目・戦術1ターン目にクェスが生きていればEVOLVEイベントが起きてクェス退場。 この時クェスが生き残ったままならターゲット指定が消える。 7ターン目開始時、アクシズが地球目前まで接近する。 8ターン目終了時、アクシズが地球に落下する(BAD END)。 ラーカイラムが爆破作業のために指定ポイントへ到達すると、次のターンに(倒していれば)シャアのサザビーを含む敵増援が出現(高難易度だとナイチンゲールになる)。その次のターン、爆破作業が終了し脱出作業へ。次のターンの戦闘終了後に脱出、アクシズ爆破成功となる。普通にやっていればまず起こらないとは言え、ラーカイラムが指定ポイントに5ターン以内に到着しなければ間に合わない(アクシズ完全制圧による勝利は可能だが、その場合はラーカイラムを指定ポイントに到着させない方が楽) 4ターン目のイベントを迎える前にクェスを倒してハサウェイのジェガンが撃墜されるイベントを見た場合、アクシズの完全制圧または爆破成功で「アムロ・シャア生存ED」となる。 一方でジェガン出撃イベント発生時点でクェスが生存していた場合アクシズの完全制圧or爆破成功で「劇場版ED」になる。 やってみる価値ありますぜ。 スウィート・ウォーター制圧作戦 アクシズ落下阻止成功で発言力+120000 アクシズ落落下阻止によりネオ・ジオンがスウィートウォーターに立てこもったというイベント後、アムロの権限が強化され「乗換」コマンドが解禁、戦艦を含めた全部隊の操作が可能になるとともに、ケーラ・チェーン・アストナージ・ブライト&ハサウェイのノア親子がパイロットとして使用可能になる。 Hi-νガンダム、そしてフィフス・ルナの落下を阻止していればユニコーンガンダムが要請可能になる。 通達によればアクシズ落下阻止の功績でHi-νガンダム、隕石落とし作戦の完全阻止の功績でUCガンダムが要請出来る様になる。 ユニコーンガンダムの要請および生産は、全シナリオ中でこのタイミングしか機会がない。CCAアムロをユニコーンに乗せることが出来るチャンス。一応CCAシャアでプレイ中に敵拠点で生産中のものを奪える可能性も理屈上0ではないが、現実的ではない。 自軍にいるユニコーンガンダムが全てビームマグナム以外の装備かつ「発動」中であれば、追加のユニコーンガンダムを要請できる。つまり頑張ればユニコーンガンダムの大量生産も可能 放っておくとスウィート・ウォーターからどんどん出撃してくる(ナイチンゲールが出てきて砲撃してくることも)。とりあえずベースジャパー1機でもなんでもいいので毎ターン突入して即退却するだけで敵の出撃を封じられる。 スウィート・ウォーター内での戦闘はアムロ(とハサウェイ)をνガンダムに乗せてフィン・ファンネルの砲撃を繰り返して物資が減ってきたら退却、を繰り返しているだけでどんどん敵の数を減らしていける。 ただしシャアのナイチンゲールに中央拠点に居座られると倒しきれず千日手になる可能性があるので、寄ってきたところを包囲して帰れなくさせるなり、作戦「総攻撃」を利用するなり何とかしよう。 中心拠点を占領すると制圧完了、EDへ。 シャア1人を残した時には船にMSを乗せた囮を近づけて撃沈された後に残るHP1/2に成った兵器で囲む( 時間掛けて倒しても良いけど )他のMSなどで中心拠点を占領して終了 囮に来ない時は4ターンだと5ターン目に敵が増えるので攻撃しに来ます・・・HARDで遊んでる時にラーカイラムのブライト艦長を囮に差し出してみたら成功したので参考までに追加書き込みして置きます キュベレイなどのマップ兵器を使えるユニットを多数用意する方法もあります。シャア以外を片付けてからマップ兵器を使えるユニットで囲み、近距離のキュベレイとかは推力をフル改造して落とされないようにしておき、ビグザムなどの機体はシャアの射程外からマップ兵器を使いましょう。マップ兵器をシャアに集中して重ねれば1ターンで回復できる疲労よりも多く疲労させることが出来ます。疲労がたまったところで総攻撃すれば落とすことが出来ます。 ナイチンゲールのシャア VS Hi-νガンダムのアムロ シャアで勝つには接近戦 アムロで勝つには射撃 ナイチンゲールとHi-νガンダムの性能はほぼ同等
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サイサリス ガトー [部分編集] 絶対戦力 ACE A-14 緑 2-3-0 IR (自軍ターン):《[3]》カード2枚を引く。その後、手札2枚を選んで自軍本国の上か下に移す。 (自軍ターン/敵軍ターン):《[3]/[4]》このカードは、ターン終了時まで地形適性「宇宙」「地球」を得る。 (自動D):このカードと交戦中となった、ACEを含む全ての敵軍ユニットは、ダメージ判定ステップ終了時に破壊される。 [3][0][4] 「絶対戦力」に収録されたACEの緑版。 第三テキストは、ターンX《BB3》の様な時間差除去だが、ACEも対象に取れる。またこれにロールコストを必要としないため、見た目以上に性能を発揮し易い。 第三テキストは、基本的に「サイズ不問で相討ちする」能力であると言える。実際に出撃せずとも、ブロッカーに立っているだけでも大きなプレッシャーとなるだろう。 反面、他のACEと比べて戦闘力、特に格闘力の低さという点で明らかに見劣りする。 アタッカーとして使用した場合、第三テキストが回避能力として機能しないでも無いが、土壇場においては相討ち覚悟で普通にブロックされてしまうので信頼性が高いとは言えない。 有事の判断で無理矢理交戦させたり、ソロモン海域で高機動を失わせたりと、第三テキストの起動を目的とした運用を心がけたい。 特に後者は、イラストにサイサリスが描かれている為、ファンとしても嬉しい取り合わせと言えるだろう。 またブリッツクリークやジンクス《23rd》といったカードと組み合わせる事で、第一テキストが通常以上に活躍する場面も十分考えられるだろう。 上述カードを採用する様な緑のデッキと相性が良いと言える。 第三テキストには「毎に」の記述が無い為、1ターンに1回のみ起動する。→特定のタイミングで起動する効果このカードが攻撃に出撃したエリアにガンダムF91(ハリソン機)が飛び込んだ場合、その時点で第三テキストは起動してしまう。その後、2枚目のガンダムF91(ハリソン機)が飛び込んできたり、普通にブロッカーが出撃してきたとしても、効果で破壊できるのは1枚目のガンダムF91(ハリソン機)のみ。 破壊するタイミングが「ダメージ判定ステップ終了時」であるが、このタイミングはフリータイミングでは無いため、「廃棄にカットインで生還をプレイして破壊を無効にする」などといったプレイングは不可能となる。仮に破壊するタイミングが「帰還ステップ開始時」であれば、破壊された後フリータイミングに入るため、生還《4th》などが使用可能となる。 「絶対戦力」のACE一覧 フルバーニアン&コウ サイサリス ガトー ゴトラタン&カテジナ α・アジール&クェス ガンダムX&ガロード デスティニーガンダム&シン